風の国編30話
カグツチ達一同を乗せた馬車は氷の国へと到着した。
馬車を降りて入口を進もうとする。
すると国の入口には水の国の兵士で、水の国の一件で一緒に戦ったゼストスとクリオスが立っていた。
帰ってくるやいなや2人は敬礼をする。
「「トリトン様!おかえりなさい!」」
双子ならではの息ぴったり敬礼を見せる。
「ありがと。ゼストスクリオス。ハッセルさんは?」
「はい!城にいるかと思います!」
「オーケー!ありがとう!」
「ねぇねぇ」
ラムチは気さくに話しかける。
「ジジイの料理は大丈夫だった?ちゃんと食べれた?」
「はい!食べれる味でした!」
「おー。含みのある言い方。あのジジイ少しはやるのねー。」
ラムチは感心する。
「何か変わったことはなかったか?」
ゼストスとクリオスはカグツチに目線を向ける。
そしてカグツチは首を傾げる。
「少しありました………が、多分ハッセルさんから話があると思います。一切被害等は出ておりません。」「………そっか。ありがと」
そして街を進んでいく。
街は変わらず氷漬けにされているところが転々とあるが、ポツポツと水の国の兵士たちが通っていることから、氷漬けにされた直後よりははるかに活気に満ちている。
しかし途中氷漬けにされた人はいまだ残っており、現実に引き戻される。
「これが氷の魔剣にやられた方々?」
「はい。そうです」
「ん!了解!」
そうしてシューは魔剣を抜く。
そして魔剣から風を出して、氷漬けにされた人にぶつける。
しかし氷はびくともしない。
「んー。ダメそう。ごめーん」
「いえ。ありがとうございます。」
「火も駄目なの?」
「はい。」
そう言ってカグツチはポケットから樹の実を取り出して樹の実に火をつけて当てる。
しかし氷はやはりびくともせず、水すらも出ない。
「この通り………。駄目そうで。」
「んー。これ氷なのかなー?」
「………恐らく。これも魔剣の力でしょうか?」
「ふーん。不思議だねー。」
やりとりの後再び一同は歩いていき、クリオネッタ城に到着する。
更に進んでいき作戦室まで行くとハッセルと他数名の兵士がそこにはいた。
そしてハッセルが捕らえた盗賊たちが部屋の掃除を行っている。
作戦室に入ると少し驚きの表情になる。
そのすぐ後に無事に帰って来た姿を見て、ハッセルの表情からは安堵が感じられる。
「ただいま。爺さん」
「あぁ。おかえり。」
カグツチ達は風の国での一件をハッセルに説明した。
「そうか………。風の国の従者は裏切り者でトラブルに巻き込まれたと………。魔法の解除薬はなかったと………」
ハッセルはトリトンに向けて頭を下げる。
「危険に巻き込んでしまい本当に申し訳ございでした。指示を出した私の責任です。」
「いえ!行くという判断をしたのは俺でもありますから!お気になさらず!」
シュー達の方も向く。
「風の国の方々。お越しいただいて、また協力いただきまして本当にありがとうございます。」
「いーよいーよー」
ハッセルは考える。
そして少し経った後口を開く
「かなり長丁場となったし、ひとまずしばらくは休暇とするべきだろう。」
カグツチは何かを言いたげにしながら聞いている。
「………休暇の後はヘリオローブに向かって魔剣の解除方法を探るのがよいでしょう。幸いヘリオローブの魔法学校の者とも知り合えたようですし。トリトン王子。申し訳ありませんが、特別作戦部隊の方から何人かお貸しいただけますか?」
「………」
トリトンは少し気まずそうにしている。
「「あの」」
カグツチとトリトンが同時に口を開いてしまう。
そして少しの間の後にカグツチが続ける。
「爺さん。一個提案がある。」
「何だ?」
「マガハラに行って火の魔剣を探したい」
「!」
「多分氷の魔剣の効果を打ち消せるのは火の魔剣だと思うんだ。直感的に。だからマガハラまで行って火の魔剣を探したい。」
ハッセルは淡々と話す。
「マガハラに火の魔剣があるなんて限らないぞ。」
「………マガハラは火の国。だからきっと火の魔剣も………」
「確証はないだろう?」
