19話 力の片鱗
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誤字脱字など。
朝になった。
メイドに起こされ朝食を取るために食堂に案内された。
食堂に行くと、ほぼ全員集まっていた。
やはりいくつかのグループに分かれていて、話していた。
健が呼んでいるの行くと、話しかけてきた。
「なぁ太樹。ほんとにゲームみたいだよな〜」
「確かにね。ステータスにスキルとかほんとゲームみたいだよな」
「それになんと言っても、魔法だろ!!!」
「それな!日本では、俺魔法が使えるだぜ!なんんて言ったら確実に頭のおかしいやつか厨二病だからね」
「そーそー!んで、太樹はなんの魔法が使えるんだ?」
「僕?『移動魔法』って言うんだ」
「移動魔法?何それ?」
「えーっと簡単に説明すると、物体を移動させる魔法って感じ」
「瞬間移動とか出来んの?」
「転移とかってことだよね?練習次第では出来るようになるかもしれない」
「おお!まじか!」
すげえと盛り上がっている。
しばらく魔法やスキルのことで話し込んでいると、全員が集まり食事が運ばれてきた。
サラダ系にパンもあり洋食か和食か分からないが、初代の勇者が色々と発展させているみたいで食事も日本にあるものもいくつかあった。
「いただきます」と手を合わせて食べるのを見て、メイドさんたちが首を傾げているが、この挨拶は一般化していないらしい。
食べ終わって案内されたのは、騎士団が訓練している訓練場に案内された。
そこには、団長だと思われるすごくガタイがよく鍛えられているのがわかる。
興味でステータスが知りたくなったので鑑定した結果びっくりした。
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【名前】シルブリット・レトル・カインド
【種族】人族 【性別】男 【年齢】53歳
【称号】王国騎士団長、カインド伯爵、竜殺し、蒼の指揮者
【Level】208
【HP】405.800/405.800
【MP】56.000/56.000
【STR】100.000
【VIT】50.000
【DEX】9.400
【AGI】31.000
【INT】19.000
【ユニークスキル】
[蒼の鎧][蒼の魔剣][蒼の治癒][竜化(仮)][能力向上][感覚強化]
【スキル】
[剣術Lv.8][体術Lv.4][鑑定Lv.5][隠蔽Lv.7][身体強化Lv.7][状態異常耐性Lv.8][気配察知Lv.8][威圧Lv5][竜の威圧Lv.7(仮)]
【魔法】
[蒼魔法Lv.8][水魔法Lv.5]
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(すごっ!)
素直に驚いた。1番目につくのが、竜殺しの称号だろう。
それと同時に羨ましいと感じた。オタクとしてドラゴンスレイヤーの称号は魅力的過ぎる。いつか自分も欲しいと。
その次に目につくのは、体力の多さ。HPが桁違いに多い。それと、スキルにある『(仮)』のスキル。
(ああ〜なるほど)
鑑定して分かったが、ドラゴンを倒したものに稀に与えられるスキルらしい。仮が付いているのは、竜ではなく人間のために完全には使えないため仮が付いているみたいだ。
それもそうかと思う。竜化のスキルがあるが、簡単に竜の力を手に入れられるなら竜が狩り尽くされるかもしれない。
ユニークスキルの蒼の鎧と魔剣も強力過ぎる。破格の効果なのに、その代償が少ない。
例えば、僕の『身体超強化』のスキルは強化度合いによって魔力を使う。10倍で100使うのは魅了的だが今は7分しか使えない。それに、10倍以上にすると必要になる魔力も膨れ上がる。
それに対して、団長さんのは顕現する際の魔力が決まっていて、その後も魔力が少量で済むという感じだ。
ステータスを見ていたら、いつのまにか団長さんの話が終わっていた。
やばい、聞いてなかった。と思い、健に小声で聞く。
「健、健。なにを話してたの?」
「あん?聞いてなかったのかよ。まず名前が、シルブリットって言うらしいぞ。かっこいいよな。それで、まず、どんな訓練をしたらいいか決めるために、シルブリットさんと一回戦うって」
苦笑しながら教えてくれた。
持つべきものは友達だね。と思いながら、続きを聞く。
「それで、いきなり言われても無理だろうから、最初は自分のスキルの使い方とか効果を知ることから始めるって。その後は、それぞれの武器に合わせた型を覚えるらしい。なんかな、光輝が「俺たちは、武器を持ったことすらありません」って言ったからシルブリットさんと戦うのがなくなった。まずは、武器の扱い方から教えるっつって」
「さんきゅ!」
お礼を言って、シルブリットさんを見ると分かっていない人のところに行き丁寧に教えていた。
「さて俺たちもやりますか!」
そう言って、健が剣を素振りし始めた。
模擬剣を使ってするみたいで、刃が潰してある。
他の人を見ると、槍とか大剣とか不良の東郷がどでかい斧を振り回していた。
(あれってハルバードってやつか?日本では絶対に触れない重さでしょ異世界で強化されているおかげか)
などと、なんでその武器選んだ?みたいな人もいる。
僕はやっぱり普通の剣かなと思い自分にあう形の剣を探す。
見つけたのは、片手剣で少し刃が薄いタイプを選んだ。
日本でも、ナイフや鉈は使って見たことあるけど、さすがに刀はなかった。スキルにも刀術じゃなくて剣術だしと思いながらも、刀使いたかったという思いもあった。
日本人として、男の子として刀は、ロマンだ。
別にいいもんと少しふてくされながら剣を振っていたら、団長さんに声をかけられた。
「サトウくんだったかな?」
