第40話 5日目 昼1-3
シルト書いてるとアリアがどれだけ色物かを実感する作者です。でも書き続けるよ!
シルトからのボスが終わったと言う連絡を受けて町へ引き返すアユとアリア。町に戻ると満足気のシラヌイ達がギルド前に居た。
「お疲れ様!でもこれからが本番だよ!」
「お疲れ様。無事辿り着いて良かった」
「大変でしたがシルトの指示のおかげで勝てました。ありがとうございます」
「ありがとうね~狙われた時に身を挺してかばってくれたのは格好良かったよ~」
「ありがとうございます」
「盾職なんてそんなもんだから気にしなくていいぞ」
「おやおやシルトさんモテモテですなぁ」
「アユもからかうな」
照れているのかぶっきらぼうに返すのを見てニヤニヤとしているアユにチョップを食らわせる。あうっと可愛い声を漏らすのを無視しアリアに話しかける。
「そんじゃアユのことよろしく」
「よろしくされました。なんかアユさんのお兄さんみたいだねシルトは」
「そうか?ってか遂に呼び捨てか……てっきりアユの方が先にされると思ってたから意外だ」
「あはは……ミカ姉と話す時シルトだけシルト呼びにしてるからつい」
「まぁ好きに呼べば良いさ」
「ジーー」
よろしくされたアユがジト目気味に2人を見ていて、どうしたの?と聞いてみると率直に答えが返ってきた。
「シルトだけ呼び捨てズルい!私ももっとアリアちゃんと仲良くしたいんだよ!皆にさん付けするからそういうモノだと思ってガマンしてたんだよ!」
「い、いやあのね?シルトだけが少し特殊というか何というか……ね?」
「アリアもその説明はどうなんだ?」
「うわーん!シルトにアリアちゃん取られた!」
「取った記憶無いし元々アユの物でもないだろ。いいから落ち着け」
アユのハイテンションに着いて行けずあわあわしている2人を眺めている3人組は各々の感想を述べていた。
「はたから見たら完全に浮気現場ですね」
「そうだね~でも浮気者がアリアちゃんというのが面白いね」
「止めなくていいんでしょうか?2人がこっちに助け求めてるけど……」
「楽しいのでもう少し眺めていましょう」
完全に外野を決め込むシラヌイ達であった。その後もアリアがアユさんと呼び続けていじけるが再度シルトのチョップにより強制的に落ち着き「わかったよ……でもいつかはアユって呼ばせて見せるよ!」と宣言することで漫才は終わった。
「じゃ!アユのせいで遅くなったがクエストがんばれ」
「シルトは受けないんですか?」
「ん?オレはもう受けた後だ。少し時間が空いたときに済ませた」
「さすがシルト逃げる準備は万端だね!」
「ぶっちゃけ女子に囲まれ続けるのは精神的にキツい」
クエストはそこまで難しい物では無いようなので案外早く終わるとのことだった。ギルドから去っていくシルトの背中を見送った後、3人組とアユ、アリアはそれぞれのパーティを解散にし各自クエストを受けることにする。ギルドのカウンターに並びアリアの順番が来る。
「冒険者ギルドへようこそ。ご用件はなんでしょう?」
「種族変更のクエストを受けに来ました」
「種族変更のクエストですね。ギルドカードの提示をお願いします……はい確認完了しました。クエストの説明はいりますか?」
「いえ、大丈夫です」
「わかりました。では分からなくなりましたらギルドカードでご確認ください。他にご用件はございますか?」
「ありません。ありがとうございます」
「またのご利用をお待ちしてます」
スタタの町のギルドと違い淡々と終わるクエストの受理にあれ?と思いながらも席を立つアリア。先に受けたアユと合流しクエストの内容を確認する。
「終わったよ。あとはシラヌイさん達だね」
「そうだね。アリアちゃんのクエスト内容はどんな感じ?」
「えーと……フォストの町の中で加護を15回付与だね」
「なんというか予想通りって感じだね。祝育士らしいっていうか」
「まあ敵を何体倒せとかだったら困るからこれでいいかな。アユさんは?」
「ん?風魔法で森の中の敵を20体倒せだよ。サクッと終わらせるよ!」
「さっきまでやってたもんねとシラヌイさん達も来たね」
「お待たせしました」
3人組も混じり各クエストの内容を確認するが、やはりどれも戦闘関連ばかりである。アリアは1人町の中でのクエストで少し寂しそうにするが気を取り直して笑顔でアユ達を送り出してどうしようかと思いながらも、とりあえずギルド内に居る遠巻きに見ていたプレイヤーに話しかける。
