起.第一の災い:魔王の挨拶
臣下「王様、おやめください!!(´Д`;)」
馬鹿王「ええい離せ!ワシは逝くぞ!!(# ゜Д゜)」
その日、王は聖堂へと向かっていた。その理由は、古い書物に記された『聖女召喚』の儀式を執り行うと言い出したからであった。
「陛下、どうかおやめください!あの儀式は千年もの間、禁忌とされてきました!」
老賢者アルドが必死になって王を止めようとした。彼が手にしている所々が焼き焦げた紙には、『聖女召喚』を絶対に行うなっという戒めの言葉が刻まれており、万が一の危険を恐れたからだ。だが、具体的に何が起きるかまではわからない。よって、アルドの忠告は年よりの戯言として抹殺された。
「より多くの権力を、多くの富を、多くの幸せを得るためには聖女の力が必須なのだ!!聖女さえ現れれば、この国は永遠の繁栄が約束される!!これは、そのための儀式だ!!」
王はそう言い放ち、儀式の準備を進めた。彼の脳裏には、すでに聖女の力で大陸全体を支配する自身の姿が映っていたのであった。
聖堂に設置された召喚陣を前にして、王自らが古代語の詠唱を始めた。一つ一つの言葉が石壁に反響し、部屋の空気が重く、粘り気を帯びていく。側近たちは息を殺し、固唾を飲んで見守っていた。
「我が手に携えしは悠久の眠りを呼び覚ます天帝の大剣。古の契約に従い我が命に答えよ!!」
最後の一節が発せられた瞬間、召喚陣が深紅に輝きだした。
光は渦を巻き、中心から黒い霧と共に何者かが降り立った。最初は聖女が降臨したと思われた……が、それは聖女などではなかった
召喚陣から現れたのは、漆黒のドレスに身を包んだ、紫がかった長い銀髪をなびかせた少女だった。
その頭には小さな角が二本、背中には蝙蝠のような翼。そして……全身から発せられる圧倒的な魔力と強者の威圧。まさに「魔王」と称してもよい少女だった。
「だ、誰だ貴様は?!」
王は叫んだ。恐怖と怒りが入り混じったその声に、少女は貴様は何を言っているんだっと伝えてるかのような視線を投げつけた。
「誰だ……か。他者を無理やり呼んでおいて、その言い草。相変わらず人間は愚かと言いようがないな」
少女の声は鈴のように澄んでいたが、その言葉には氷のような冷たさがあった。
「愚かとはなんだ!ワシはこの国の王だ!!この儀式は聖女を呼び出すものだ!」
「はっはっは!!この儀式文の意味がわかってないなら、本当に愚かとしか言いようがない。せっかくだし、教えてやろう。貴様が先ほど述べた詠唱と儀式文は要約すれば『力ある者をこの地に召喚する』だ。つまり、力ある者であれば、聖女以外にも呼んでしまうのだよ」
どや顔で語る少女の解説を聞き、王の顔から血の気が引いた。確かに、儀式文におかしな点があったのには気付いていた。だが、聖女召喚の書物ではこれで聖女を召喚したと書いてあったので、そういうものだと深く考えてなかったのだ。
「まぁそんな事はどうでもよい。我を……狭間の魔王メルカスを呼び出したのだ。挨拶代わりとして、これをくれてやろう」
少女改め魔王は空へと手を伸ばした。その手の掌から、黒い電撃のような魔力の玉が放出された。それは天井を破壊して空へと昇っていき、雲を突き抜け、最高点に達した瞬間
バン!!
弾けた。
王達だけでなく王国中の人々は、いきなりの爆音に何事かと空を見上げ……その数秒後、全員の顔が恐怖に歪んだ。
空高くではじけ飛んだ魔力の玉が、無数の火の玉へと分裂し、地上目掛けて落ちてきたのだ。
どごどごどごどごどごぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!
火の玉が次々に王都……いや、王国に着弾。爆発と炎が舞い上がり、人々の悲鳴が風に乗って聞こえてきた。
唖然とする王と側近に、少女は心配するなっとばかりに笑った。
「我は母様と違って宣戦布告もなしに人間の国を滅ぼすような真似はせぬ。よって、今回は忠告として手心を加えてやった。ただし、再度禁忌とされる『聖女召喚』を行えば、手加減なしの火の玉が降り注ぐと思え!」
そう言い残し、魔王は自身を背中の羽でくるみ、虚空へと溶けるようにして消え去った。
その頃には魔王が降り注がせた火の雨は止んでいた。だが、その被害は甚大だった。
直撃を受けた城壁や家々は破壊され、着弾と同時に飛び散った火の粉が周辺の周囲の可燃物に燃え移って火災を引き起こしていたのだ。
その後の調査によれば、魔王が降り注がせた火の玉の総計は訳千個。大半が人気のない所へ落ちたとはいえ、二次災害として起きた火災の被害は甚大。つまり、王国はその国力を維持できない程の被害を負ってしまったということであった。
天からふりそそぐものが王国をほろぼす
王国全土に998のダメージを与えた!




