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君の声  作者: ひなた
6.未来にて
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どっちもどっち?

 ツッコまざるを得ないだろ作戦が失敗に終わり、馬鹿……じゃなくて、吉宗は次はどうしようかと考える。

 そんなことを考えるなら、倒幕運動の対策を真面目に考えろという話だ。

「あの方はああ見えてもお強いですし、吉宗様がいらっしゃれば、力で捻じ伏せることもできましょう。それで幕府の力を見せつけ、倒幕は不可能なのだと、諦めて頂けるのではないでしょうか?」

 信用を取り戻そうというのは、着々と小さなことから進めているから、時期に効果を見せ始めることだろう。

 それで幕府を支えてくれる人はきっと増える。

 しかし、それだけではいけない。

 ちゃんと力を見せなければ、最強であるという認識を持たせなければ、命令に従ってもらえないからだ。

 逆にいえば、力さえ見せれば、相手は嫌でも従うことになるのだ。

「相手は藩ですよ。国に対して藩が勝負を挑むのは、何様だと思いますが、藩に対して一人で挑むのは、いくら強くとも頭が狂ったとしか思えないのですが……」

 こいつ、実は腹黒かっ?! そう思うほど穏やかな笑みで、慶喜は頭が狂ったなどという。

 普通に考えればそう思えるだろうが、表現の仕方がまた別にあったことだろう。

「頭が狂っているのは事実ですが、強いのもまた事実です。軍隊を一人で滅ぼすことくらいは容易でしょう。無双で、レべマ使い込みキャラを使用して、難易度難しいで序盤ステージをプレイするくらい容易です」

 細かく指定したからには、本当にそれくらい容易なのだろう。

 舞姫はその例えが、どうして慶喜に伝わると思えたのだか、彼も大概意味不明だと思うが。

 ちなみに無双は、戦国よりも三国派だ。

「普段の頭のおかしさと同じくらい強い、そういえばわかります?」

 伝わっていないのがちゃんとわかった舞姫は、例えを変えた。

「そんなにですか?」

「二人揃って俺をなんだと思ってやがる!」

 声を盗み聞いていた吉宗の声。は届かなーい。

 舞姫は最初から、慶喜もかなり前から、吉宗遮断モードに切り替えていた。

 だから叫んだとしても無意味。防音じゃないのに防音状態だ。

「そんなにもお強いのなら、任せてみるのも悪くありません。わたしは優しさを見せて、さも素晴らしい将軍かのように演じます。ですから強さという、わたしには演じられないものをお願い致します」

 話が纏まったところで、二人が部屋から出ると、その瞬間に吉宗が飛び付いた。

 何かと思えば、左手では舞姫の口に指を入れ、右手では慶喜の首を絞めていた。

 二人とも呼吸困難で死ぬわ阿保!

 そう思ったのだが、苦しさにジタバタしつつ、見事に舞姫が吉宗を蹴り飛ばす。

「どうやら勝手に人の会話をお聞きだったご様子ですから、説明はしなくてもわかっておりますよね? おえっ、うがいをしたいので、だれかご案内頂けませんか?」

 倒れる吉宗に冷たい視線を向けて、舞姫は去っていってしまう。

「お任せしましたからね。江戸で、京で、直接長州や薩摩まで行ってしまっても構いません。さあ、行ってらっしゃい」

 続いて慶喜は去っていく。

 だけでなくて彼は、吉宗を城の外まで送って差し上げるようにと命令した。

 親切なようでいて、追いだしただけである。

 そりゃまあ、首を絞められているから仕方がないかな。

「お一人で向かうと、行く先々で迷惑になりそうですから、お供してあげましょう」

 優しいのは、ツンデレしながらでも舞姫が一緒に行ってあげること。

 冷たいようでもあるけれど、慎重な慶喜が重要な役割を任せるほど、信頼を寄せたということ。

「ありがとう。お前が隣にいてくれたら、ヤル気も上がるし、かっこいいとこ見せようと思って、更に強くなれるかも」

「惚れてしまうくらい、魅力的に戦うのですよ。勝利の暁には、口吸いくらいは許しますから」

 恥ずかしそうにしながらも、舞姫は美しい微笑みで告げた。

 その誘惑には耐えかねて、勝手に吉宗は唇を奪ってしまうわけであるが。

「なっ、何を、何をしているのですか。勝利したらといっているのに、聞いてなかったんですかっ?」

 顔を真っ赤にして、文句をいうけれど恥ずかしさが先で、自然と舞姫は早歩きになる。

 本気で愛してくれている、吉宗の本気の顔にときめいてしまったのだ。

 だからこそ恥ずかしさでいっぱいになり、瞳に涙まで溜めてしまう。

 だって唇を重ねただけなのに、舞姫は興奮を示してしまっていたから。

「ごめんって。謝るから、これからはもっと頑張って我慢するから、怒らないでって」

 慌てて後を追って吉宗が肩を掴めば、振り向いた舞姫の涙が目に入る。

「え、泣いて……、本当にごめん」

 怒っていると思ったので、泣いているというのは予想外で、吉宗は戸惑いつつも瞳に溜まった涙を拭ってやる。

 自分の行為がそれほど舞姫を傷付けたと思ったらしい。

 言葉を探すが正解がわからず、ただ舞姫の頬を大きな手で包み、優しく撫でていた。

「戦いで惚れさせてっていいましたのに」

 やっとそこで、吉宗は舞姫のオトコの部分が反応していることに気付く。

 喜びで自分も同じ形で応えながらも、顔だけは紳士的な笑みを浮かべる。

「俺が背負っていくよ。そんな薄着じゃ、女にはないはずのもの、周りにも感じられちゃうから」

「でもくっついていては、治まるものも治まりません……。その、できるだけ、刺激しないよう負ぶってもらえますか?」

 本当に恥ずかしそうに、舞姫は吉宗に背負われた。

 最後が百年以上前なものだから、どうやら二人とも溜まっているらしい。

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