表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第1話「日常(バランス)」

いっぱしの魔法使いですが、レベル1ソロでダンジョンを踏破します


「君には、ソロであのダンジョンを踏破してもらう」


だれかの日常は、だれかにとっての非日常である。

高校生魔法使いである私、キャメルは戦っていた。


何と戦ってるのかって?それは、


魔導書(グリモワール)ッ、魔法生命力吸収(マナドレイン)照射準備(ベクトライズ)!」


火槍(フレイムジャベリン)!」


モンスターとである。


本で見たことのある、食虫植物によく似たモンスターの2mはありそうな口腔(こうくう)を、火槍が突き抜ける。


矢尻が少し見えるあたりの所で霧散。モンスターの絶叫が硬質な壁を伝って脳に響いた。


あの手のモンスターは往々にして内側からの圧力に弱い。


内側に入ってくるものは既に瀕死(ひんし)状態であり、じっくり養分にするだけなのだから。


もう一つ言うなら、たいていのモンスターは炎に弱い。


人間もそうだ。炎は力の象徴であり、力は恐怖の象徴なのだということを、私は良く知っている。


「テッド先生!奥からもう1体来てます!」


テッド先生は、元は身体育の教師である。今は、チームの前衛ガードとしてパーティを率いる隊長リーダーである。


技後硬直が解け、必要のない思考をシャットアウトし、前方へ指示を飛ばす。


普段から瞑想をするようになって、思考の切り替えが少し得意になった気がする。


「次の火槍(フレイムジャベリン)まで20秒!」


魔法を放った後は、反動で自由が効かなくなる。技後硬直と呼ばれるものだ。


この長さは魔法によって異なるのだが、先刻放った「火槍(フレイムジャベリン)」は、今の私ならキッカリ3.0秒である。


そして、魔法には忘却時間(クールタイム)も存在する。この時間が経たないと同じ魔法を連続で使用することはできない。


こちらは、25秒より短く、24秒より長い。


というのも、忘却時間(クールタイム)については、同じ魔法を使い続けることで、減少(・・)するのである。



教本の隅に小さくコラムとして載っていたあの文字を見たとき、当時小学生だった私は大いに感動した。


火球(フレアボール)を大量に放ち、その効果を実感、、することはなかった。


ムスッとした表情で先生に伝えて実践すると、大層嬉しそうな顔をしながら、効果を実感できてないだけでちゃんと早くなってるわ。


と、そんなようなことを言われた。


実際、火槍(フレイムジャベリン)においては、最初25.1秒かかっていたのが、25秒を切ることが出来た。


最も、大災害の前の平和な時の話で、今はもう少し早くなっているのだろう。

それを計測するほど悠長に構えていられない。



「次!いきます!」


敵の予備動作(プレモーション)を確認し、蔦のなぎ払いを察知。詠唱を開始した。


詠唱にはいくつか手順があり、ここをトチると高確率で発動失敗(ファンブル)する。


魔導書(グリモワール)


始めに、使用するシステムを宣言する。


魔法生命力吸収(マナドレイン)


ドレインとあるが、実際には自分から魔法に吸収()()()()()のである。

この1文を理解するまでに相当な時間を要したことを覚えている。


照射準備(ベクトライズ)


集めた魔法生命力(マナ)指向性(しこうせい)を持たせて、放つ準備を整える。


火槍(フレイムジャベリン)


魔法の名前を呼出(コール)することで、実際に魔法が放出される。


炎を纏った槍が空気を切り裂き、かなり奥にいる食虫植物由来の敵の口腔(こうくう)に命中。


その様を目で追いながら、よし、と心の中でガッツポーズを決めた。


食虫植物の形をした何かが、灰になって砂のように溶けていき、


カラン、と軽快な音を立てて、モンスターの生きた証、生命結晶(マナクリスタル)が自由を謳歌する。


モンスターの心臓部は結晶化しており、これを生命結晶(マナクリスタル)と言うのだ。


食虫植物ライクなモンスターのそれは、緑がかった碧色(へきしょく)をしており、綺麗だな、と思いがけず目が吸い寄せられる。


ーーーーー


少しの休憩の後で、次のモンスターと戦う。


最初こそ向こうから迫り来るのだが、日が経つにつれてそのパターンは減り、代わりにこちらが進軍することが増えた。


もちろん、街に被害が及ばないために組まれたパーティなので、必要以上の進軍はしない。


時計を見ると、侵入から6時間が経過している。


テッド先生(リーダー)の判断で、次の接敵エンカウントをラストにすると決まった。


複数の重たいものが這いずる音が聞こえる。


見えた。一足先に両手で杖を構える。


普段は移動しやすいよう背中に携えて、接敵エンカウント次第持ち替えるのが今の私のトレンドだ。


火槍(フレイムジャベリン)いきます!」


あの大災害から、2ヶ月が経過した。


迷宮(ダンジョン)侵入は今日で6回目だ。


火槍(フレイムジャベリン)の使用回数は今回ので30回に達する。


そんなことを考えている内に、3体ほどいたモンスターが生命結晶(マナクリスタル)に変わっていた。

キャメル

・17歳

・地方王立学校2年生

・魔法使い

・レベル18

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