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太田君の彼女は妖精さん⁈  作者: 本田 そう
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撃ち抜く

「もう‥‥これしかないのか」

確かにこれはアクアの先程の雷撃波より強力だ。しかしこれを使うにはカンナだけの結界では無理。アザゼルの協力さえあればなんとかなるはずなんだが‥‥‥。


ヒロはアザゼルに近寄ると耳元で小声で


「アザゼル、俺は‥‥俺の命をおまえにやる。だから俺に協力してくれ」


「!!」


「アザゼル」


「本気で言っているの?」


「ああ」ヒロはコクリと頷いた。


アザゼルは天井を仰ぐと何か周りには聞き取れない程の小声で言って‥‥そして、


「‥‥‥わかったわ。協力する」


「ありがとう、アザゼル」

ヒロはアザゼルに礼を言うと今度は大平 沙也加に、


「大平さん、俺の声、聞こえる?」


【えっ、ええ、聞こえるわ。‥‥アクアの、うまくいった?】


「‥‥‥失敗‥失敗した‥‥」

ヒロは気落ちした声で言うと


【‥‥‥じゃ‥‥じゃあ‥‥】

大平が唖然とした。


「だから今から直ぐに別の作戦に切り替える。これは‥‥‥大平さん、青葉に伝えて、直ぐにでも今以上にトンネルから離れてくれ、と」


【あ‥‥う、うん‥‥わかったわ。けど‥‥今度のわ‥‥】

大平が作戦について聞くと


「時間がない!閉じる前に、穴が閉じる前に。だから急いで青葉に」


【え、ええ。わかったわ‥‥‥太田君、無理はしないで】


「‥‥‥ありがとう」

そう言うとアザゼルにヒロは


「アザゼル、あれを雷撃波みたいなので打ち抜けれるか?」

指を指しながらアザゼルに聞くと


「‥‥問題ないと思う」

アザゼルは答えた。


「ヒロ‥‥‥いったいなにをするきなの?」

カンナはヒロを心配そうに見つめて聞くと


「あれを使うんだ」

ヒロが指差す所には‥‥‥


「あのタンクローリーを使う」


タンクローリー‥‥ガソリンなどを運搬する特殊車両。あれを『結界の壁』に開いた穴の前に止め、タンクにアザゼルの雷撃波のようなもので撃ち抜く。たぶんこの爆発はアクアの先程の雷撃波の比ではないはずだ。カンナだけの結界では対応できないはず。アザゼルとの結界でなんとかしのげるはず。この爆発をなんとかしのげれば爆発の力は逃げ場を失い唯一の『結界の壁』の穴に集中する。


「‥‥うまくいく‥‥うまく‥‥」

ヒロは声に出しながらタンクローリーの運転席へ乗り込むと、タンクローリーを穴の正面に止めた。そして運転席から降りると


「アザゼル用意‥‥‥‥」

ヒロが叫ぶその時上から‥瓦礫がヒロめがけ落ちてきた。


「‥‥‥‥なっ‥‥‥‥がっあ!」

「ヒロ!」カンナが叫ぶ。

「!!!」アザゼル。


ヒロは下半身を瓦礫に埋まり身動きが取れなくなった。


「何故‥‥瓦礫が‥‥なっ!」

上を見たヒロは瓦礫が『結界の壁』をすり抜け落ちて来るのを。そして次から次に瓦礫がヒロめがけ落ちて来る。


「‥‥くっそ‥‥がっ!‥」

瓦礫に埋まり行くヒロを見たカンナは


「ヒロ!今助けに行く‥‥」

「来るなあ!!!」


カンナの助けを拒むヒロ。


「‥‥時間が‥‥ない」

そう言うヒロの後ろの『結界の壁』の穴周りのひび割れがいつの間にかなくなり、穴も徐々に塞がろうとしていた。


「‥‥アザゼル‥‥構わない!早く撃て!」


「ヒロ!‥‥アザゼル!」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


「早く‥‥撃て‥‥」


「ヒロ!!!」


「‥‥アザゼル‥‥撃て‥‥」


アザゼルは下を向き両手をタンクローリーのタンクに向け‥‥‥‥‥そしてアザゼルの両手から放たれた白い矢はタンクを撃ち抜く。





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