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火の国編30話

スサノオはイザナギに声をかける。


「煙は解除していい。おそらく狙われてる」


「………はい。………すみません。」


「問題ない」


「カグツチを逃がすために時間を………」


「分かった。ここまでありがとう。後は任せろ」


イズモが念じると煙がみるみる消えていく。

そしてスサノオたちに目も暮れずただただ前に進んているイザナギが見えてくる。


「………国王」


スサノオが進むイザナギに声をかける。


「何故あなたはカグツチを。一体どんな恨みが」


しかしイザナギは気にせず進み続ける。


「………」


スサノオはそれを追いかけ、イザナギの前に立ち塞がる。


「………ここは通せません。せめて理由を」


イザナギは話し終わる前に剣を振るう。

それを同じく剣を抜いて受け止めるスサノオ。

カチッと言う音と共に、スサノオの剣から青い炎が発出される。


イザナギは目にも止まらぬ斬撃を繰り出し、スサノオの全身を狙う。

スサノオはそれを何とか防いでいく。


途中イザナギの剣からも真っ赤な炎が出現する。

熱で周囲には蜃気楼が生まれている。

赤い炎を纏った魔剣と青い炎を纏った名剣同士で鍔迫り合いが生まれる。


鍔迫り合いの最中、自分へ赤い炎の塊が近づいてきていることに気づく。

それを見て一旦スサノオは後ろへと下がる。

スサノオは火の魔剣を握るイザナギの姿を伺う。


イザナギは走ってスサノオの方へ向かってくる。

それを見て青い炎をまとった剣を、体勢を低くし、スサノオはイザナギの足元に振るう。

それをイザナギは飛んで躱す。


空中のイザナギに対し、スサノオは振るった剣を切り返し、再び攻撃を仕掛けるが、イザナギそれを剣で受け止める。


そしてイザナギから小さい火の玉の雨が降り注ぐ。

それを横にローリングして躱すが、スサノオの服にかすり、焦げ跡が残る。


イザナギは着地し、猛スピードでスサノオの目の前へと接近する。

そしてまたも目にも止まらぬ連続の剣戟を繰り出す。

その剣戟には一切の隙がない。


スサノオはそれを防いでいく。

スサノオは攻防のさなか口を開く。


「何であなたはカグツチを」


イザナギは眉をピクリとも動かさず、表情も変えず、剣を振るい続け、それを防ぐスサノオとの攻防が続く。


(この人は一体何を。………!!!)


思いを馳せているとスサノオの腕を魔剣がかする。

服は少し燃え焦げ肌が露出する。

そして肌には小さい切傷ができ、少々の血が流れ落ちる。


(………考えている暇はない。今は足止めに全力を尽くす。)


目にも止まらぬ攻防は続いていく。

その攻防をイズモは眺めていた


(………凄い。さすがはスサノオ様だ。国王とほぼ互角に渡り合ってる………でも)


攻防の中でスサノオは的確に攻撃を防いでいるようには見える。

しかし、燃える剣がスサノオの服をかすり、焦げ跡がほんの少しずつ増えていく。


対するイザナギは原状特に傷らしい傷、跡らしい跡も存在していない。

イズモは冷や汗をかき、唾をゴクリと飲む。


(………あのスサノオ様が押されてる。………これが火の国国王。イザナギ様の力………。一体どうしてこれほどの………)


イズモは腹の傷口を手で抑えながらその攻防を眺め続けている。

すると何者かに担ぎ上げられる。


「!?」


イズモが顔を上げると、そこには忍者装束の男がいた。

忍者装束の3人がイズモ、クマノ、ツシマをそれぞれ担いでいる。

クマノとツシマは力なくぶらんとしている。

忍者装束の男たちを見て、イズモは驚く。


「お前ら………」


「治療します。いきますよ」


「いや!スサノオ様が!」


「喋っちゃ駄目です。いきますよ」


「ふざけんな!主を一人残して!」


そう言って反対するスサノオを押し切り城の中へと向かっていく。

向かっていく中で遠くなっていく攻防をイズモは見つめ続ける。

そして自分が戦力外であるという現実が少しずつ脳裏を反響していく。


(………スサノオ様。申し訳ありません。………どうかご無事で)


