第11話:真実の扉と最後の試練
凛子は膝をついたまま、荒い呼吸を繰り返していた。
彼女の全身からは、微かな青白い光が漏れている。
「……私の能力は、ただの未来を見る力じゃない。因果の流れの代償を、身体が直接受け取ってしまうの」
響は目を見開いた。凛子の疲弊はただの体力消耗以上のものだった。
「つまり、未来を変えれば変えるほど、君の身体は蝕まれていくってことか……?」
凛子は小さく頷いた。
「そう。だから、私が無理をしてしまうと……身体の一部が、壊れていくような感覚になる」
静かな沈黙が流れた。
蒼月颯がそっと言葉を紡ぐ。
「それでも、君は戦い続ける。仲間のために」
凛子は俯きながらも、かすかに笑みを浮かべた。
「私は……逃げたくない。未来を変えたいから」
そのとき、白石が険しい表情で口を開いた。
「みんなに話さなきゃいけないことがある」
全員が彼を見つめる。
「俺の妹、柚葉のことだ」
白石の声にはかすかな震えが混じっていた。
「柚葉は……ダンジョンの異形に飲まれたんじゃない。今もここにいる」
響が眉をひそめる。
「それはどういうことだ?」
白石は深く息をつき、続けた。
「彼女の魂は、このダンジョンの核に囚われている。あの怪物は、柚葉の絶望と恐怖の象徴だ」
「俺はそれを認められなくて、ずっと逃げていた」
白石の瞳に涙が浮かぶ。
「でも、もう逃げない。必ず柚葉を救い出す」
響はゆっくりと剣を握り締める。
「俺たちも、仲間だ。絶対に助け出そう」
蒼月颯も力強く頷く。
「最後の試練だ。全員で力を合わせよう」
仲間たちはダンジョンの最深部へと進む。
薄暗い空間の中、かすかな声が響いた。
「お兄ちゃん……助けて」
白石の心臓が激しく鼓動する。
「柚葉……俺は必ず迎えに行く」
その決意は揺るがなかった。
だが、進む先には巨大な闇の結界が立ちはだかる。
「この結界を破らなければ、柚葉には会えない」
凛子が苦しそうに口を開く。
「私の因果の力だけじゃ……限界が近い」
響は凛子に駆け寄り、優しく背中を押した。
「無理はするな。みんなで乗り越えよう」
彼女は震える声で答えた。
「みんな……信じて」
剣と斧、そして因果の力が結界に突き刺さる。
響たちの叫びが響き渡る。
「これが、俺たちの全てだ!」
闇の結界が徐々に砕け散り、光が差し込む。
白石の瞳に、かすかな光が映る。
「柚葉……必ず助ける」




