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七話

『…二人とも。あたしもイアンに加勢するわ。その間、どこかに隠れていてちょうだい』

ルーシーはそう言うと翼をはためかせてふわりと飛び上がる。フィリップとスチュワートは互いに頷きあう。

「ルーシーに任せよう。ダークドラゴンが相手だといくら俺たちでも苦戦を強いられる。岩影にでも隠れていた方が良い」

「みっともないがな」

フィリップが言うとスチュワートは皮肉で返す。苦笑いしあってから岩影の良さそうな所に急いだ。




イアンとルーシーはダークドラゴンの群れに突っ込んでいった。かなりの速さでダークドラゴンの一頭に体当たりを二頭同時にする。ぶつかられたダークドラゴンは失速し止まった。空中に浮かんだ状態でルーシーたちを睨む。もう三頭も襲いかかった。

イアンが横向きに飛ぶと三頭はそれを追いかける。どうも、彼は(おとり)になるつもりらしい。ルーシーはそう判断すると残った一頭の右肩に噛みついた。

「ギャアア!」

ダークドラゴンは断末魔の悲鳴をあげる。イアンも三頭の内の一頭の目を爪で引っ掻いた。目元から鮮血を垂らしながらも攻撃をしてくるが。

イアンは寸でのところでよけた。ルーシーは肩から口を離す。こちらも鮮血が滴っている。

とどめとばかりにイアンとルーシーはそれぞれに無詠唱で炎の広範囲術を仕掛けた。それにより、二頭のダークドラゴンは火だるまになって地上へ落ちていく。

残った二頭にも炎の弾丸を浴びせた。見事に当たり、腕が焼ける音と焦げた臭いがする。「ぐるる…」

二頭は睨み付けながらもそれ以上、攻撃はしてこない。イアンとルーシーはじっと相手の様子を伺う。ダークドラゴンは背中を見せて踵を返すと逃げていった。イアンたちには勝てないと思ったらしい。二頭はダークドラゴンが遠くに飛び去るのを見届けてから地上に戻った。




「…あ、ダークドラゴンたちが落ちてくるぞ!」

スチュワートが叫ぶ。フィリップたちのいる方向に落ちてきたので二人は慌てて岩影から立ち上がり走って逃げた。イアンとルーシーが倒したのだろうか。そう思いながらも安全な場所まで来る。落ちてきたダークドラゴンは頭から足に至るまで焼け焦げていた。それがものすごい音を立てて地面に衝突する。辺りに焦げた臭いが広がった。

「…あいつら。俺たちのことも少しは考えてくれよ」

「そうだな。イアンとルーシーが術を使ったようだが」

「あの二頭は騎竜の中でも魔力が高いからな。無詠唱でやったか」

フィリップが先に言い、スチュワートが答える。その後で再び、フィリップが頭を抱えながら唸った。

見事な術の腕前だがそれでも落とす場所くらいは気を使ってほしい。切実に二人はそう思った。

バサバサと翼の羽ばたく音がしてイアンとルーシーがこちらへと向かってきた。

『ごめんなさい。二人とも大丈夫?』

ルーシーが念話で呼び掛けてきた。スチュワートが答える。

『ああ。何とかな。けど、敵の落とし場所くらいは気を使ってくれ。危うく、圧死するところだった』

『…ごめんなさい。イアンにも言っておくわ。あたしも気をつけるから』

『悪いが今度からそうしてくれ』

念話を打ち切るとルーシーがスチュワートの側にイアンがフィリップの近くに降りてきた。ルーシーはスチュワートの近くまで来ると眩い光を放って変化をした。

次の瞬間には橙色の髪と金の瞳の若い女性が現れる。

「無事でよかったわ。スティ!」

「え。ルーシー?!」

いきなりの事で驚くスチュワートだった。

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