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十国十魔剣伝  作者: 禄之羽礼
水の国編
24/30

水の国編19話

トリトンは魔剣を見つめている。

「トリトン様………?ご無事ですか………?」

岩越しに声が聞こえ、トリトンはハッとした表情を浮かべる。

そして真剣な表情を浮かべて心の中でし声を広げる。

(………多分、この剣は水を出せる………のか?自由自在に………?なら………)

「ごめん!一個手を見つけたかも?」

「………そうですか?」

トリトンは魔剣を、入り口方向を塞ぐ大きな岩に向ける。

「水で岩を砕けば………!」

「………トリトン様の魔法では………」

アエリが話し終わる前にその後勢いよく水の魔剣から水が放出されて、入り口方向を塞ぐ大きな岩は砕ける。

そしてアエリとの対面を果たす。

「アエリ!」

「トリトン様………。いったい何を」

アエリは右足を先ほど壊した岩とは違う岩に挟まれていた。

「足が!ちょっと待ってて!」

その岩に向けて魔剣を向けると再度勢いよく水が放出されて岩が砕ける。

その光景を見てアエリもまた驚きの表情を浮かべる。「………あ、ありがとうございます」

「遅くなって本当にごめん!今はとにかく急いで洞窟から出よう!」

トリトンは魔剣を上に向ける。

すると再度大量の水が出現し、洞窟の天井を浸していく。

そして天井は凍りつき、自然の氷の洞窟が出来上がる。

「とりあえずこれで少しは崩れないはず!」

そう言うとトリトンはしゃがんで、座り込んでいるアエリに背中を向ける。

「手は動かせる?おんぶするから!」

「え?」

アエリの表情がみるみる赤く染まっていく。

「え………いや………その………はい」

アエリがトリトンの肩に手をかけ、ガッチリとトリトンの体をつかむ。

アエリの心臓の鼓動が早くなる。

そしてトリトンの側頭部に顔をつけ、アエリは頬を赤くしたまま、かなり頬を緩めている。

アエリの体重がトリトンにかかる。

「おっ!?」

少し声を上げるが、その後トリトンは立ち上がる。

「………申し訳ありません」

「こちらこそごめん!じゃあ急ごう!」

トリトンは2人を抱えた状態で魔剣を手に持ったまま走り出す。

アエリはおんぶの状態で目を動かしていろんなところを見る。

その中で、トリトンの右腕だけでマグロのように抱きかかえられているゴーレムがいる。

アエリの緩んだ頬は少しずつ元に戻り、ゴーレムに迷惑そうな目線を向ける。

「………こいつ。置いていきませんか?」

「え?こいつには色々聞き出さないことがあるから!」

「………」

「ごめん!」

「………いえ」

アエリは内心で舌打ちをする。

洞窟の入口に向けて走るも、まだ入口は全く見えない。

そして崩れる予兆かのように、天井からは砂煙と小さな小石が落ち続けていた。

そんな天井に走りながら魔剣を振って、水をかける。

そしてそれを凍らせ、氷の洞窟を生成しながら進んでいく一行。

「入口は遠いね」

「はい。」

「大丈夫?おんぶ辛くない?」

「………はい。大丈夫です。………重たくないですか?」

「あー。重たいかも?」

「!!!」

アエリはショックを受けた悲しそうな表情を浮かべる。

「流石に2人抱えてるからちょっと重たいかな。でも大丈夫!」

「………ありがとうございます。」

アエリは少し安心した後に、すぐにジトッとした目線を向けて、変わらずトリトンにくっつき続ける。

そしてトリトンも変わらず出口をめがけて走り続ける。

「天井を氷漬けにして、固定して進んでいけば多分大丈夫なはず!」

「………はい。………固定できるならもう少しゆっくり進んでもいいんじゃないですか?」

「アエリ大怪我してるんだし、急いで出ないと!」

アエリの頬が再び赤くなり、表情が緩む。

「………私迷惑ですよね。………こんな時に怪我をしてしまって」

「そんなことない!アエリにはいてもらわないと困る!」

アエリの表情がさらに緩んで、口角が下がらなくなる。

アエリの心臓の鼓動もさらに速くなる。

そしてトリトンを掴む手をさらに強めて、ギュッと抱きつき直す。

「急いで戻ろう」

「しかし魔剣の力は凄いですね。」

「ね。多分水を自由自在に好きなように出せるんだと思う。」

やり取りの最中ゴーレムがゆっくり目を空け、顔を上げる。

そして少しの間の後に、入り口への道、天井、そしてトリトンが持っている魔剣に順番に目線を向ける。

「………おい」

