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龍くんとコウノトリ  作者: もふっとな
≪中学生編≫
13/27

砂とヒトガタ

達哉と春菜に昨日のことを相談すると、達哉の表情はみるみるうちに暗くなっていった。


「大丈夫だと思う……」


あまり大丈夫だとは思っていなさそうな表情と声色に、春菜と顔を合わせる。

何の解決は出来なかったけれど、話せてスッキリしたと思ったその夜。

ガヤガヤと騒がしい外の様子に何だか胸騒ぎを覚え、音のする方のカーテンを開ける。

予想通り黒川家の前には和服を着た人達が立っている。

暗くて表情は見えないけど、真広は縁側に座り項垂れていた。

なら壮真は……と探すと、玄関の前に立ちじっと前を見据えている。

その方向には何が?と身を乗り出して見ると、達哉が立っていた。

2人は互いに頷き合う。それだけで通じたのか壮真はヒラヒラと手を振っている。

2人の友情の深さを感じる一幕に嬉しくも悲しい気持ちで一杯になってしまった。

カーテンを閉めてため息を吐く。

カーテンが閉められたことを確認した壮真が複雑そうな面持ちで、光希の部屋辺りを眺めていた。



***



***



翌日、いつもと様子が違う気がしてしまい、朝から黒川家のチャイムを鳴らした。

出てきたのは深夜縁側で項垂れていた真広だ。

ニッコリと微笑むその笑顔すら、悲しげに見えてしまう。


「……壮真くんは?」

「やっぱり光希ちゃんは気が付くのが早いなぁ」


微笑みを絶やさない真広は、光希の頭をポンポン……とゆっくりと撫でる。


「どこ行ったの……?」

「さぁ。私にも分からないんだ。教えてもらっていないからね」


折角だからお茶でも飲む?と問われ頷こうとしたものの、壮真がいなくなったと思われる今、呑気にお茶は啜れない……とペコリとお辞儀をして黒川家から出る。

学校に行くのか、丁度白野家から出てきた達哉の腕を掴む。


「おわっ、なんだよ」

「……壮真さんがいなくなった」

「……」

「どうしよう。このまま私達の前からいなくなっちゃったら……」


心地のいい関係が終わってしまう。

大好きな人が離れてしまう。

それに何だか胸騒ぎがする……と考えながら歩くと公園についた。

中学生になってからは公園では遊ばなくなり素通りするだけだった。

今も素通りしようとして、公園入り口近くにある砂場が目に入った。

砂場は誰も遊んでいないのに凹んだり山のように盛り上がったりしている。

恐怖心はあるものの、何だろう……と導かれるように公園に足を踏み入れた。

その瞬間、砂場にある砂が竜巻のようにグルグルと回っていく。

他には風なんて吹いていないのに、砂場だけが突風が吹き荒れているようだ。


「なに、あれ……」

「光希!」


衝撃的な光景に呆然と立ち尽くしていると、達哉に手を引っ張られた。

光希がいた場所には砂が大量に降ってきている。


「達哉……」


何が何だか分からず握られた手を握り返すと、グッと引っ張られ2人で走り出す。

背後からは小石や砂が巻き上げられていく音が聞こえてくる。

頭がパニックになりながらも公園内を走っていると、砂の塊が2人目掛けて飛んで来る。

達哉にドンッ!と突き放され、慌てて達哉を見る。

砂の塊を見据え右手を突き出した達哉の腕からは白いモヤが見える。

モヤが段々と形になり、見覚えのある姿に変わってきそうな所で、他から飛んで来た砂の塊に達哉は吹っ飛ばされる。

いつも遊んでいた滑り台に背中を打ち付けた達哉は呻き声を出す。


急ぎ達哉の元に向かうと、達哉は気を失っていた。

砂の塊は気を失っている達哉になおも攻撃を仕掛けようとしている。

一体これが何なのか、何が起きてるかも分からない。

でも、大事な幼馴染みに手を出すのは許せない。

大体、砂の塊なんてサンドバッグと一緒だ……と、達哉の前に立ちふさがる。


「達哉に手を出すなんて許さないから!」


砂の塊が突撃してきたら避ければ良い。

数秒前はそう考えていたのに、砂の塊は形を変えてヒトガタになっていく。

え?っと戸惑っていた次の瞬間、まるで砂を鞭のように振ってきた。

砂の鞭が光希のお腹に巻き付くと、容易く体を持ち上げられてしまう。


「や、離して!」


ブンブンと首を振り拒否を示した所で、聞く耳は持ってくれなそうだ。

ぐぐっと締め付けられ体が痛い。


「っ!達哉……壮真く、ん……!」


格闘技を習っていても役に立たない。

何度も叩いても砂はサラサラと流れて、最後は元に戻っていくので叩いても蹴っても意味がない。

勢い良く吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられ悲鳴を上げる。

こんな良く分からない生物に負けたくないのに……と悔し涙を流していると、公園の入り口に人影を感じた。

危ないから逃げて。声に出したいのに出せず、せめて危険を知らせれるようにしたい。

そう思い入り口の方を見やると、息を切らせながら2人を見る壮真の姿がそこにはあった。















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