「……はいそうですけど、何か間違ってましたか?」
いきなり声をかけられ慌てながらもなんとか返事をする。
「ああいや、間違っていないんだが、イチノセくんから君たちは争いのない世界から来たみたいなのでね、剣の振り方がなっていない子ばかりだったのに君は、重心もぶれずに振れていたからね」
あ、と言う間抜けな声が出た。
少し拗ねていたために、無意識の内にやっていたみたいだ。
(さてどうやって誤魔化そうかな)
なろうなどでなんで主人公は、どうせ後でバレるのは能力を隠すのだろうと思っていたけど、実際に自分がその立場になって見て分かった。
ただただめんどくさい。何がと言うと、出来ることがバレるのはいい、でもその力をあてにされ僕を中心にされて、何度も頼られるのがめんどくさい。だから、バレるかのしれないけど主人公はなるべく隠そうとするんだ。
考えて出した結論が、
「えーとですね、少しだけ剣術をかじってまして」
「少し?にしては何て言うかな……型ではないけど実戦で身についたみたいな感じだけど……」
確信が持ててるわけではないけど、当てられてビクってなった。
確かにその通りだ。剣道とかしたことはない。おじちゃんから振り方だけ教えてもらって後は実戦で覚えた。
慌てていると、最悪の言葉をかけられた。
「ちょっと私と手合わせして見ないか?」
自分のこと私って言うんだと現実逃避していたが、距離を取り始め剣を構えるように言われた。
「えっ、ちょ、待って!」
「みんなも見ていてくれ!」
僕の静止も虚しく、クラスのみんなに呼びかけられて逃げられないようになった。
適当に負けるかと思って構えると、先手を打つように、
「サトウくんは、スキルもありで全力でくるように」
何ですと!やる気がないのを見越してやられた。
ちくしょう。ここまできたらやるしかないと腹を括る。でも本気ではやらない、真剣にはやるつもりだが。
「先手は譲ってやるから、こいっ!」
「……では、行きます!」
覚悟を決め、団長を獲物だと思う。
僕の雰囲気が変わったのを見て、驚いた様子だったがすぐに表情を戻し笑みを浮かべた。
先手をもらったので、いきなり身体超強化を使って攻める。
クラスのみんなにはいきなり僕が団長さんの右横に現れたように見えただろう。
強化値は10倍で、ステータスの表記は16000、団長さんの半分だ。
レベル1ではありえない速度に驚愕しながらも一歩下がり半身を捻ることで躱される。
そのまま何度も攻めるが紙一重で躱され続ける。
一旦仕切り直しの意味を込めて距離を取る。
「驚いたぞ!と言うか本当にレベル1か?」
「そうですよ!昨日召喚されたばっかりなんで!」
今度は団長さんが攻めてくる。
上段からの振り下ろしに対して、筋力では圧倒的に負けているので受けるんじゃなく剣を斜めに当てて流すように受ける。
流された勢いのまま救い上げがきたので、後ろに飛んで逃げる。が、追いかけられ鍔迫り合いに持ち込められる。
「本当に驚いたぞ!やっぱり間違ってなかった、実戦で鍛えた剣技だな?」
「はあ……そうですよ。でも本当にちょっとしかやってないですよ?」
「そうか!」
こりゃ全く信じてないなと思いながらも腕に力を込め押し切られないようにする。
しばらく力の比べ合いをし、このままでは負けると思い『身体硬化』のスキルを足のみに集中して発動し、体を後ろに傾けながら右足で蹴りを放つ。
団長さんが左手を剣から放し片手になりながらも受け止められる。
その時、バシンッとただの蹴りでは出ないような音が鳴った。
すぐに体勢を立て直し、10倍の強化値だったのを今上げられる最高値の40倍まで上げる。
急に力が増し片手では支えきれずに、ただ押し切るのではなく斜めに向かって振り抜いた。そのまま寸止めなど考える余裕もないため、本気の一撃を団長さんの頭に振り下ろす。
すると、目の前から団長さんが消え、背後から首に剣を添えられる。
「はあ、はあ、僕の負けです」
「最後のは見事だった。急に強くなったがスキルか?」
スキルで強化し過ぎた反動で体がすごく痛く、乱れた呼吸を整えながら返事をした。
「ふう、そうですよ。残りの魔力を全部使って一瞬だけ強化しました」
「やっぱり実戦をしたことがあるようだな。それも、人相手と言うか獣を相手にしていたな?」
なんかばれちゃってるぅ。これは、
誤魔化せそうもないため正直に答える。
「そうです。山の方で動物と」
「なるほど、所々大きめに躱していたのは、獣の爪とかを相手にしていたから無意識に大目に取っていた感じか」
色々ばれて、クラスのみんなが驚愕している。
最初から多分誰一人として見えていないだろう。そのために何が起きたのか分かっていないけど、僕がすごい速さで突撃して団長さんと斬り結びながら寸止めを食らって負けたと言うことしか理解していないだろう。
「佐藤ってこんなに強かったのかっ!?」みたいな声があちこちから聞こえる。
心なしか一部の女子の目がキラキラしているのは気のせいだろうか。
「でも、団長さんにはスキルを使わせることが出来なかったです」
「バカやろう!私はこれでも団長だぞ?それにな、竜殺しって言われているんだぞ、さすがにレベル1には負けんぞ!……だが、本当に末恐ろしいな。レベルが上がればどうなるか……すぐに越されそうだな」
「はい!すぐに越します!」
「あほう!」と頭を小突かれ、笑いながら元の場所に戻る。
「みんなもサトウくんのように、体の動かし方を知り、スキルの使い方を知るところから始めよう!」
『はいっ!!!』
元気よく返事をし、僕たちの試合に触発されたのか気合が入ったように思える。
それからクタクタになるまで訓練し今日は解散した。
明日は魔法の訓練らしいので楽しみにしながら眠りについた。