トリトンは横を向きゴーレムの顔を見る。

「あ!起きた!ごめんな。今洞窟から脱出してる最中」

「………俺をどうするつもりだ?」

「とりあえず牢屋に閉じ込めて………ひとまず事情聴取かな。」 

「生きてるのが辛いほどのことをするかもしれません。いやでしたらここで降りることを推奨します。」

「こらこらアエリ。そんなことはしないから」

トリトンは2人を抱えて走りながら言葉を発し、アエリは再度内心で舌打ちする。

「………お前勝った気でいるの?」

「………ん?」

「俺の魔法は岩を操る魔法だぜ?縛られてようが岩が凍ってようが起きてれば使えるんだ。」

ミシミシと洞窟内に大きな音が響く。

「こういう事も出来ちゃうんだよなぁ!」

そして再度天井が大きく崩れ、大きな岩が断続的にトリトンめがけて落下してする。

それを見てトリトンはジャンプする。

その行動にアエリとゴーレムは驚きの表情を浮かべる。

そしてトリトンの真下に、まる楕円形の板の形で水が出現し、それが凍ることで氷のサーフボードが出来上がり、サーフボードの上に着地する。

その後洞窟の奥から水流音が響き、水がものすごい勢いで流れてくる。

サーフボードを水に浮かび、それに乗ったトリトンは猛スピードで洞窟を進んでいき、落ちてきた大岩も難なく躱していく。

大岩は着水し大きな水しぶきが断続的に上がる。

「なっ!ちっ!」

ゴーレムは再度天井の上を見て、どんどんと岩が落ちてくる。

だが猛スピードで進んでいくトリトンを捉えることはできず、大きな着水音と、水しぶきを断続的に上げるだけである。

「クソがクソがクソが!」

ゴーレムのうろたえを見て、アエリはしたり顔をする。

サーフィンで進んでいくとやがて小さな入り口の光が見えてくる。

「よし出口!」

猛スピードでサーフボードに乗りながら出口めがけて進んでいく。

その中で急にハッとした表情を浮かべる。

「トリトン様!」

「ん?」

「入り口に大きな岩あります!」

「あっ!」

トリトンが前を見ると、入り口には近づいてきているが、入り口の光は上の方しか差しておらず、それ以外は大きな岩があった。、

「ヤバい!!!ぶつかる!!!」



一方その少し前。

洞窟の外ではカグツチ、クリオス、ラムチ、そしてロスカの4人が待機していた。

カグツチは座ったまま、クリオスは気絶したままのクリオスを見張っていた。

するとコカトリスがゆっくりと目を覚ます。

そして目線を動かし、自分を縛っている縄を認識する。

「………あぁ。負けちゃったでいし」

ロスカ以外の一同はコカトリスに目線を向ける。

「おい。お前たちの目的は?同行者はいるのか?」

「………内緒でいし。相手にそんなこと言わないでいし」

「そうか。お前の服と縄は俺が触れたから燃やせるぞ。」

コカトリスはふふふと笑って自分の縄を見る。

そして縄はみるみる内に岩へと変わる。

「ハハハ。縄ら石に変えれば燃えないでいし」

「………石だと縄解くのすごい時間かかるぞ」

「あっ」

しまったという表情を浮かべるコカトリス。

しかし洞窟の方から断続的な崩落音が響き渡る。

ロスカ以外は驚いて、洞窟の方を見る。

そしてコカトリスはニヤニヤと笑っている。

「兄貴。派手にやってるでいしね。」

「兄貴?」

「ここには2人で来たんでいし。」

そして洞窟の方から水が流れる轟音も聞こえてくる。

「この音は!!!!兄貴が水の魔剣を入手したでいしね!水の魔剣士が見れるのも近いでいし!」

「なっ!」

カグツチは四つん這いで近づいた後に、コカトリスを体をつかむ。

「お前を人質にする。」

「人質なんて関係ないでいし。兄貴ならうまくやってるでいし」

そして洞窟を塞いでいた大岩が大きく壊れる。

轟音に一同が洞窟の方に目線を向ける。

そして龍のように洞窟の中から、水流が上を昇っていき、そこを氷のサーフボードで飛んでいる者が見える。

一同は目を凝らしてそのサーフボードを見る。

そこにはトリトンとおんぶされているアエリ、そして横には抱えられたゴーレムがいた。

トリトンは魔剣を手に持っている。

「おおお!!!」

一同はそんな姿を見て歓喜の絶叫をあげる。

コカトリスは縛られているゴーレムを見つけ、笑っていた顔が見る見る絶望の顔に変わっていく。

「あ、あ、」

そしてコカトリスは絶望の絶叫をあげる。。

「兄貴ー!!!」

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