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君の声  作者: ひなた
5.平和な街で
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舞姫の特殊能力

 吉宗と舞姫の努力の末、江戸はだれもが思い描く夢を叶えることのできる、理想の場所になることができた。もちろん、世界の住みたい街ランキングトップである。

 そんな最高の場所、江戸を見事に創り上げた吉宗は、満足そうにその様子を見て回っている。

 その隣には、当然、最高のパートナーである舞姫が。

「江戸が世界で一位だなんて、さすがは吉宗様です。噂が広まって、海外からも江戸に人が集まってしまったらどうしましょう」

 鎖国が崩れたら、幕藩体制も危なくなってしまうのではないかと考え、海を眺めて舞姫は呟いた。

 幕府がなくなってしまったら、また戦争が始まり、乱世が訪れてしまうかもしれない。

 そして討幕を目指すならば、真っ先に狙われるのは、自分と吉宗であろう。

「何、不安そうな顔してんだよ。幸せなんだったら、それで良いだろ?」

 幸せすぎて不安を感じている舞姫に、頭ポンポンをし、吉宗は不安を振り払ってくれる明るい笑顔を向けた。

「おっ! 吉宗様、今日も舞姫様を口説いてるんですかい? 舞姫様ー! 吉宗様の変態がうつらないよう、清楚であり続けて下さいね!」

 将軍に対するものとは思えないような言葉である。

 いちゃつく二人を見つけた男性が、友のようなノリで冷やかし、周りもヒューヒューといったり拍手をしたりだ。

 いつの間にか人が集まっていたものだから、舞姫は顔を赤くして、笑顔の吉宗を突き飛ばす。

 その程度でめげる吉宗ならば、ここまでやって来れなかったことだろう。

 仕事においても、恋愛においても、積極的であり無敵メンタルを持ち合わせている吉宗なので、観衆に手を振りながらも舞姫に歩み寄る。

 そうして迷わず恐れず、舞姫を抱き締めたのだ。

「今、ここで犯したい」

 抵抗する舞姫の耳元で、甘く囁くけれど、言葉としては最低も最低だ。

「はぁ? 何を仰っているのです?」

 冷たく返す舞姫に、無敵メンタルは大声で宣言してみせる。

「俺以外に舞姫の裸を、絶対に見せたくない。何があっても、舞姫の大事なところは俺が守りたい。だけど、見られて恥ずかしがり、興奮している舞姫の姿を見てみたいと思うんだ。だから俺は、いつか江戸のみんなが見ている前で、舞姫をぐちゃぐちゃに乱れさせ犯してみせる!」

「嫌です。どうしてそんな意地悪いうんですか。私、そんな吉宗様のこと、嫌いです……」

 全力の距離が入るかと思えば、マジトーンでの「嫌いです」だ。

 それには無敵メンタルもショックを受けるが、それだけで終われるような男ではなかった。

「上に立つものとして、やっぱり、全てを民に見せなければいけないと思うんだ。将軍であるのだから、子を作るための営みも含めて、な」

 抱き締めていた腕を離して、舞姫を解放したかと思えば、周囲にいる人々に向けてそんなことを叫び出す始末だ。

 全てを民に曝け出す必要はあるかもしれないが、曝け出すポイントが全くもって違う。

 嘘を吐くな。良民を騙すな。民のために働けと。

「子を作るって、何を仰いますか。もう吉宗様と体を繋げることはしたくありません。養子を取って下さるのだと、吉宗様は約束して下さったではありませんか。人前でそういったことに及ぼうとするのなら、吉宗様に触れることも、一切拒ませて頂きます」

「なんでそんなこというんだよー」

 舞姫の肩を強く掴んで、グラグラと体を揺らす吉宗。

 痛いと悲鳴を上げるけれど、それなのに吉宗は、珍しく手を離しはしないのであった。

 普段の吉宗ならば、舞姫が痛いといったならば、欲を抑えてくれることだろう。

 しかしそれを吉宗がしてくれなかったからには、力で勝てない舞姫からしてみれば、抵抗する手段を持っていない。

 力で制してしまおうとすれば、吉宗は舞姫をどうにでもできるのだ。

「やっ、やだぁっ……! 吉宗様なんて嫌いですっ!」

 訂正。どうにでもできると思ったけれど、やっぱり吉宗には無理だったらしい。

 嫌い嫌いと何度もいって、舞姫が瞳を潤ませようものなら、無意識のうちに吉宗は手を離していたのだから。

 それと涙目の舞姫という破壊力に、周囲の男性陣が気絶していく。

「ごめん、ごめんって、謝るから、嫌いだなんていわないでくれ。お前が望まないことはしないし、お前を苦しめることはしないから、俺のことを嫌わないでいてくれ」

 舞姫の頭を撫でて、優しく宥める吉宗に、周囲の女性陣も気絶していく。

 常人に耐えられる威力ではなかったらしく、二人のコントを眺めていた人々は、老若男女問わず、例外なく一人残らず気絶してしまっていた。

「はい。わかりました。嫌いとはいいませんけれど、でもっ、好きともいいません。だって、吉宗様のこと、あっでも……」

 周りが気絶してしまったことに戸惑いながらも、舞姫は吉宗の服を指先で軽く引く。

 視線がなくなったことに安心したのか、抱き締めている吉宗の胸に体を預けて、少しだけ甘えたような声を出す。

 その威力は、慣れている吉宗さえも気絶してしまいそうなくらいだった。

 しかし持ち前の筋力と、普段より鍛えられた肉体を持つ吉宗は、舞姫の攻撃をなんとか耐える。

 舞姫を抱き上げて、お姫様抱っこで城に駆け戻る。

「お前は本当に可愛いな。他の人に見せるには惜しい。人前で犯すどころか、人前に連れてくること自体が、惜しいように思えるくらいだ」

 お持ち帰りして二人きりになって、美味しく頂こうと考えたのだ。

 どんなに吉宗がおかしなことをいっても、彼の意志は舞姫が笑みを浮かべてみせれば、簡単に失われてしまう。

 江戸の人々はみんな気絶しているので、舞姫も安心して吉宗に甘えられる。

 城の吉宗の部屋に舞姫を幽閉し、吉宗はにやりと笑みを浮かべる。

「あの、……吉宗様ぁ。でも本当に、江戸が平和になったことは、嬉しく思います。頑張ったから、ご褒美、あげましょうか?」

 急に攫われて、押し倒されたものだから、困ったように舞姫は微笑んでいる。

 微笑んでいるところを見ると、嫌がっているわけではないようであった。

 ご褒美をあげようなどといった舞姫の可愛らしさに、さすがの吉宗も堪えきれず、そうして意識を手放してしまったのであった。

 これぞ舞姫の特殊能力。

 無敵メンタルに対抗することができる、無敵の攻撃力である。

 ただ押し倒して上に跨っている状態で、吉宗は気絶してしまったものだから、舞姫の上に吉宗は倒れることになってしまっている。

 それとついでに、吉宗がいうには意図的にではなく、舞姫と唇が重なってしまっている。

「んっ、んんっ、んあぁっ」

 息をしようと口を開ければ、吉宗の舌が入って来る。

 つまり→吉宗が意識を取り戻しても、舞姫の上に乗って舌を絡めている。

 つまり→吉宗は意識を取り戻しても、すぐにまた意識を失ってしまう。


 とにかくこれ以上は、年齢制限のないこの作品で書くことができないので、いろいろなことをしました。めでたしめでたしと、終わりにしておきましょう。

 はい。舞姫は吉宗に素敵なご褒美を与えましたとさ。

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