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太田君の彼女は妖精さん⁈  作者: 本田 そう
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大平 沙也加 その1

ここから大平 沙也加の過去話になりますので

しばしのお付き合いをm(_ _)m

私が初めて太田君に会ったのは中学一年の三学期の終わり。彼は1組、私は2組でクラスが別々だった事もあり知る機会などほとんどなかった。

そんな彼と会う機会があったのは、私のクラスの不良達に絡まれた事がきっかけだった。


「おまえさあ、いつも俺達に注意ばっかいいやがってよ!ほんとお、うぜえぇんだよ!」


「はあ?当たり前でしょ!悪い事をしたら注意するのわ」


当時クラス委員長だった私はいつも周りに迷惑を掛ける不良達に注意をした。けどそれが面白くない不良の一人が食って掛かってきた。


「別にいいだろ!誰にも迷惑なんか掛けてないしよ!」


「それが迷惑なのよ!ここは小学校じゃないのよ!」


「うるせえ!黙れよ!説教ババが!」


「せ、せっきょ‥‥‥」


すると不良の一人が私の胸ぐらを掴むとグイッと持ち上げる。中学一年といっても男の子の身長は高い子は高い。私はつま先がつくぐらいまで持ち上げられた。


「ったく、うるせえだよ!」


「‥‥く、苦しい」


周りを通る生徒達はみんな見て見ぬふりして通り過ぎる。みんなこの不良達に関わりたくないのだ。


『そうよね。みんな自分が一番だから。私も委員長でなければ‥‥、殴られるのかな私‥‥』


そんな諦め掛けていた時、太田君が現れた。


「‥‥ねえ、そこでなにしてるの?」


不良達は男子(太田君)の方に目をやると、


「なんだよ!‥‥はあ!?剣道部の奴かよ」


道着に袴姿で竹刀を4本肩に担いで丁度部活に行くところだったんだろう。


「数人の男が一人の女の子に‥‥て告白してんの?」


「はあ?これが告白に見えるのかよ!これが!」


『‥‥そんな事より早く助けなさいよそこの男子は‥‥』


私はそう思いながらその男子を見た。するとその男子は私と目が合うとニコリとして軽く会釈をして来て


「あっ!お取り込み中みたいなので失礼しますね」と言った。


私はその言葉に業を煮やしたのか?それとも他の生徒と同じで不良達にかかわりたくないのか?私は言った。


「‥‥そんな事より‥‥た‥たすけな‥さい‥‥よ」


胸ぐらを掴まれているのでうまく言葉が出ない私は精一杯の声を出して男子にいうと、


「えっ?助けるんですか?けど俺不祥事起こすと試合に出れなくなるどころか、部にもいられなくなるから」


あっけらかんとその男子は私に言ってきた。


『やっぱりこの男子もみんなと同じ‥‥‥」


私がそう思った時その男子は肩に担いだ竹刀を一本取り出すと竹刀の持ち手の方を不良達に出すと


「喧嘩はダメだけど剣道の試合なら‥‥」


気弱そう?な感じでいう男子に不良達は


「はあ?剣道の試合?でその竹刀で俺とやりあうつもりかよ」


「‥‥うん‥」


「『うん』だとよ!」


大笑いする不良達にその男子は竹刀をズイッと突き出した。不良達は笑いをやめその男子を睨みつけた。


「ねえ。やるのやらないの?」


「ナメてんじゃねえぞ!やってやんよ!」


そう言うと不良は私の胸ぐらを掴んだ手を離すと私はその場に尻もちをついた。


「きゃあっ!‥‥‥痛い‥‥」


私はすぐにその場から離れると剣道部の男子の顔を見た。その男子の顔には覇気のような感じは無く寧ろ悲しみ?いえ、暗い?と言ったほうが近いのか、その様な顔、瞳をしていた。


「ズタズタにしてやんから覚悟しておけ!」


不良がそう言うと男子から竹刀を強引に奪おうとした時「ズシーン」と音とともに不良は地面に竹刀と一緒に落ちた。

一体何が起きたのか私を含めた不良達もわからなく、


「何やってんだよ」


と不良の一人が竹刀を持とうとした時、


「な、なんなんだよこれ!」


その竹刀は片手では持ち上がらなく両手で持ち上げることができるほど重たかった。


「あっ、その竹刀持つ時気おつけて下さい。中に10キロの鉛が入ってますから」


男子は言うと軽々とその竹刀を片手で持ち上げると素振りをしだした。

不良達は勿論、私も目を丸くしてその光景を見ていた。けど、私は寧ろそれよりもあの男子確か4本竹刀を担いでいたはず。つまり40キロを軽々担いで歩いていたことになる。しかもあの無表情の顔。


「早く試合しましょうよ。但しこの竹刀でやりますので骨折ぐらいで済めばいいですが」


そして男子はまた不良達に竹刀を渡そうとするが


「そ、そんなのやってられるか!自分一人でしてろ!」


と逃げて行ってしまった。



それが私と太田君の初めての出会いだった。


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