第一話 正式ハンター
第一話 正式ハンター
朝日がホムラの里を優しく照らしていた。
鍛冶場では朝早くから槌音が響き、商店街には活気が満ちている。
今日は特別な日だった。
ハンター養成所を卒業したナイン・アステリアが、正式なハンターとして新たな一歩を踏み出す日である。
白金色のポニーテールを揺らし、蒼空のような青い瞳を輝かせながら、ナインは里長の屋敷へ向かった。
「失礼します!」
扉を開けると、里長フゼンが穏やかな笑みを浮かべて迎えてくれた。
「来たか、ナイン。」
「はい!」
「養成所卒業、おめでとう。」
「ありがとうございます!」
フゼンはゆっくりと立ち上がる。
「今日からお前はホムラの里を代表する正式なハンターだ。」
「多くの人々を守り、時には命懸けでモンスターへ挑むことになる。」
「その覚悟はあるか。」
ナインは迷うことなく頷いた。
「あります!」
「私は世界中のモンスターを狩れるハンターになります!」
フゼンは力強く笑う。
「その意気だ。」
そう言うと、大きな革袋を机の上へ置いた。
ずしり、と重い音が響く。
「これは里からの就任祝いだ。」
恐る恐る袋を開ける。
中には大量のゼニーが入っていた。
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正式ハンター就任祝い
100,000z
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「えぇっ!?」
ナインは思わず立ち上がる。
「こんなにもらっていいんですか!?」
「もちろんだ。」
「正式なハンターには装備も必要だ。」
「護石や装飾品を揃えるのもいい。」
「好きに使え。」
「ありがとうございます!」
ナインは深々と頭を下げた。
フゼンは満足そうに頷く。
「もう一つ。」
「正式なハンターには、共に狩りをする大切な仲間がいる。」
「オトモ管理所へ行ってみるといい。」
「はい!」
屋敷を後にしたナインは、そのままオトモ管理所へ向かった。
管理所では多くのオトモアイルーやオトモガルクたちが元気よく走り回っている。
「かわいい……!」
思わず笑みがこぼれた。
管理人が近付いてくる。
「お待ちしておりました。」
「正式なハンターになられた方には、パートナーとなるオトモを選んでいただきます。」
ナインはゆっくりと見渡した。
その時だった。
「ニャ!」
一匹のアイルーが元気よく駆け寄ってきた。
クリーム色の毛並みに、小豆色の模様が入った可愛らしいメスのアイルーだった。
「あなた……。」
ナインがしゃがむと、アイルーは嬉しそうに頬を擦り寄せる。
「この子にします!」
「お名前は?」
「あずき!」
「ニャ!」
元気よく返事をするあずき。
続いて。
「ウォン!」
低く力強い鳴き声が響いた。
振り向くと、一頭の立派なオトモガルクがこちらを見つめていた。
黒を基調とした毛並み。
ドーベルマンを思わせる精悍な顔立ち。
他のガルクより一回り大きな体格。
「かっこいい……!」
ナインは近寄り、優しく頭を撫でる。
ガルクは静かに目を細めた。
「君も一緒に来てくれる?」
「ウォン!」
「決まり!」
「名前はマックス!」
こうしてナインは二匹の大切な仲間を迎えた。
管理人は小さな木箱を差し出す。
「こちらは正式なハンター全員に支給される導虫です。」
箱を開けると、小さなホタルのような虫が青白く輝きながら飛び立った。
ナインの周囲を一周すると、肩へちょこんと止まる。
「よろしくね。」
導虫は嬉しそうに淡く光った。
ナインはあずき、マックス、導虫とともに集会所へ向かう。
いよいよ初めてのクエストを受ける時が来た。
少女ハンター、ナイン・アステリア。
その壮大な狩猟譚は、ここから始まる。
第一話 正式ハンター②
集会所は朝から多くのハンターで賑わっていた。
クエストへ向かう者。
素材を売りに来た者。
狩りの情報を交換する者。
ホムラの里の中心だけあって活気に満ちている。
「わぁ……。」
ナインは思わず周囲を見渡した。
養成所にいた頃は何度も訪れた場所だ。
だが。
正式なハンターとして訪れるのは今日が初めてだった。
「ナインさん!」
受付から明るい声が響く。
長い茶髪を揺らしながら、一人の女性が笑顔で手を振っていた。
受付嬢のカエデだった。
茶色の瞳が優しく細められる。
「卒業おめでとうございます!」
「ありがとうございます!」
「今日から正式なハンターですね。」
「はい!」
カエデはナインの隣を見る。
「あら、その子たちが新しいオトモですね。」
「うん!」
ナインは嬉しそうに紹介する。
「この子がオトモアイルーのあずき!」
「ニャ!」
あずきが元気よく前足を上げる。
「こっちがオトモガルクのマックス!」
「ウォン!」
マックスは堂々と胸を張った。
「二匹とも可愛いですね。」
カエデは微笑んだ。
「ありがとうございます。」
「それでは、初めてのクエストを受注しますか?」
「お願いします!」
カエデは掲示板から依頼書を数枚外して受付台へ並べた。
「この世界では、一度に複数のクエストを受注できます。」
「メインクエストとは別にサブクエストも受けられますよ。」
「さらに、部位破壊や討伐タイム更新、採取数などの追加条件を達成すると、ボーナス報酬も支給されます。」
「全部受けます!」
即答だった。
カエデは思わず笑ってしまう。
「ナインさんらしいですね。」
依頼書を読み上げる。
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メインクエスト
ジャギィ3頭の討伐
報酬:5,000z
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サブクエスト①
薬草×20採取
報酬:2,000z
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サブクエスト②
ハチミツ×10採取
報酬:3,000z
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追加報酬
ジャギィ頭部破壊
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追加報酬
最速討伐記録更新
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「以上になります。」
ナインは依頼書を受け取った。
「よし!」
胸が高鳴る。
これが正式なハンターとして最初のクエスト。
その時だった。
「ナイン。」
振り返ると、里長フゼンが集会所へ姿を現した。
周囲のハンターたちも一礼する。
フゼンはナインの前まで歩いてくると、静かに頷いた。
「焦る必要はない。」
「経験を積み重ねることが、一流のハンターへの近道だ。」
「はい!」
「そして忘れるな。」
「ハンターは一人で戦うものではない。」
フゼンは、あずきとマックスへ目を向ける。
「仲間を信じろ。」
「はい!」
ナインは力強く頷いた。
「行ってきます!」
「ニャ!」
「ウォン!」
三人は集会所を飛び出す。
肩では導虫が青白く輝きながら舞っていた。
目指すは、最初の狩猟地――始まりの森。
新人ハンター、ナイン・アステリア。
その最初の狩猟が、いよいよ始まる。