攻防はだんだん遠ざかっていき、やがて見えなくなっていった。




その頃、オオカたちは急いで城の敷地から出て、森の中を走っていた。

ヤサカが口火を切る。


「いったいどこに行くんです!?どこか隠れられる場所でもあります?」


「この先に洞窟があります。そこならイザナギ様は知りっこない。そこでひとまず過ごしましょう」


「了解!」


一同は洞窟へと到着する。

洞窟の中は広く、それなりな大人数でもくつろぐことが可能なくらいの広さはある。


到着するやいなや、オオカはカグツチをおろす。

カグツチは眠ったままである。

そして一同は一息をつく。


「はぁ~。皆さんお疲れ様でした。すみませんね。走らせてしまいました」


ラムチは肩で息をしながら困惑している。

「いえ………。一体どうして国王が」


「………実は私もそんなに分かってないのですよね。ただイザナギ様がカグツチを憎んでいるという情報があって、一旦避難したというわけです」


ヤサカが次に話す。


「それで。ここからどうしますか?」


「そうですね。一旦私には火の国とは関係のない協力者がいるので、その方と合流して作戦会議しましょう」


「………信用できるのですか?」


「はい。とっても信用できる仲間ですよ」


(私にとっては………ですが)


「なんでそんな人を?」


「………もし仮に火の国でクーデターとかが起こったら、味方0になっちゃうじゃないですか。その時の保険ですよ」


「………分かりました。」


「じゃあ私ちょっと探してきますから、ヤサカさんはカグツチさん達のことよろしくお願いしますね。」


そう言ってオオカは洞窟から出ていく。


(さてと。私の仲間たちはもう着いてますかね?それともまだかな?一介の兵士に知られるのはあれですが、まぁ口は封じればいいでしょう。)




その頃港には一隻の大きな船が停まっていた。

そして港にはトリトン達が降り立っていた。


「ここが………マガハラ!」


シューは伸びをして景色を見ていた。


「とーちゃく」


ハッセルはその港の風景を瞳に焼き付けていた。


(もう来ることなんてないと思ってたんだがな)


そんな一行に白いローブの宣教師の集団が近づいてくる。


「船旅お疲れ様でした」


「いえ。本当にこの度はありがとうございました。」


ハッセルは頭を下げる。

そしてアエリ以外のメンバーも同じく頭を下げる。


「いえ。気にしないでくださいな。では。我々はちょっと布教に行きますのでこれで解散ですね」


「はい。本当にありがとうございました。」


「いえいえ。では。神のご加護があらんことを」


周りの人々はその光景をすごく数奇な目で見ている。

そしてその後火の国の兵士達が近づいてくる。

火の国の兵士達は明らかに警戒している


「………あなたがた一体何者ですか?」


ハッセルはスサノオの手紙を見せる。


「マガハラ王国第一王子のスサノオ様より、我が国のカグツチをお借りするというお手紙をいただきました。我々はこちらを了承しておらず、返していただきたくこの国に参りました。そのためスサノオ様との謁見を希望いたします。」


それを見てざわざわと、兵士たちが何かを話し合っている。


「うーん一筋縄じゃいかなそう」


「ですね」




オオカは歩きながら周りを眺めている。

もう洞窟からはかなり離れた場所にいる、

周りには森が広がっている。


(しかし………この状況。どうしますかね。計らずしてあの怪物と敵対してしまった。足止めがどれくらい出来ているか。まぁ追ってきてないってことは、相当足は止められてるんでしょうが。その内、街にも指名手配の類がされるでしょうし、まずはとっとと合流しますか。)


そう話していると前から3人が歩いてくる。

全員黒いフードを深くかぶっており、目も髪も見えない。

その姿を見てオオカは顔を明るくする。


「あ、皆さん。お元気でした?」


そう言ってオオカは手を振る。


「はい。お久しぶりです。」


「オロチさん、ヌエさん、ツチグモさん。よくここが分かりましたね」


「前に緊急集合先でこの洞窟を指定してたじゃないですか」


「こんな辺鄙な場所によくぞ」


「そういえばこっちは元気ですが、そっちはどうなのですか?フェニックス様」


オオカことフェニックスは苦笑いをする。


「最悪ですね。15年の計画が最悪終わっちゃうかも。落ち込んじゃいますよ」


「まぁまぁ」


「なので、皆さんにも協力して貰って作戦を考えたいです」


「はい。喜んで」


そうして4人は座り込み、話を始める。

暗躍の計画が少しずつ、確かに作り上げられていっていた。

火の国編前編を読んでいただいた方、またこの話を偶然開いて読んでいただいた方も本当にありがとうございます。

(30話で章が完結せずすみません)


現在後編を執筆中で、書き終わり次第また毎日投稿させていただきます。


もしよろしければお待ちいただけますと幸いです。

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