第二話 初めての狩猟
ホムラの里を出たナインは、朝日に照らされる山道を歩いていた。
身に着けているのはホムラ式見習装束。
背中にはホムラノ鉄刀。
どちらも養成所を卒業した新人ハンターへ支給される標準装備だ。
◇◇◇
「ついに初依頼かぁ」
思わず笑みが零れる。
緊張している。
だが、それ以上に楽しみだった。
◇◇◇
しばらく歩くと草原地帯へ到着した。
ジャギィがよく現れる場所だ。
新人ハンターの最初の狩場として知られている。
◇◇◇
ナインは慎重に周囲を観察する。
足跡。
草の倒れ方。
食痕。
養成所で学んだ知識を思い出しながら痕跡を追う。
◇◇◇
すると。
草むらの向こうで何かが動いた。
◇◇◇
「いた」
◇◇◇
紫色の鱗。
細長い身体。
鳥竜種ジャギィ。
三頭だ。
◇◇◇
依頼達成には五頭必要。
まずは三頭。
悪くない。
◇◇◇
ナインはホムラノ鉄刀を抜く。
シャリン――。
澄んだ音が草原へ響いた。
◇◇◇
ジャギィたちが振り返る。
「ギャッ!」
「ギャギャッ!」
◇◇◇
威嚇するような鳴き声。
鋭い牙。
小型モンスターとはいえ油断できない。
◇◇◇
ナインの心臓が高鳴る。
訓練ではない。
本物の狩猟だ。
◇◇◇
「行くよ!」
◇◇◇
地面を蹴る。
ジャギィも飛び出した。
◇◇◇
最初の一頭が噛み付いてくる。
ナインは身体を捻って回避。
そのままホムラノ鉄刀を振るう。
◇◇◇
ザシュッ!
◇◇◇
一頭目撃破。
◇◇◇
だが。
残る二頭が左右から襲い掛かる。
◇◇◇
「うわっ!?」
慌てて後退。
危うく腕を噛まれるところだった。
◇◇◇
冷や汗が流れる。
やはり実戦は違う。
◇◇◇
それでも。
ナインは逃げない。
◇◇◇
ホムラノ鉄刀を構える。
ジャギィの動きを見極める。
◇◇◇
一頭が飛び掛かる。
回避。
反撃。
◇◇◇
ザンッ!
◇◇◇
二頭目撃破。
◇◇◇
最後の一頭も威嚇しながら迫る。
◇◇◇
ナインは深呼吸した。
焦らない。
落ち着く。
◇◇◇
一歩踏み込む。
ホムラノ鉄刀を振り抜く。
◇◇◇
ザシュッ!
◇◇◇
三頭目撃破。
◇◇◇
「やったぁ……」
大きく息を吐く。
◇◇◇
初めての実戦。
初めての討伐。
思った以上に疲れた。
◇◇◇
だが。
達成感も大きい。
◇◇◇
さっそく剥ぎ取りを始める。
解体用ナイフを取り出し、養成所で習った通りに素材を回収していく。
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ジャギィの鱗×12
ジャギィの皮×9
ジャギィの牙×6
ジャギィの爪×3
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「おおー」
思った以上の収穫だった。
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全てアイテムポーチへ収納する。
容量は気にしなくていい。
ハンター用ポーチは特殊な収納道具であり、事実上無限に荷物を入れられる。
◇◇◇
「あと二頭だね」
依頼達成まで残り二頭。
◇◇◇
その時だった。
◇◇◇
ギャアアアアアアッ!!
◇◇◇
草原の奥から大きな咆哮が響く。
◇◇◇
ナインの身体が強張った。
今までのジャギィとは明らかに違う。
◇◇◇
ドシン。
ドシン。
◇◇◇
重い足音。
そして。
草むらを掻き分けながら現れた。
◇◇◇
巨大な身体。
発達したトサカ。
鋭い牙。
紫色の鱗。
◇◇◇
大型鳥竜種。
ドスジャギィ。
◇◇◇
さらに。
その後ろには二頭のジャギィが付き従っていた。
◇◇◇
「ドスジャギィ……」
思わず呟く。
新人ハンターの最初の壁。
養成所でも何度も名前を聞いた大型モンスターだ。
◇◇◇
ドスジャギィは倒れている仲間たちを見る。
そして。
ゆっくりとナインへ視線を向けた。
◇◇◇
黄色い瞳に宿る敵意。
◇◇◇
「ギャアアアアアッ!!」
◇◇◇
咆哮。
同時にジャギィ二頭が飛び出した。
◇◇◇
残り二頭を倒せば依頼達成。
だが。
その先にはドスジャギィがいる。
◇◇◇
ナインはホムラノ鉄刀を握り直した。
新人ハンター、ナイン・アステリア。
初めての大一番が始まろうとしていた。




