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上海綺譚  作者: 古時灯葉
9/17

1月前:2

結果、先生がすべて意図した通りの結果になった。


道行く集落はみな、敵対する藩の手中に落ちていた。


次の町も、そのまた次の町も。


それでも、残っている集落に伝えようと、セーマは走り続けた。


それが3日3晩続いた。


もし、残っている町がなければ、先生はセーマに付け加えるように言っていた。


3日頑張って、何も伝えることができなかったら文の中身を見てほしいと。


セーマは息をついた。


(今日で、その3日目だ)


相手から身を隠すように突き進んだ。


3日となると、かなりの距離を駆けたことになる。


藩境に近づいても、残っている集落は一つもなかった。


懐に隠すように持っていた文に手をかける。


藩の中でのある程度の役職についていた先生の署名が入ったそれ。


これさえあれば、見ず知らずの長でもこんな若造の話を言うことを聞く。


どんな文が書いてあるのだろう。


半ば密命のような文を開けること。


そのことに、胸の高まりがなかったわけではない。


それを目の当たりに、読み始めたセーマは一瞬で眉を寄せることとなった。


(どういうことだ......)


何故、最初から、セーマに当てた文となっているのだろう。


ほんの少し、盗み見るだけのつもりだった文をセーマはただ、ひたすらに読み進める。


不意打ちのように、彼の名前宛てにしたためられた文。


それだけでも、訳がわからないというのに。


どうして、おまえだけは逃げてくれと書かれなければいけないのか。

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