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十国十魔剣伝  作者: 禄之羽礼
水の国編
22/30

水の国編17話

ゴーレムの水の魔剣での攻撃指示が洞窟内を反響しこだまする。

トリトンは剣を縦に構えて防御態勢をとる。

しかし水の魔剣は何も起こらない。

「あぁ?水の魔剣!コイツラを………洗い流せ!」

再三の叫びが洞窟内を反響してこだまする。

しかし状況は変わらず、水の魔剣からは何も水の一滴さえも出ない。

「あ?水の魔剣の力は………水を………出す力の………はずだろ!?何でぇでねえんだよ!」

大声を上げて怒り狂うゴーレム。

その隙を見逃さずトリトンは接近する。

そして距離が近づいたところでゴーレムも気づき、後退りしようとするが地面は氷となっており滑って、尻もちをついてしまう。

トリトンはゴーレムの前まで迫り、トリトンの剣がゴーレムの眼前まで迫る。

「あー!!!」

ゴーレムが怒りの大声を上げる。

しかしトリトンは剣を振り下ろさず、直ぐ様近くに着地し、そのまま更に奥にジャンプする。

すると入り口の方角に落ちていた岩たちが磁石のようにゴーレムの身体へと集まっていき、それが手に、足に身体へと集まっていき、岩の人型を形成していく。

トリトンは空中で体を反転させて着地し、ゴーレムに目線を向ける。

ゴーレムはゆっくりとヨロヨロと立ち上がる。

魔剣は岩によって埋まる形となっている。

「あー!さみいし、使えないしでイライラする!!!」

ゴーレムは地団駄を踏んでいる。

巨体から繰り出される地団駄により、ドスンドスンという音と砂煙が軽く舞っている。

そして目線をトリトンの方へ向けて振り返る。

「この野郎!」

ゴーレムはトリトンめがけて突進する。

そして肩を突き出し一直線にタックルをする。

トリトンはそれをただ躱し、入り口の方角へとジャンプして距離を取る。

目標を失ったゴーレムは前のめりに滑って、転んでしまう。

ゴーレムは少しの間の後に、ヨロヨロとゆっくりと起き上がり、トリトンの方を向く。

「水の魔剣!!!んで水が出ねんだよ!!!」

子供のように駄々をこねるゴーレム。

「お前を押しつぶしてやる!」

再度ゴーレムが突進をするが、トリトンは難なくその攻撃をかわす。

またもやゴーレムは前のめりになって倒れる。

そこにトリトンは雨を降らせ、ゴーレムの背中はみるみる内に濡れていく。

そして背中側も水が一瞬で凍りつく。

ゴーレムは再度また立ち上がる。

「ぬれるのもぉ!冷てえのもぉ!イライラすんな!」

目を血走らせて駄々をこねる。

「お前、俺たちって言ってたな。洞窟の外にも魔剣を集める仲間がいるのか?」

「あー?魔剣ー?俺達は魔剣をとってて大きくならなきゃいけねえんだ」

「………コカトリスとか言うのはお前の仲間か?」

「あー?コカトリスー?コカトリスは………俺の弟だ。」

フラフラとヨロヨロとしながらゴーレムは続ける。

「………そうか。血は繋がってるのか?」

「あ………?血………?そういえば血が出てねえなあ!」

ゴーレムが再度突進を繰り出すが、先ほどのデジャブのようにトリトンはあっさりと躱し、ゴーレムはまたもや前のめりに転ぶ。

ゴーレムはよろよろと立ち上がる。

「てめえ。………躱しやがって。でも躱すだけじゃ足りねえんだよ!」

先ほどよりも落ちたスピードで再度の突進を繰り出す。

しかし結果は全く変わらず、トリトンは躱し、ゴーレムは転んだ。

またヨロヨロとゴーレムは立ち上がる。 

「あー。さみいなあ!」

人型の岩から露出した唇がぶるぶると震え、青色に変色してきている。

顔も血色の良かった顔から、色も少しずつ白くなってきている。

「あの女が魔剣をどうとか言ってたが、氷の魔剣を奪ったやつと仲間なのか?」

「あぁ?氷の魔剣?ちっ!」

ゴーレムは歯を食いしばる。

そして急に直立不動となって上を見る

「俺たちはなあ!昔から!ラグナロクに属してたんだよ!!!」

「………ラグナロク?」

「俺達はラグナロクに属してたんだよ!!!序列は!!!コカトリスが99位!俺が96位!!!コツコツ上がってきたんだよ!!!それなのに!!!あの女が!!!魔剣を持って帰ってきた!!!許せねえ!許せねえ!許せねえ!序列も一気に上げやがった!!!」

