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十四話

  俺はその後、ルチアと結婚した。


  ルーシーもウェンとつがいになり子竜が生まれたらしい。俺はルチアと一緒に王都の一画にあった古い家を買い、そこで暮らし始めた。竜騎士としての第一線から退いて奥さんとのんびり過ごすのもいいかもな。そう思い、竜の世話役にしてもらえるように騎士団長にお願いしたのだった。



「……団長。俺、もう第一線の現場から離れて竜の世話役になろうと決めたんですが。いいでしょうか?」


「……スチュワート。お前がそう言うのは珍しいな。何があった?」


  団長が訝しげな顔で問うてきた。そりゃ、普通はそうなるよな。


「もう結婚もしたし。奥さんとゆっくり過ごしたいと思いました」


「そうか。じゃあ、人事異動だな。お前は明日から竜舎係な。騎士ではなくなるがいいのか?」


「……それでいいです。竜の世話ができるんだったら願ったり叶ったりですよ」


  団長にそう言うとガハハっと笑われた。俺も笑った。


「お前も言うようになったな。まあ、スチュワートが騎士団に入ってもう六年が経つんだ。そろそろ、潮時かと思っていた」


「そうかもしれませんね。何か、肩の荷が下りたように感じます」


「……まあ、そう思うよな。普通は。スティ、奥さんを大事にしろよ」


  はいと頷いた。団長室を出ると俺は竜舎に急いだのだった。


  竜舎でステファンの元に行く。ステファンはいつになく慌てている俺を見て目を見開いた。


『いきなりどうした。スティ』


「あ、すまない。ちょっとステファンに知らせたいことがあってな」


『知らせたいこと?』


  ステファンは先ほどよりも目を大きく見開いた。驚いているようだ。


「……その。明日から俺、竜騎士ではなくなるんだ。だからステファンのパートナーも辞めないといけない」


『……そうか。それは残念だ』


「すまん。ステファンには真っ先に知らせないといけないと思って。それと俺は竜の世話係になった。これからも宜しくな」


『スティが俺たちの世話係か。まあ、構わん。その代わり、新しい仕事もしっかりとやれよ』


「ああ。わかったよ」


  俺が頷くとステファンはにっと笑った。

 

『……スティ。ルチア嬢と幸せにな』


  ステファンの言葉に俺も笑い返した。そうして竜舎を後にしたのだった。


  翌日、俺は早速竜舎に向かう。実は寮を出てルチアと小さいながらも家を買った為もあり俺はそこから通いで来ていた。さてと竜舎に着くと担当の男が出てくる。


「……ああ。あなたがスチュワート・リーデルさんですね。今日からこちらに配属されたと聞きました」


「はい。俺、いや私がスチュワート・リーデルです。あなたは。えっと」


「僕は竜舎担当で名をルバート・サティスと言います。スチュワートさんの事は竜騎士団長から聞いています。これからよろしくお願いします」


「はい。よろしくお願いします」


「じゃあ、早速ですが。竜達の食事と寝床用の藁を用意しますので。場所を案内します。付いて来てください」


  俺はルバートの言葉に頷いた。彼の後をついて行ったのだった。

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