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九話

俺がイアンとルーシーのいちゃこらしている姿を見かけるようになったのは半月ほど前からだった。フィリップと二人で頭を抱えながら見守っている。今ここでルーシーに手を出されたら俺はたまったもんじゃない。

何故かっていうと俺のパートナーがルーシーで代わりの竜を探すのは大変だからだ。だから、ここ最近はルーシーとイアンが本当につがいにならないか心配している。イアンはよいがルーシーに子供ができると俺にとっては面倒ごとが多くなるからな。

何とか、ルーシーに言ってイアンをあきらめてもらおう。そう決めたのだった。




まあ、今になって思い返せば、ルーシーとイアンを祝福してやっても良かったと後悔している。あの時は俺にも余裕がなかった。今になって言える事だが。フィリップもルーシーの事を心配していた。イアンとつがいになろうにも時期が早すぎるからだ。せめて、俺が竜騎士を引退してからにしてほしかったのもある。

そんなこんなで俺はルーシーを説得していた。ちなみに彼女は竜の姿に戻っている。

「なあ。ルーシー、イアンと付き合うのはいいが。ちょっと、時期を考えてくれないか」

『いきなり何なの。あたしがイアンと付き合おうと何をしようとスティには関係ないでしょ』

「そういうわけにはいかないから言っているんだよ。今、ルーシーに子供ができたらどうするんだ。イアンとつがいになったら俺はパートナーをやめなければならなくなる。代わりの竜を探さないといけない」

真剣に言うとルーシーは黙りこんだ。目を上にくるりと向けて考えこんでいる。彼女の癖だとわかった。

『…確かにそうね。あたし、スティにつれなくされたから当て付けでイアンと仲良くしていたのよ。やっぱり、スティとパートナーでいた方が今は良いかしらね。でも、スティ。あたしの気持ちを少しはわかってほしいもんだわ』

「え。気持ちって?」

俺が尋ねるとルーシーはじろりと睨んできた。

『これだからもう。スティは鈍いわね。あたしはね、昔からあなたの事が好きだったのよ。それこそ初めて会った時からね。つがいになりたいと思ったわ』

素直に言われて俺は固まった。ルーシーが俺を好きだって?嘘だろ。

「…ええっ。ルーシーが俺を好きだったって。じゃあ人型になった時、やたらとスキンシップが多かったのってそういう事かよ」

自分で納得して再びルーシーを見る。彼女はふうとため息をついた。

『今はスティも大人だし。だから、思いきって言ったのよ』

「はあ…」

俺がぽかんとしているとルーシーは人型に変化した。そうして、してやったりとばかりに俺に抱きついたのだった。


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