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河上心太の過去1

今から三年前、あれは十二月辺りの寒い冬だった。

「心太、高校どこだっけ?」

そう言うのは、響と言う同じサッカー部でライバルであり親友だった。

響と一緒に話ながら帰り道を歩く。

「聖栖ヶ丘高校だけど」

「まじ?あそこ偏差値平均だけど心太勉強大丈夫?」

響は馬鹿にするように言った。

実際俺の中学での成績はあまり良くないので、心配なのか馬鹿にしてるのか。どっちにしろ上手くやっていけるか響なりの気に掛けなのだろう。

「平均ならなんとかいけるだろ」

「テストで一回も点数後半出せてない奴の自身は、どこから湧いてくるのやら」

お互いに顔を見合って笑い合う、勉強ができなくとも楽しい中学生活は送れたのだ、高校でもなんとかやれるだろう。

「響はどこ行くの?」

「青森」

「は?」

「だから青森だよ」

「それって去年、高校サッカー部で優勝したところか?」

「まあそんなとこだ」

「そう言えばお前プロ志望だったな」

「心太もプロ目指すって言ってたじゃん」

確かに、小学生の時からサッカーをやっていて、響とは地元のサッカークラブで出会ってから中学で同じ学校になったわけだが小学生で七歳くらいに言っていたのだが、それは成長を遂げるにつれ夢は夢であるからいいものだと思ってしまった。

「それはさ、まあ少年の夢ってやつだ」

「諦めたのかよ?」

「俺は夢を諦めたわけじゃないよ」

「どう言うことだよ」

「俺にはサッカーの才能はないけど響にはあるだろ?」

「だからどう言うことだよ」

「夢って誰かに託せば託された側が達成すれば、託した側の夢も叶ったと同義だってことだよ」

「意味わかんね」

「お前は青森で夢の続きを行ってくれ。俺は夢を見る側になるから」

「お前って変な所で大人だよな」

「そうか?夢を諦めるのが大人ってわけじゃないだろ」

「そう言うことじゃなくて思考がってこと」

「ああ、まあ小さい頃向かってた夢が無くなっても新しく探せばいいんだ」

「じゃあ俺は青森で、頑張るよ」

「おう、それじゃあな」

「ああ、また学校で」

そうして、分かれ道をお互いに歩く。後ろをちらっと見ると響の後ろ姿が少しだけ小さく見えた。

まあ、同じ夢を持ちそこに向かって行くものだと思っていた相手に、突然違う道を歩くと言われたのだ、これは裏切りに近い。今の俺の背中も小さく見えるのだろうか?

そんなことを考えていたら、家に着いた。

俺の家は普通の一軒家だ。

俺は部活だったので多分家族は皆いるだろう。

そして玄関のドアを開けて、声をかける。

「只今~」

返答なし、いつもならお母さんが「お帰り」って言ってくれるのだがなにかおかしい。

買い物でも行っているのだろうか?

俺はそのままリビングに向かうと、リビングには父親、母親、姉、弟全員の亡骸があった。

「え?」

そして俺は後ろから、真っ黒の布で覆われて視界は真っ黒になりそのまま気を失った。


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