ごじゅうといち。
しかし裁縫はそれ以上の説明をするでもなく、独り言めいたそれを切り上げて話を先に進め始めた。
「まあ何であれ、唯一にして最善最良最上の策は、すーちゃんが小説を書くことだろう。そういうわけで、そのためにここにまで来たわけだしね」
いいかい? と裁縫が水澤に問いかける。水澤は、難しい顔をしながらも、
「まあ、他に道もなさそうだしな。やってやれないことはないと思うが……」
「ん、いや、でも、ここはここで安全なのか? またどこぞの機関に襲撃されたりとかはしないのか?」
ふと思い出した早見が裁縫に訊く。ここまでの道中や、部屋に入ってからも敵に襲われたりはしていないが、しかし早見のアパートから飛び立つ間際にこちらの姿は見られている。
裁縫は頷いて見せた。
「まあ、今頃はどこの機関も、ボクらがここにいることは知っているだろう。でもそう簡単には手を出せないはずさ――ボクの意識結界もあるし、それにはやみん、キミもキミで、結界を張ってくれてはいるんだろう?」
「……まあ、な」
へえ、と水澤と姫森が早見を見る。早見は頬を掻いた。
「しばらくは大丈夫だろうよ。だからすーちゃんは安心して執筆に専念してくれ。――それから、ボクはボクでちょっと調べたいことがある。空いている部屋を借りてもいいかい?」
ああ、と水澤が頷くと、裁縫は次に早見に顔を向けた。
「で、そういうわけで、しばらくボクも部屋に缶詰めになるから、食事の用意ははやみんがやってくれ。できるんだろう?」
「え、まあ、できないことはないけど」
これでも一人暮らしは長い。しかし、
「レシピブックか何かないと、本当に簡単なものしかできないぞ?」
「ああ、そういう本なら私の書斎にいくつかあったはずだ。後で探し出しておこう」
それぞれの役割を確認して、裁縫はひとつ頷いた。
「よし、それじゃあおおよそそういう感じで。もしものときはボクとはやみん、主にはやみんが何とかするから、そのつもりでね」
「包み隠さず他力本願なんだな」
やれやれ、と首を振りながら早見は立ち上がる。それを合図に、水澤と裁縫も立ち上がった。水澤は、それじゃあ本を渡そう、と早見と書斎に入っていき、裁縫は既に端末を起動しながら別の部屋に向かって行って、
ひとり残された形になった姫森は、慌てて、
「え、――ちょっと、私は? 私は!? っていうか料理って流れ的に私の出番じゃないの? 女子的に! ねえ!?」




