#31
今後の生活をどのようにして送っていくかを悩んでいる友梨奈さん。
「自殺する前までの辛い記憶を再生して客観的に見ていく」か「転校するところから始まって自殺する前までの伏線回収するために客観的に見ていく」かという2つの選択肢。
もちろん、それら以外の第3の選択肢でも構わない。
たとえ、彼女がそれら以外の選択肢を選んだとしても、僕はそれにつき合う予定なのだから――。
「友梨奈さん、復讐することに関しては検討されていらっしゃらないようで?」
「ハイ」
「珍しいですね? 「復讐しない悪役令嬢」だなんて……」
「そ、そんなにおかしいですか?」
「おかしいも何も……「悪役令嬢」は主人公と敵対するお嬢様という意味ですよ? あなた自身を庇ってどうするのですか?」
彼女はおそらく「悪役令嬢」という言葉を知らないのだろうか?
僕は楽しそうに笑っているが、内心「彼女は「悪役令嬢」という言葉を知らないのか……」と呆れていた。
「私、決めました」
「どうされるのですか?」
「後者である「転校するところから始まって自殺する前までの伏線回収するために客観的に見ていく」で、できたらハッピーエンドにしていきたいと思ってます!」
友梨奈さんは顔を赤くしながら、僕に告げてくる。
「友梨奈さん?」
「……ハイ……」
僕左手を添え、彼女の顎を上げ、視線がぶつかった。
本当はそのようなことをすることが苦手でできるだけしたくはなかったのだが、友梨奈さんは僕から視線を逸らそうとしている。
「それでよろしいですね? 僕が挙げた2つの選択肢はあくまで例えばの話です。それ以外でもいいのですよ?」
「私の意思は変わりません。それに転生されたとしてもどうなるか分かりませんし、目的も果たせないかもしれませんので」
彼女のハッキリとした意思を告げられたような気がした。
たとえ、転生されたとしても目的がきちんと果たされるかは分からない。
それでも彼女は悩んだ末に出した答えだということが感じられたのだから。
「現実的なご意見を感謝します。また、僕から何かございましたらこのように伺うか、置き手紙を残すかしますので」
僕は彼女にそう言い残すと「瞬間移動」で僕の勤務する病院の診察室に戻り、「時間操作」を解除した。
しばらくの間は友梨奈さんがどのように動くかを見守らせていただこう――。
2017/08/03 本投稿




