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空気に線香の匂いがまじりその匂いが鼻をくすぐる


最初はこの霊園独特の匂いが臭いと思ったが…


いい加減慣れた



「先輩!おはよーございます!!」


そういうとボクは墓の前で足を止めた


《浅倉家乃墓》


ここにはボクの先輩である浅倉薫先輩が眠ってる


ボクの先輩であり…

初恋の先輩である…



「はぁー…相変わらず先輩の墓はぼーぼーー…ボクがこないと伸ばし放題ですね(笑)いつか埋もれますよ?(笑)」


そういうとボクはそそくさと準備をし

掃除を開始する


「先輩聞いてくださいよー…今日また告白されちゃいました(笑)――…」



月に1回そんなたわいもない話をしながら先輩の墓を掃除する



「ふぅ…終わった!!うん、我ながら完璧だよ!!…疲れたー…」


「ここ座っていいのかな?…まぁ誰かきたらどけばいいんですよね(笑)」



そう言ってボクは墓石の前に腰を降ろした


《君は人の許可を取るまえに行動するよね(笑)》



ふと先輩の声が頭を過ぎった…


「あは…そいえばそんなことも叱られてた…。」


毎回掃除が終わったあとは想い出を頭に浮かべ

想い出に浸るのがお約束。



「ねぇ。先輩?ボクが先輩に告白したの覚えてます?」



そう言いながらボクは頭から想い出を一つ取り出した



――2008年[3年前]―


「先輩おはようございます!!」


『ん?おはよー後輩!!』


「…後輩って…普通言いませんよ?」


『みんなと一緒なんてつまらないでしょ?』


そう笑う先輩を見て自分の顔が熱くなるのがわかる


「かわいい…」


『ん?どした?後輩』


「だーから!後輩ってのはやめてください!!」


『かわいいのに…後輩…』

「そいえば先輩――…」


通学路が同じのボクは毎朝先輩と話ながら学校へと向かう…


この時間が何よりスキだ


でも先輩は知らない…

ボクの家から学校に行くのに先輩の通学路は通らない

そう…

ボクと先輩の通学路が同じなのは《偶然》じゃなくてボクが《グウゼン》にしただけ








その日の放課後

ボクは先輩に告白した








「先輩!!ボクと付き合ってください!!」


『あはははは!!!!』


「ちょっと!なんで笑うんですかー!!!」


『あぁ…ごめんごめん…今日は無口だなって思ったら告白されたからびっくりしちゃって』


「はぁー…告白が…」


『ごめんね。私は年上としか付き合わないの』


そう言って先輩は笑った



「…笑われた上にふられるなんて…」


ボクがわざと下を向くと

先輩は慌ててボクにちかづいた


『あぁ!!だからごめんってばー!!お詫びになんかおごるよー!!あっ!君はよく肉まんスキって言ってたから肉まん食べよ!!』


慌てる先輩を見るとつい笑ってしまう


「あははは!!もういいですよ。ただし!!肉まん!5コは奢ってもらいますからね!!」


『5コ??!君は本当に遠慮がないねー…』


お財布を見つめ先輩は深いため息をついた


「人の淡い告白を台なしにした代償は大きいです!!」




それから…一週間後…





~♪~♪


急の着信にボクは飛び起きた


「???!!!!こんな時間に誰だよ…」




《浅倉薫》


(先輩…?)



日頃滅多に電話しない先輩からの着信

それに加え時間は23時を回っていた

ボクはいや予感がした


「…もしもし…」


『*****――…』


声が思いのほか小さく聞こえなかった…

けどなにかあったことは伝わってきた


「どうしました?」


『…会いにきて』


「えっ?!


『今学校の校門…』


そう言うと電話が切れた


ボクは急いで学校に向かった



学校に着くと校門の前に誰かが座っていた


「先輩…?浅倉先輩?」


ボクの声が聞こえたのか先輩が顔をあげた


酷い顔だった…



涙で化粧は落ち

目は腫れ…

なにより…顔が死んでいた



『早かった…ね。やっぱそっちの道の方が近いんだね…』


「知ってたんですね…そんなことよりどうしました?」


『彼氏に振られちゃった…』


カ…レシ…?


ボクは耳を疑った…



「彼氏いたんですか…」


『内緒にしてて…ごめん…実はいたんだ…もう半年前からかな』


そう言った途端の目から涙が零れた…


『あのね…私…いらないんだって…』


「いらない…?」


先輩の目からとめどなく涙が溢れ始めた…



『彼氏が…私に飽きたんだって…可愛いのは外だけだって…』


そう言うと先輩は笑いはじめた


『あはははは!!そうだよね!料理もお菓子もできなくて!!がさつで言葉遣いも変だし!!!そりゃー女の子らしくないよね!!』


あまりの光景にボクはなにも言えなかった


『ねぇ…前に君は好きと言ってくれたね?私のどこがスキ?』


急に投げられた問い掛け


「……顔です。」


『やっぱり君も顔――…』


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