プロローグ
久しぶりの投稿になります。
よろしくお願いします。
「キャー!本物のレオン様だー!ヤバい…」
まさか推しの動いている姿が拝めるなんて思ってもみなかった──と興奮が収まらないミナトは、誰にも見えないのを良いことに、彼から少し離れた場所で大きな声をあげた。
(聞こえていないよね…?)
心配になり辺りを見回すも、誰もこちらを見ていない。たまたま隣にいた人の顔の前で手を上下に振っても、反応がない。
(本当に見えてないんだ)
安心したミナトは、思い切ってレオンに近付くことにした。
「レオン様だぁ。動いてるー!やばっ…この喜びを友達と共有したかったー」
「うるさい。お前誰だ?」
「………えっ?」
「だいたい何だ?その変な言葉遣いは?」
「………レオン様、私が見えるの…?」
「当たり前だろ、何言って…」
不愉快だと言わんばかりに眉間に皺を寄せたレオンはミナトをジッと見た後、何度か瞬きし目を擦る。
そしてゆっくりと手を伸ばし、ミナトの肩に触れようとした──が、その手は触れることなく彼女の体を通り抜けた。
「えっ…」
レオンは空振りした自分の手とミナトを交互に見ては困惑し、触れられた(?)ことに感動したミナトの目からは、興奮を通り越し感極まって大粒の涙が溢れた。