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プロローグ
「サーシャ……俺だけの、俺のサーシャ。なぁ、どうして俺以外の名前を呼ぶんだ。なんで俺以外の奴に微笑みかけるんだ。お前には俺がいるじゃないか。他の奴なんて見えないように、目を潰してしまおうか? いっそ、腱を切って、俺と二人きりの世界に閉じ込めてしまいたい。なぁ、サーシャ、俺とサーシャだけの世界を生きよう」
うっそりと、整った顔に笑みを浮かべる王国騎士団副団長様に、顔が引き攣った。
一体どこで選択肢を間違ったのだろう。
王国騎士団副団長直属秘書官。それがサーシャの肩書きだ。
大きな丸メガネがずり下がり、背中がドンッと壁にぶつかる。
さながら蛇に睨まれた蛙だった。
「サーシャ、愛しているよ」
笑みを浮かべているはずなのに、目が笑ってない。ハイライトが無い!
そもそも、副団長様は聖女様とくっつくはずだったのに、どうしてこうなった!




