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Free job online ~祝育士としての日常~  作者: 八神 憂
海の街と新規さん
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新規プレイヤー 1日前 夜1-1

 夜1で終わらせようと思いましたが長くなり2話構成になりそうです。

「あ……あー」


 夜に再度ログインするも見慣れた自室ではなく礼拝堂の入り口であった。


「気付かれずに出れないかなー」


 自身の服装の事など考えずに後ろの出口に向かうも見つからない訳もなく、プレイヤーが声を上げる。


「シスターさんだ。ホントにこの街に来てたんだ」


 その後の展開が手に取る様にわかるアリアは深く溜息。巫女服なのにシスターさんコールをされてしまい観念して礼拝堂側に視線を移して諦めた様に一言。


「わかりましたから、せめて着替えさせてください。あと並んで下さい」


 言うや否やモーセの如く人の海が割れ更衣室までの道が開く。その光景に何も言わず出来た道を無表情で歩く。


「外出てからログアウトしとけばよかった……」


 更衣室に入り呟きながらも装備欄を開き一旦全解除しインナーのみにし上から順に着ていく。上着部分は余り変化が見受けられないのは渡された時点でわかっていたが、スカートを履いた時に違和感を覚え、スカートを持ち上げる。


「なんでスリットが入ってるんですかね運営ぃ!」


 足元から太ももの上辺りにかけてスリットが小さくない範囲で両側に入っている。普通に立っているだけではブーツが見えるだけであるが、歩いたり少し持ち上げただけでふくらはぎどころか太ももまでチラチラ見えるのが分かってしまう。


「確かに少し動きやすくなったけどさ……にしてもコレはなぁ」


 太ももの上の方は黒スパッツ状のインナーであるため恥ずかしくないのだが、知り合いの一部の人達がこのスパッツをロマンが無いと切り捨てるのが想像できてしまう。その後の事は思いもしたくないため意識を切り替え頭巾を被る。


「あ、こっちもあんまり変わってないのか。何故スカートだけ変えた」


 文句を言いながらもアクセサリーである銀の十字架を首に下げると突如メッセージが表示される。


「えーと?条件を満たしたため新たなジョブが取得可能になりました?昼に変えたばっかりなんだけどなー」


 後で確認しようと思いながらも設置してある姿見で恰好を確認しながら最後に桜色の羽織を羽織る。そして意を決して更衣室を出る。


「お待たせしました。ちゃんと並んでますね」


 傍からだといつも通りに見えるように振る舞う。スカート部分に意識を持たせない様に最小限の動きで加護の準備を済ませて後は前に居るプレイヤーから順に加護をしていく。



「シスターさん何か少し装備変わった?」

「気のせいですよ。前の方たちと同じ加護でいいですか?」


 数十名捌いた後にたまに見る顔のプレイヤーにそんな事を尋ねられるも白を切り加護をかけていく。疑問を持ちながらも加護を貰いお布施を渡している次のプレイヤーの番がやって来るが、その2人はアリアが見知ったプレイヤーであった。


「アリアこんばんはやな!相変わらず繁盛しとるな」

「アリアさんこんばんは。調子はどうかしら」

「アキさんにカナさんですか。こんばんは。お二人も同じ加護でいいんですか?」

「ええ。それでお願い」

「私も同じ……けどその前に!」

「……えっ」


 加護の範囲選択の為に思考的に無防備だったアリアはカナの手によりスカートが横にずらされる。大きく露出する太ももに周りがざわめく。ずらされたスカートを抑えて沈黙するアリアと頭を抱えるアキ。


「ふっふっふ私の目は誤魔化せ痛ァ!」


 満足そうに言うカナに思いっきり拳骨をお見舞いし黙らせる。


「ホンットにバカねぇ!!割とデリケートなの知ってるでしょ!!あーあーアリアさんが俯いて!大丈夫?」

「…………自室帰る。キャラ消す」

「あーもー!真っ赤にして今にも泣きそうな顔じゃない!ほら!謝りなさい!アリアさんも操作やめて」

「ごめんごめん。まさかそんなに気にしてる事だとは思わんくてな」


 周りの謎の歓声を無視してアリアを宥める。数分してどうにか落ち着かせスカートに関して何も聞かない……というより聞けないままに加護を受けてお布施というより慰謝料を払い教会を後にすることになった。その後は誰も何も言えずに粛々と加護を受けて最後のパーティを済ませる。なお一部では泣きそうなアリアで盛り上がったのは余談である。


「これで終わりですね。さてと」


 疲れた様に呟き神父の所へ行き、部屋はどう取るのか尋ねる。


「一度宿の入り口の受付で空いてる部屋を指定したまえ。それで鍵を受け取れば完了だ。そこの奥にある扉と宿は繋がっているから利用すると良い。とはいえ通れる装備は当然修道服だが」

「わかりました。ありがとうございます」


 お礼を言いふらふらと教会を出て横にある宿に向かい言われた通りに部屋を指定してそのまま宿を出て本日二度目の神殿を訪れる。


「ジョブの一覧を見てみたいんですけど」

「ジョブ一覧じゃな」


 祝育士の欄を見てみるとそこにはアナウンス通り新たなジョブが追加されていた。


祝育士↓

……………

・祝福士 条件 祝育士Lv.30+中級修道服一式の獲得と装備

・??? 条件 祝育士Lv.30+???

・??? 条件 祝育士Lv.30+???


「またアバウトなジョブ名だなぁ」


 そう言いながらも加護の効果を見たい為選択してみる。


「終わったぞ。他に説明することはあるか?」

「無いですよ。ありがとうございました」


 そそくさと場を離れて早速1人で加護を確認する。


・集福の加護 分類:補助

 効果:自分以外のプレイヤーのモンスターからのドロップ率及びドロップ量を上げる(祝福士時限定)

 消費MP:プレイヤー1人につき200

 効果時間:魔防6につき1分(最大90分)

 効果インターバル:360分


「んー!また求められそうな加護が来たなぁ!」


 ドロップ関係という重要項目の加護を得てしまったアリアはどうするかと悩んでしまう。そして悩んだ時の行動は決まっていた。


「ミカ姉に聞こう」


 こんな加護得たよと情報を渡してどう扱うかを丸投げして新たな教会の自室に戻る事にした。

 ついに出てしまったドロップ関係の加護。姉達はどう扱っていくのか。

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