第1章 第70話 オウガの1群の被害商隊の積み荷
練兵場に着いたセイヤは、1台づつの馬車の積み荷を、練兵場に列べていった。
オウガの1群による、被害は商隊だったが、護衛をあまり雇わず、出ていたのか、7台の馬車が被害にあっていた。
人的被害は、ティーン男爵領で査定しているが、商隊の積み荷は、全てセイヤのボックスに入れてきた為、相当な量になった。
穀物を積んだ馬車や、行商の馬車、魔物の皮を積んだ馬車等、馬も生きていた馬や、倒された馬を含め、10頭にもなり、被害の大きさがうかがえた。
馬車の馬は、軍馬と違い、騎士隊では輜重隊でしか使いみちがなく、生きていた6頭は分配が出来たが、死んだ馬は、セイヤが引き取った。
「セイヤさん、オウガの1群も、セイヤさん達の方が沢山倒しています。 主力のオウガも、全て〖イースビレン〗で倒していますから、セイヤさん達が7割、騎士隊で3割でどうでしょうか?」
「行商品は、騎士隊ではそれ程必要ではないでしょうから、行商品はこちらで引き受けます。 穀物等は、出来れば、ファイの村に寄付したいのですが…」
「ファイの村にですか? どういった意味でしょう?」
「ファイの村では、今回の騒動で、村の周りの畑仕事が出来ず、収穫量の低下や、食糧備蓄が無いはずです。 その補填になれば……」
「其れは、領館で話が出ていなかった! ファイの村では、今年の冬支度が出来ていないと云う事か! この件は、もう一度領主様達と相談の上、セイヤさん達からの寄付の申込共々、検討させて下さい。」
「では、行商品の事も含め、後で、もう一度話し合いを持つ事にしましょう。」
「お願いします。 セイヤさん達の心意気、感謝します。」
セイヤは、全てをもう一度ボックス内に戻し、ロバートの案内で、領館の入り口迄戻った。
ギルバートは、領主を含めて、文官達との話し合いで、ファイの村の対策を考える為、足早に奥に戻っていった。
「セイヤさん、ファイの村への対策を含め、王都に向かう前に報告できる様に、話し合いを進めます。 決まり次第、〖精霊の泉亭〗に使者を出しますので、その後になります」
「わかりました。 宿のセリスさんに伝え、連絡が取れる様にしておきます。」
セイヤは領館を後にして、〖精霊の泉亭〗に戻った。
「セリスさん、領館からの遣いが、僕宛てに届きますので、言伝てを受けておいて下さい。」
「領館から? 何かあったのかい?」
「ファイの村に関する事での、言伝てですので、出掛けている時は、受け取っておいて下さい。」
「わかったわ。 領館からね。」
セイヤは、外出している時でも、領館からの言伝てが、伝わる様に手配して、部屋に戻った。
部屋に戻ったセイヤは、ボックス内に入ると、ファリスがポーション作りをしていた。
「セイヤさん、お帰りなさい。 リョカさんは、セリスさんの手伝いをしています。」
「また、新しい料理を勉強してるのかな? また、夜営の楽しみが増えるね!」
「そうですね! リョカさんの料理は美味しいです!」
セイヤは、壊れた馬車を修理して、車軸を強化して、外側に鉄板を張り、戦闘時の耐火性を高めた馬車にして、〖イースビレン〗用の2頭立ての馬車を、修理したこちらに変えた。
セイヤとファリスは、きりの良いところで、階下に夕食を取りに降りると
「すみません! セイヤさん、お手伝いしてます。」
「大丈夫ですよ。 夜営の食事が楽しみになりますから!」
「2人は、夕食で良いのですか?」
「はい。 夕食をお願いします。」
「準備してきますね! 私が作った料理も入ってます!」
リョカは、いそいそと裏に入って行き、2人の夕食を準備し始めた。
セリスが出てきて
「セイヤさん、ごめんなさいね。 リョカちゃんが、またお手伝いしてくれていて。」
「こちらこそ。 セリスさんのお料理を教わり、リョカさんの料理は、また一段と美味しくなりましたよ。 夜営が楽しみです。」
「もとの筋が良いからねぇ。 リョカちゃんの手伝いで、こちらの売り上げも上がって、大助かりよ!」
「其れは良かったです。 王都への、護衛依頼があるので、そちらに出発する前迄は、手伝いしてても大丈夫ですので、よろしくお願いします。」
「セイヤさん、準備出来ました!」
セリスと話をしている間に、準備してくれていたリョカが、声をかけてきた。
「リョカさん、ありがとう!」
セイヤとファリスは、リョカが準備してくれた食事を受け取って、席に着いた。
「セイヤ! メシか? 今日のメシは、また一段とうまいぞ!」
〖ムードの風〗のモール達も食事に来ていた様で、奥の席で、食事をアテに酒を飲んでいた。
「今日は、リョカさんも手伝ってますからね! 料理上手が、2人で協力してますから。」
「今日は、リョカちゃんの協力があったからか!」
セリスさんが、厨房から出てきて、そう応えていた。
リョカは、頬を染めながら、厨房の奥に隠れていった。
「そうだ! リョカさん、サナトリアからの帰りに、全滅した商隊の運んでいた、穀物の事だけど、ファイの村への寄付を、騎士団と話し合ってます。 今回の騒動で、ファイの村では、この冬の冬支度が出来ていないのではないかと…」
リョカは、厨房から飛び出てきて、ウンウンと頷きながら
「そうですね!! 周りの畑の世話も、森での採集や狩り、薪の準備等、準備が足りていないかもしれません。」
「だから、騎士団とうちのでの取り分で、今年の冬を乗り切れる様に、寄付しようと云う話になっている。 領主様の許可が出れば、その様になっていくと思います。」
「ありがとうございます。 ファイの村のみんなも、喜ぶと思います。」




