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俺の家に狐が居候している  作者: 夘月
知らないとこでも騒がしく
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宴の時間

 七時過ぎ。夕飯をとる事に。


「これは私が切ったやつで……」

「ちょっと不格好」

「こまけぇこたぁ言うなよ」

「まぁまぁ……」


 互いの成果、感想も述べつつも、夜時の団欒を楽しんでいた。男子は俺だけで女子ばかりであるので、話題は当然その方になっていくわけだ。

 俺は時折流れてくる質問に返答していくのみだが、まぁゆっくり出来るってことでありがたい。作業してる時といい夕飯までの間といい、そんな時間なんかなかったからな。





「ただいまぁー」

「ん?」


 夕飯の途中で玄関の方から声がした。てかこの声って母さん?遅いとは聞いていたんだけど……てかこの声の感じ……酔ってる?


「はぁ……しんどい……ってありゃ」

「どうも……」

「お邪魔してます」

「ご馳走になってまーす」


 リビングの光景を目にするや否や、母さんのしょぼくれた目が輝き出した。


「何なにー。私が出払ってると調子づくや、女の子いっぱい家に呼んじゃってー」

「俺が呼んだんじゃなくて、向こうが勝手に押しかけてきただけなんだっての」

「またまたー。祐真もツンデレなんだからー」

「少しは実の息子を信用しろよ」


 やっぱり酔ってるよ。顔見りゃ赤くなってるから一発でわかるんだけど、口調もなんかうわ調子だし、酒臭い。ビールの匂いが俺の鼻に入ってくる。


「てか母さんこそ早かったんじゃ無いのか? もっと遅くなるって言ってたけど……」

「あぁーそれねー。今日は久々に高校の同期と会ってたんだけどなんか盛り上がりに欠けたから早めに解散になったんだよー」

「それは分かるが……何故そんなにビールの匂いがする」

「それに……焼酎の匂いもします」

「なんで焼酎だって分かるんだよ凛……」

「実家じゃ父が好んで呑んでいましたから。匂いには敏感なのでよく覚えてるんです」


 凛の嗅覚の良さに驚く堂口だけど、凛がその匂いをよく知っているってだけじゃなくて、凛が狐だからってのが大きい。

 まぁその辺追求し出すとキリなくなるし正体がバレかねんのでやめとこうか。



「飲み足りないから二軒目行ったんだよー。そしたら気の合う女性と出会ってついつい呑みすぎちまってなー」

「それで酔いつぶれてたと」

「てかまだ八時前だぞ……」

「なぁんて言うかなぁー……盛り上がってなぁー。つーいつい呑み過ぎちまったよー」

「母さん。一回水飲んでから話してくれ」


 さすがに酔った状態で話されても色々面倒なので。一旦落ち着いてもらおう。酔って暴れるような悪癖では無いが、厄介であることには変わらないのだ。まともに立てていないのが見てすぐに分かる。

 コップに注いだ水道水を母さんに渡す。



「んぐぅ…………ぷはぁ!!」


 そしてシュバっと受け取ると、あっという間に一気飲み。


「それで?」

「ついつい盛り上がって生ジョッキで二杯に焼酎も一升いっちまったからなぁあぁー」

「それは呑みすぎだっての!」

「いやー助かったよー。一緒に飲んでくれてた人わざわざ家まで送ってくれてさぁー。大助かりってわけよぉー。気がついたらもう家の前だからびっくらこきましたってのー」

「いやいや。儂も久しぶりに楽しい話ができたのでな。そのお礼じゃよ」

「礼を言いてぇのは私の方ですってー」


 あれ? この声もしかしなくてもあの人……いや狐か。


「出雲様……あんたは毎度毎度……」

「なんじゃ。酒を楽しむくらい好きにさせてはくれぬか。儂はお主よりも、遥かに大人なのだぞ」

「確かにそうですけどね。でも俺が言いたいのそこじゃなくてですね」


 確かにってか、見た目通りってか。大人だと思うよ。


「ならなんじゃ?」

「本来の仕事……ちゃんとしてますよね?」

「儂のことをサボり魔とでも思うておるのか? そない失礼なことを言うでないて」

「そこまで言ってないでしょう」


 リビングの入口に立っている出雲様と二人で話しているもんだから当然凛以外、他の皆はポカーンとしていたわけで。

 でもさすがに我に返ってか質問が飛んでくる。



「なぁ架谷。その美人さんは誰なんだよ……? お前の知り合い、か?」

「まぁそんなもんだ。でもって出雲様は凛の保護者みたいな人だ」

「あぁー。そういう事ねー」

「凛に似て凄い綺麗…」

「ねー。スラーっとしてて、カッコイイ……」

「よさぬか。褒めても何も出やしないぞ。しかしまぁ。凛にもこないに沢山友人が出来たようで」

「はい。皆さんクラスメイトです。あでも、この夢咲さんは学園の先輩になります」

「おぉそうかそうか。よろしゅうなぁ」


 そう言いつつも、出雲様はある一人に視線を向けていた。

 その先には文乃さんが居る。


 そういや出雲様、あの時警戒しろって凛に御札渡していたっけ。

 出雲様は文乃さんの正体に気がついているってことだろうか。てか文乃さんもどういう訳か出雲様をやんわりとした目ではあるが睨んでいる。



「あぁそうだそうだ。この人凛ちゃんの保護者さんだったのよねー。会った時はびっくりしたわぁ。こーんな偶然もあるんだなぁーって」

「水もう一杯必要か?」


 母さん全然酔いが抜けてねぇよ。まぁ数分で抜けるわけもないか。

 


「それで。誰が祐真の彼女さん?」


 やれやれって思ってたら、とんでもない質問が飛んできやがった。


「なんてことを聞いてくれるんだ母さん!」

「私です!」

「まだ夢咲さんって決まったわけでもないでしょう!」

「なーに言ってるのー。私と祐真君の付き合いは皆よりも長いんだよー」

「期間なんて関係ねぇですよ!」

「そうですよ! 明莉ちゃんの言う通りです!」

「明莉もいいこと言う」

「変に張り合わなくていいから!」


 ヤベーよとんでもねぇ事になっちまったよ……。もう収集つかなくなっちまったじゃねぇかこん畜生がぁー!!



「なんだなんだ面白くなったじゃねぇか! なぁー出雲さん! やっぱり私はまだまだ呑み足りないねぇ!」

「おやおや。主がそう言うなら儂も付き合うとしようかの」

「母さんは今日もう酒呑むな! てか高校生らいる前で大人が何してんだ!」


 今日のことで思ったこと? 当分俺には平穏なんて訪れないんだろうなって。

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