#43
僕は友梨奈さんがエリカの左頬を平手打ちをする場面から彼女の本心が垣間見えたような気がした。
「友梨奈さん、ついにやってくれたな……」
今までは清楚な女子中学生から悪役令嬢に切り替わった瞬間が特に印象的だ。
そして、僕は映像とカルテに書き記しておいたものを照らし合わせながら見ていく。
「この流れでいくと……1番目と2番目かもしれないな……」
1つ目のエリカとまひろは仲がよいのは事実。
しかし、まひろは「いじめられていた友梨奈さんのことがどうしても許せなかった」と話していた場面があった。
2つ目のエリカが中心となって友梨奈さんをいじめようと考えた。
これは本人が話していた通りであり、僕が推測していた通りだったので確実に優勢。
「3番目は例外……ということは……なるほど」
その代わりにエリカと友梨奈さんが同じ男子生徒に告白したあとの恋愛沙汰が加わり――――。
よって、彼女のいじめの原因が判明したということになる。
「彼女らのやり取りは見ていて面白いのに、終わってしまった……」
僕はタブレット端末の電源を切った。
「あなたの解析は終わりました。あとは最終日を決めるだけ……」
僕は診察室から電気を消さずに出てから、数歩でそこの電気を消し忘れたことに気がついた。
「ジャスパー先生?」
「おや? 友梨奈さんからこちらに伺うなんて珍しいですね」
僕は診察室に戻ろうと後ろを振り向くと友梨奈さんの姿があった。
彼女は一瞬微笑み、すぐに真顔に戻る。
「あの……実は私、訊いておきたいことがあったので……」
「それはなんでしょう?」
「……もし、私の目的が果たされたらどうなるのかが知りたくて……」
「僕もあの頃からずっと脳裏に引っかかっていました。そのことについて訊きたかったのですね?」
「ハイ」
「実は僕も先ほどではありますが、解析を終えたところです。まぁ、友梨奈さんの解析ではないと言った僕も同罪ですから」
「やっぱり、私のことだったんですね」
「ご察しの通りです」
友梨奈さんがあの時に訊きたかったことが今になって分かったような気がする。
僕らは疑問点をずっと胸中にしまっていたため、本当に同罪だったのかもしれない。
「早速で申し訳ありませんが、友梨奈さんは目的を果たしましたら、あなたの存在はなくなります」
「それは転成する前に言ってた、魂しか存在しない「亡霊」ですか?」
「ええ、しかし……」
僕は友梨奈さんの問いに答えているのにも関わらず、彼女はショックを受けて放心状態となっていた。
「私の第2の人生もやっぱり短いのか……」
「後悔はしていませんか?」
「実はしてますね。まだ部活に顔を出していないので……」
「そうでしたか。友梨奈さんが「野澤 結衣」として前世にいることができる最終日が近づいているのです」
「あと何日、猶予があるんですか?」
「あと……2日間です」
「あと2日でやり残したことをやるのはキツいと思うけど、少しでも後悔のないように過ごします」
本当は友梨奈さんにもう少し日数を与えたいところではあったが、あまりにも大きな伏線を回収することが早かった関係上、2日間の時間を与えることしかできなかったのだ。
彼女は残り2日間、どのように過ごすのだろうか――。
2017/08/13 本投稿
※ Next 2017/08/13 23時頃更新予定。




