ろくじう、いち。
「包囲?」
「そう。相手は誰かわかっている。RSSFの超能力者三人だ」
「RSSF?」
疑問する水澤に、裁縫は頷く。
「超能力者研究機関さ。近接・遠方・索敵のスリーマンセルだね」
「見つかったってことは……また絨毯で逃げるか? ステルスで」
「いや、二度目だからさすがに通じないだろうし、向こうは超能力者だ。さすがに発進してからなら逃げきれるだろうけれど、そこまでを許してもらえるとは思えない。それにどのみちもう鼬ごっこだ」
む、と水澤が腕を組んだ。
「なら、どうするんだ? 何とかして逃げるにしても……」
「戦うしかない、か」
低い声で言った早見に、姫森が振り向いた。
「はやみん」
「大丈夫だって。怖くはない」
にやっと笑って早見は立ち上がった。そうじゃなくて、と姫森が言う前に、裁縫が、
「他にも不穏な動きがある。だからなるべく早く決着してほしい。その間にボクは解析と、逃げる準備をしておく」
「わかった」
言うなり早見は何かをしようとした。だから姫森は急いで、
「はやみん」
「だからお前は……ああもう。何だ?」
こちらを見下ろす。だが姫森は、とっさに何も言うことができず、
「――大丈夫、なんだよね」
そう言った。
「帰って、くるよね」
「当たり前だって」
また笑みを見せて、早見はそこから一瞬で姿を消した。




