表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/141

ごじゅう。

 

 

「まだ小説なんて書いていないのに、そう“世界唯一の小説家”などと連呼されるのは、なんだかこそばゆい気持ちがするな」


 肩をすくめて、水澤がつぶやく。


「というか、私も引き受けてもいい気にはなってはいるけれども、そもそも本当に私は小説を書けるのか? いろいろと言ってはくれているが、もしも書けなかったらどうする? 書いたところで面白くもなんともない、笑えもせず泣けもせず、恐怖するでもなく感動するでもない、毒にもならなければ薬にもならない、そんな三流小説だったらどうなるんだ?」


 両手を肩の高さまで広げたポーズで、水澤は裁縫に問う。そんなひとつひとつの仕草までが妙にキマっていて、格好いい。

 対して裁縫は首を振った。


「書けるよ。大丈夫だ、そのあたりは問題ない」


 淡々と、裁縫は断言する。


「キミは小説を書ける。書けるし、それは間違いなく面白い小説になる。――少なくとも、この、小説だか何だかわからない、五十話に至るまで無計画に書き散らして書いてる本人が設定を遡って探さなければいけないようなものよりは絶対に面白い」

「えと、何の話だ?」

「わからないのかい、はやみん。例によって例の如く、御都合主義の話さ。全く、遅筆な上に拙筆で、残りはいよいよ十日だっていうのに、完結できるのかどうかも怪しいんだから……」


 わからない。見れば姫森はもちろん、水澤も要領を得ていないようだ。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