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最終章 終着駅から分かれる
三か月後、哭島駅の展示室には大きな空白が残っていた。
五骸童子の絵があった壁。
そこには、五つの事件を説明する文章も、五人の肖像もない。
小さな案内が一枚だけある。
《調査中。異なる出来事を一つの物語へまとめないため、展示を停止しています》
二階堂は句読点を確認した。
真壁が呆れたように見る。
「そこまで見るのか」
「《異なる出来事》と《別々の事件》で迷った」
「どっちでもいい」
「よくない」
九条は展示室へ入らず、ホームの時刻表を見ていた。
五本のローカル線代行バスが、別々の方向へ出る。
二階堂が駅舎から出てきた。少し遅れて真壁が続く。
「帰りは同じ車でいいよな」
二階堂が訊く。
「俺たちは同じ行き先だからな」
真壁が答えた。
事件資料を載せた車は、すでに出発していた。
一台は、現在四件の殺人を扱う県警本部へ。
一台は児童相談所へ。
一台は鉄道事故調査の保管庫へ。
一台は検察へ。
最後の一冊は、本人の同意を得るまで封印された。
哭島駅は終着駅ではなかった。
分けるための駅だった。
了