「ラグナロクとは?」

「俺達は!!!魔剣を!集めてんだよ!ボスが!!!集めてんだ!!!俺達には!全員!コードネームも付いてる!!!序列も100位からつけられる!!!それを!!!コードネームも付いてなかったポッと出の女が!!!」

「序列?」

「ラグナロクの!!!強さランキング!!!活躍に応じて!!!ボスが決める!!!」

ゴーレムは再度勢いよく地団駄を踏み、血が出るほどに唇を噛みしめる。

「この寒さもあの女のせいだ!!!あの氷の魔女め!!!」

トリトンが少し驚きの表情を浮かべる。

「やっぱりお前らの仲間か。」

「あんな奴!仲間じゃ!ねえんだよ!」

ドカドカとうるさく近づいてくるゴーレム。

そしてその人型の岩の高い位置から、地面にパンチを連続で繰り出す。

それを横に縦に縦横無尽にダンスをするかの如く避けていく。

避けていく中、地面にパンチを繰り出し続けるゴーレム。

地面から砂煙が舞う。

「オラ!オラ!オラ!」

蚊を潰そうとするかの如く、トリトンがいた位置に鉄槌を下すが、難なく躱される。

またゴーレムの動きも段々と鈍くなってきている。

「お前の魔法は?」

「あ?あー?魔法?」

片手を振り下ろしたところで止まるゴーレム。

「俺は………岩を操れる。体を作ったり………洞窟を崩壊させたり………。コカトリスは………目で見たものを………石に変えられる………生物以外………」

「そうか。ラグナロクの面々は全員魔法使いなのか?」

「ラグナロク?俺達は………魔剣を集めてるんだ。そうだ!魔剣!俺は水の魔剣士!水の魔剣!水を出せ!」

しかし人型の岩の内側に入った魔剣は何も反応しない。

「魔剣!!!反応!!!あー!!!」

トリトンは哀れむような表情をゴーレムに向ける。

「寒い!眠い!ふざけ!」

先ほどよりも相当落ちたスピードでトリトンに向けて突進するが、またも空振りに終わり、ゴーレムは前のめりに転ぶ。

ゴーレムは恨めしそうな表情を浮かべる。

「許さん!許さん!許さん!」

そして何かハッとした表情を浮かべてゴーレムは急に何かを踏ん張るようなポーズを取る。

「暑い暑い暑い暑い暑い!!!暑くなってきたぜええええ!!!!!」

顔色や唇の色が悪い中で、血走ったハイな笑顔を見せるゴーレム。

「ハハハハハハハ!」

そして高笑いを上げながらドスドスとトリトンに向けて走り出す。

そして拳が届く距離まで走って移動する。

トリトンはその動きを見て何も動かずただただその走りを眺めていた。

「死ねー!!!」

ゴーレムは腕を引き上げてトリトンに向けて振り下ろそうとする。

その攻撃を一切避けようともせず、表情も変えず剣だけを構えて、ただ拳を見つめるトリトン。

そしていざその手が振り下ろされようとする直前、ゴーレムは膝をつく。

「あ………?」

ゴーレムは信じられないという驚愕の表情を浮かべている。

拳はトリトンに当たる直前で止まった。

そしてゴーレムを纏う人型の岩はゴロンゴロンと音を立ててみるみると落ちて崩れていき、ローブを着たゴーレムと魔剣が露出した。

そして魔剣もコロンと地面に落ち、金属音が鳴る。

ゴーレムは目を見開いて目の前を見ている。

そしてそのまま下に落ちた岩の上に前のめりにゴーレムは倒れた。

そんな倒れる姿をトリトンはただ当然のことのように見下ろしていた。

先ほどまで岩の音で喧騒が広がっていたが、一転洞窟の中は静寂で包まれた。

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