「すいません、少しよろしいですか?」
「は、はい!なにでしょうか!」
「ちょっとクエストで加護をかけないといけなくなりまして……かけてもいいですか?」
「喜んで!」
緊張気味の男性プレイヤーの様子も気にせず加護の種類と効果を告げて選ばせる。力の加護を選択したのでそのままかけてありがとうございますと告げて次のプレイヤーを決めていく。「巫女さんから声をかけられるとは思わなかった」とは加護をかけられたプレイヤーの言である。
3人のプレイヤーに加護をかけた時にある事に気付く。
「あーそういえば普通消費MPって100なんだっけ……いつも教会にいたから気にしてなかった」
ステータスを確認していつもより減りが早いMPを見て、急遽魔力薬の残りを確認する。魔力薬の残りは13本でかなりギリギリであった。
「足りてるならいいかな?……後でクエスト用とは別に魔力薬作ろうかなぁ」
悩みながらも魔力薬を使用してプレイヤーに加護をかけていく。途中で何で巫女服なのか尋ねられたりもしたが、製作者に任せたらこうなったとだけ答えて加護を済ませる。
「終わった……こんな簡単でいいのかな?」
無事15人への加護を終わらせクエストを確認すると「15/15」と表示される。時間は1人につき2分ほどだったため30分である。終わったと報告した後に魔力草の採取へ向かう。
「装備のせいか結構見られてるね……」
町を歩いているとアユ達と居るときには気付かなかった視線に少し敏感になる。ジロジロ見られても余りいい気分はしないためさっさと町を出て魔力草の採取に励む。
「これくらいあればいいかな……ん?」
アユ達からの連絡を待ちながら採取をしているとドタドタと何かが近づいてくる音が聞こてくる。何事かと道に出ると大量のモンスターを引き連れたプレイヤーが涙目でアリアに向かって走る。
「ご、ごめんなさーい!」
「え?ええー!?」
状況が飲み込めず佇んでいるアリアはプレイヤーが走り去った後に大量のモンスターから狙われる。
植物型のモンスターの蔓に足を取られて逆さ吊りの状態になり、そのあとカラスのような鳥型のモンスターに襲われてHPが減っていく。蔓から抜け出すために足をバタバタさせたり手を振ってカラスを追っ払おうとするがまるで効果は無い。
HPが残り1割になりゲームオーバーを覚悟して目を瞑ると蔓を伸ばしていたモンスターが吹き飛びその拍子にアリアが放り投げられる。数瞬の浮遊感を感じた後誰かに受け止められる。
「大丈夫か?」
声をかけられ目を開くと視界には良く知る顔が写っていた。
「シ……シルト?」
「おうシルトだ……っと話している暇は無いか」
呆然としているアリアを持ちやすいように肩に手を回し両膝を持ち上げる。所謂お姫様だっこなのだが2人とも気にする余裕は無い。
「走るぞ舌噛まないようにな」
「う、うん」
アリアも落ちないように首に腕を回しシルトが全力疾走を始める。途中でカラスに襲われるもそんなもの気にしないとばかりにスピードを緩めずに走る。村の門を潜るとモンスターは興味を失ったかのように後ろを向き来た道を戻る。
「シルトありがとう。モンスターに襲われるのがここまで怖いとは思わなかったよ……」
「気にするな。それにお礼ならアユに言ってくれ」
「アユさんに?」
「アユから連絡あったんだ。男性プレイヤーに絡まれないように見張っててくれって……一旦ログアウトしてたから少し遅くなったが」
「それでも助けてくれてありがとう」
「……どういたしまして」
「それで……その……そろそろ下ろしてくれないかな?微妙に視線がね?」
そこで今の状態に気付いたシルトが足から下ろしてアリアを立たせる。悪かったなと呟くが構わないよと返す。その後クエストを終わらせて合流したアユに2人の微妙な空気について質問されるが、どうにかはぐらかしシルトがログアウトする。
ごめんね!種族変更は次回になります!
教会の中だからステータスアップの加護をMP50で使えてるけど実際はMPがマックスの状態でも現状3回しかうてないよ!教会の仕組み見つけた主人公がどれだけ加護の効率に貢献してるかが分かるね!
シルトが完全に主人公なんですが→動かせるキャラ考えて書いてたらこうなった。
アリアはやっぱり?→ヒロインですね。主人公とは一体うごごごご……




