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プロローグ 王子・キッス

 オレちゃんは憧れの警察官を志す高校生、安生正道!幼馴染で同級生の添子とヒーローショーへ遊びに行く途中、泣いている小さな子供の迷子現場を目撃した。

 泣いている子供を慰めるのに夢中になっていたオレちゃんは、背後から近づいて来る暴走車に気付かなかった。

 それはその暴走車に轢かれ目が覚めたら________赤ん坊になってしまっていた!

 でも残念転生先は異世界じゃなくて2029年、自分が死んだのは1993年。

 三十年近く経ってる!!


 しかもここは暗黒メガコーポが支配する世界!!


 こうして新たな人生を送ることにしたんだけど…

  まぁでも人生うまくいかない時ってあるよね!

 生まれてすぐ借金のカタに売られたり!

 家畜として育てられて挙句病気だからってゴミ溜めに捨てられたり!

 流れ着いたスラムで生き残るため身売りと盗み、ついには殺しに手を出してしまったり!

 超大企業に攫われてそこの令嬢の影武者として女装させられて常に命を狙われるハメになったり!

 よりによってその令嬢が夜逃げしたり!

 う〜ん人生ってクソだね!!


 ここは学園のエントランスロビー。


「我が婚約者、Ms.ハテナ…我こそは王位継承権第四位ティーダ・カンド・ザナル、全身全霊を持って心より愛を誓おう。」


 ……その令嬢の身代わりに影武者のオレちゃんが隣国の王子の婚約者にされたり、ね。


 天空のような美しい髪と瞳、綿雲のような白い肌、凛々しいその美貌にカッチリとした王子姿のティーダ王子はハテナの手を優しく取って軽くすくい上げるように持ち、身をかがめるようにお辞儀をしながら顔を近づけ手の甲にキスをした。


 うわぁ…うわ〜ぁイケメンの唇が!アカンアカンアカン!どうしよう今すぐ手を振り払ってコイツのドタマを銃でファックしたい!処刑されたくないので我慢我慢!まいっちゃうな!本当にッッッ!!!!!!!!!

 とりあえず頬赤らめとくか…。


 王子は影武者♂の目を見つめながら穏やかに微笑み、手をそっと下ろした。


「これからよろしく、ハテナ。」


「はい、ふつつかものですがお世話になります。ティーダ様♥」


 影武者♂はティーダ王子に愛らしく返事をした。


 うるせぇ喋るなその小さなお口に銃身突っ込んでそのお可愛らしい顔を屈辱でグッチャグチャに歪むように根本までしゃぶらせるぞこの最低王子め!!

 

 ていうかこれ学園でやる意味あります!?

 コイツ合流した途端に婚約の誓い立て始めたぞ!?こんな公衆の面前で恥ずかしくないの!?


───学園中の人間に聞かせたってなぁw


───いいじゃない、お金がかかるわけでもあるまいし


───誰かが愛の告白しとんのか?


───わたしもこう言ってくれてればねぇ


───この声ティーダ王子か!?


───なんかラブコメ始まってて草加


─── 草加生やすな


 ほらみんなめっちゃ見てるじゃん恥ずかしいぃよやめてよマジでさー!?

 えっ!!ウソでしょ今の学園中に聞かれてんの!?

 なんでなんでなんでなんで……アァアアア中継用モニターぁあああああ!?


 そもそもここブリッツ学園は元々巨大劇場施設だったからそういうのがあってもおかしくないけど王子ぃいいいいいいいいいいい!?ふざけんなあああああああああああ!!


 この日、ブリッツ学園に新たな伝説「婚約宣言ラブラブ天驚事件」が誕生した。

 


 本当なら今頃不届者をしばいて摘発するだけの簡単なお仕事だったはずなのに!

 それがどう?コルセットは締まりすぎてまともに息出来ないし!ドレスは歩き難いし!お上品にするの疲れる!!あと男が女の子っぽい演技するのいかにも痛い感じの人で嫌だ!!

 あと別人だとバレたら死ぬより酷い目に遭うかつ死亡END確定ですふざけるな!?

 ねぇ〜どうしてオレちゃんみたいな子悪党がこんな世界の命運を分けるような綱渡りしなきゃならないの?

 うわーん!オレちゃんには荷が重すぎるよぉ!!

 なぜ…なんたってこんなことに???

 

 話をしよう。

 あれは今から36時間…いや、一日と4000秒前だったか。

 まぁいい、僕にとってはつい昨日の出来事だが、君たちにとっては多分、次の出来事だ。


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