カグツチは黙り込む。
「それにマガハラとはこれまで国交はないぞ。マガハラの情報も少ない。そんな中で行くのは危険すぎなる。認められない」
「あ、それは」
トリトンが口を挟む。
「俺も一緒にマガハラに向かいます!」
「僕も僕もー」
「魔剣使いが2人いれば安全かと」
「これは私の責任ですが、実際風の国に行ってあわや魔剣が奪われそうになってしまった。それに行こうとしているのは情報の少ないマガハラだ。もし何かあれば各国に合わせる顔がない。申し訳ありませんがそちらの危険な作戦を認めるわけにはいきません。」
「一語一句同感です。」
アエリもハッセルに便乗して賛同する。
トリトンとシューと何も言えなくなってしまう。
「それにマガハラが仮に火の魔剣を保持していたとしても、その魔剣を見ず知らずの他国の人間に貸し出してくれるとは思えん。むしろ敵認定されるかもしれんぞ。姫は同行させるつもりなのか?情報の少ない未知の国で」
「………それは………」
「行くにはあまりにも情報が少なすぎる。」
ラムチも賛同する。
「まぁヘリオローブでは魔法の研究が一番進んでるってことだし!まずはヘリオローブに行くのがいいんじゃないかしら?丁度ツテも出来たんだし!姫の状態も徐々に徐々によくなっていっているし!」
「そうだ。焦る気持ちは分かるが、焦ったときほど急がば回れだ。休息の後ヘリオローブに向かう。これでどうだ」
カグツチは俯きだまりこむ。
そして絞り出すように声を出す。
「………分かった」
「よし。よく言った。じゃあ今日のところは解散だ。」
俯くカグツチをトリトンが尻目で心配そうに見る。
そんなトリトンにアエリが声をかける。
「トリトン様」
「!あ、ごめん。」
「マヴロさんに防衛任務の近況確認をしましょう」
「………そうだね。了解。」
トリトンは励ますようにカグツチの肩を叩いて、アエリとフロマと共に部屋を出ていく。
「カグツチ。しばらく働き詰めで疲れただろう?今日はゆっくり休め。」
「………分かった」
「あ!姫様はお部屋に案内しとくから安心してー」
「はい。ありがとうございます。」
そう言って部屋の外へ出ていく。
そのあとシューも発言する。
「あ、僕達も少し泊まっていーい?」
「はい。当然です。」
「わーい」
シューとテフヌトも外に出ていった。
「あ、部屋の案内!………行っちゃった。まぁ城下町内なら大丈夫か」
ラムチも同じく外に出ようとするがハッセルに声をかけられる。
「ラムチ!」
「なあに?」
話し出す前にハッセルは周りを見渡す。
「すまないが部屋を出ていてくれ。ラムチと話したい。」
「あらやだ。何話す気?」
ハッセルの言葉の後に部屋に残っていた残りのメンバーもぞろぞろと退散していく。
「んで。爺さんが何の話?」
「………カグツチのこと。よく見ておいてやってくれ。暴走しないか心配で………」
「大丈夫よ。あの子だってわかってるわよ」
「そうだといいんだが………」
ラムチが不満そうな顔を浮かべる。
「私もアンタに陳情があるんだけど」
「………なんだ?」
「あの子の生い立ちのこと。話してあげてもいいんじゃない?あなたの思いも知るきっかけになるんだし。」
「………検討はしている………がこの生い立ちはカグツチにとって理由にはならない。むしろ暴走に繋がることだってありえる。」
「あんたの思いを伝えてあげることだって無駄では無いと思うけど」
「………検討しておく」
「はいはい!検討してくださいね!」
「………お前からは話さないでくれ、少なくとも………今すぐは………」
「ん?はーい。そのつもりですよ」
そう言って首を傾げながら返事をしてラムチは外に出ていった。
ラムチは部屋や料理などの準備をして一同は疲れを癒やす。
そして次の日の朝カグツチは氷の国からいなくなっていた。
風の国編を読んでいただいた方、またこの話を偶然開いて読んでいただいた方も本当にありがとうございます。
現在次の章を執筆中で、書き終わり次第また毎日投稿させていただきます。
もしよろしければお待ちいただけますと幸いです。




