第十七話: ワンルームの幸せを掴む
後日、尊のワンルームは窮屈であるが活気に溢れていた。
尊、琥珀、そして居候となった凪。
「…ねぇ尊、いつまでこの狭い部屋に住むつもり?私も一緒に暮らしたいんだけど」
毎日遊びにくる鏡花が詰め寄るように尊の顔を覗き込む。
あの日、山から鏡花を助け出してから、鏡花はすっかりツンという棘を失って、尊に対してより積極的になっていた。
「鏡花、いくら何でもこの広さで四人は定員オーバー。いや三人でもきつい。いつか引っ越さないとね」
さらには琥珀と鏡花は今や尊の正妻の座をめぐって、隙アラバ火花をちらすライバル関係になっていた。
「ねぇ、尊、はっきりしてよ。どっちが本命なの?」
「ふ、二人とも正妻、ではダメとですか…」
尊がおずおずと提案すると二人の視線が一気に冷たくなる。
「情けないわねぇ。普段はあんなに格好良いのに。恋愛に関してはヘタレなんだから」
「二人とも大好きなんだ…許して…」
「…ホント情けない…」
「私はそういうところも、可愛いって思っちゃいますけどね」
「琥珀は優しいな…」
尊が琥珀を抱き寄せると、鏡花がさらにっとして割り込んできた。
「ずるい!私は嫉妬深いのよ!ほら私のことも抱きしめて」
「ごめんね、鏡花」
尊は苦笑しながら、もう片方の腕で鏡花を強く抱き寄せた。
三人の体温が重なり、部屋の温度が一段と上がる。
「ふふ、若者は元気で良いな」
お姉さん姿の凪が部屋の端で高級なチョコレートを頬張りながら見ている。
「尊よ、いちゃつくのも良いが、今夜はあのタピオカというやつを献上せよ。
さすればこの山神、今晩もお前たちの夜の営みを邪魔せずに暖かく見守ってやるぞ」
「…私の人生、いつからこんなに賑やかになったんだろう」
尊は、両腕の中にいる愛らしい二人とこうるさいお姉さんを見つめた。
非日常的で少しというかかなり窮屈であるが、これ以上なく満たされた日常。
その後も、三人は楽しくずっと暮らし、お姉さんも自分にぴったりな素敵な姫方を見つけ、
末長く幸せに暮らしましたとさ
おしまい




