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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
夏イベ到来
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お疲れのご様子で

「今日はとても楽しかったです」

「私も」

「こんなに疲れたのは……久しぶりだわ」

「俺も。友達に連れてってもらったミニライブのイベントの時以来だぜ」


 現在の時刻、十六時三十一分。そろそろ臨時のバスの時間も近いので、各々シャワーを浴びて着替えを済ませたところだ。バス停のところで飲み物を飲むなり、アイスを食べるなりしながらバスを待っているところ。


「こんなに遊んだのは久しぶりだなー。去年は受験もあったから身体がうずうずしてたんだよー」

「あぁ。めいっぱい身体動かせたぜ」

「そうねー」


「堂口はどうしてまだまだ元気そうなんだか。俺等からしちゃ不思議なもんだ」

「ほんとほんと」

「お前らは体力ないんだよー」

「お前がおかしいんだよ」


 虎太郎の言いたいことはわかる。ぱっと見疲労困憊って感じには見えないし、これから自転車で家に帰るんだから、ホントにその底知れぬ無尽蔵な体力には感心させられるよ。


「こうやって遊べたのは初めてかもねー。ありがとねー桐華ちゃん」

「いえいえ。私たちも楽しかったですし、また機会がありましたら是非とも」

「その時は喜んで快諾しちゃうわ。祐真君との夏の思い出もできたわけだから」

「そりゃあどうも」


 事あるごとに。俺のほう近づいてきては抱き着いてくる。できれば今は勘弁してもらいたい。せっかくプールで涼んだ後でもあるし、夕方とはいえ、近いと暑いんで。


「今度は何をしようかなー」

「まだまだやりたいことがたくさんあるって感じか」


 俺が橋本にそう聞いてみれば、彼女は突然テンション上げて俺に向かって言ってくるのだ。


「だってそうじゃん、せっかくの高校生の夏だよ! やりたいことやらないもったいないじゃん! もうすぐ花火大会だってあるし、行きたいところはたくさんあるもん!」

「わかったわかった。とりあえず落ち着けっての」

「架谷くんはこの夏のことをどう考えてるの! せっかくの夏休みなんだから、もっと真剣に考えなよ!」

「なんで怒ってんだお前は……」

「怒ってないよ! 呆れてるの!」

「……」


 乙女心というのはよくわからんもんだ。掴みづらいっていうか、ふわふわしているっていうか。はっきりしていないってか。


「そうだよなー。若いうちはもっと夢なり楽しみ持って生きようぜおい」

「あんたも若者だろうが」

「そういうことを言うでないよ」


 でもってある者については、考えていることがよくわからん。もともとわからないことだらけではあるんだが。


「若い者は若い者らしく。難しいこととか小賢しいこととか考えなくてもいいんだよ。頭パンクすっぞ」

「だからなんであんたは年長者みたいなもの言いなんだよ」

「そういうこと言ったっていいだろ」


 まぁ言うのは勝手だけどさ。年寄り臭く感じるからやめろってことよ。


「おーい。なんか色々話してるうちにバス来たぞー」

「あ。ホントだ」


 臨時はこれが本日最終。他のバスの時間については調べていないので、これを逃すと後がやばい。話が盛り上がってきたところではあるんだが、早いところいかないとバスのほうが先に行ってしまう。


「早くいかないとな」

「そっか。なんか残念」

「そいじゃーなー」

「また今度ねー」




 バスに揺られながら。窓から流れて変わる景色を見ていた。こんなに羽目を外して遊んだのは、果たしていつ以来のことなんだろうか。

 中学の時にしても、ここまではしゃいでいたことってあったんだろうか。いやないだろう。こうやって遊びに行くようなこともなかったし、ましてや異性の友人とだなんて。高校生になったからってのもあるのかもしれんが。


 色々あったけど、その分なかなか味わえないようなことを色々と経験させてもらったようにも思う。

 俺としてはもう十分って感じもするが、橋本はまだまだ夏はこれからって感じだった。この先またこういうことに付き合わされることになるのだろうか。と内心少し、期待している自分がいた。


「……ん?」


 今日のことについてを中心に思いながら考え事をしていると、左肩になんか重みが。外に向けてた頭をくるんと左のほうに回してみた。そしたら。


「すー……」


 疲れたのかくったりと。体がやや倒れて俺の左肩を枕代わりにしてぐっすり寝ている凜がいた。

 それもそうだな。始めてやるようなことをたくさん経験して。橋本たちと一日中遊んでいて。慣れないようなことばかりで。そりゃあ疲れて眠っちゃうのも無理ないよな。


「……」


 声には出さず。フフッと笑ってから、俺は視線の向く先を窓の外のほうへと戻した。

 まだバスに乗って移動を始めたばかり。駅に着くまで三十分はかかるだろうから、そっとしておいてやろうか。


 いいもんだと思うよこっちに来て。これから先、凜が体験したことないようなことを、皆で沢山味わうことができるだろうからさ。

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