13話
「ガァアアアアアアアアアアア!!!!!」
(まずいまずいまずいまずい!!!)
ロードは恐怖に潰され、腰が抜け、動けなくなる。
「に、逃げ───」
「ガァアアアアアアア!!!」
背を向け足を動かそうとするも、足は思い通り動いてくれない。背後から炸裂音が響き、数秒後の自分を想像してしまった。
「し、死っ───」
「でらぁああああああああああ!!!」
後ろでまた、別の炸裂音が数瞬後に響いた。
「ハッハァ!!やべぇなアイツ!!マジやべぇな!!!」
振り返ると木刀を担ぎ、いつも以上に楽しげに笑ってる姿のシデンがいた。
「シ、シデン、アイツは───」
「─ああ、勝てないだろうな。」
ミシッと遅れて聞こえるのはシデンの持つ木刀から響いた。
「ロード!大丈夫!?」
「だ、大丈───」
「大丈夫なもんあるかよ。アリス、ロード連れて帰れ。」
「あ、アンタはどうすんのよ!」
「決まってんだろ。」
瞬間、遠くで起きていた土埃が霧散し、獣は吠える。
「ガァアアアアアアア!!!」
「遊ぶんだよォ!!ハッハッハァ!!!」
シデンは狂気的な笑みを浮かべたまま、死地へ飛び込んで行った。湧き上がる恐怖を捻り潰すように高らかに笑い続ける。
「死んだら神に天へ召さないよう日々お祈りし続けるわ!!!」
「どこのシスターにそんな物騒なお祈りする奴いんだ笑えてく───」
「ガァアアァアア!!!」
シデンがたっていた場所が瓦礫を残し吹っ飛んでいく。
「シデン!!!」
「───ッハッハァ!!!さっさと帰れアリス!!!俺の邪魔すんじゃねぇ!!!」
怒鳴りつけるようにアリスに言い放った後にまた死地に飛び込んでいく。
「なんなのよアイツ!ずっと思ってたけどなんなのよ!!馬鹿じゃないの!!いえ、馬鹿だったわ!!!それも大馬鹿だわ!!!」
シデンは頭から血を流してなお、笑う。ロードはずっとその光景を眺めながらアリスに運ばれて行った。
──理解出来なかった。あんなバケモノに木の棒一本でシデンは笑いながら立ち向かっていく。なぜ、なぜなんだ。怖くないのか。あれが、怖くないはずなんか無い。普通の人じゃ、僕じゃ無理だ。
考えてるうちに獣がまたこっちに目を向け、飛び込む瞬間。
「ガアア───」
「もっと俺の相手してくれよ!!なぁ!!!ハッハッハァ!!!」
それを読んでいたシデンは横に回り込み一閃、獣を吹き飛ばす。
「っ、死んだら絶対許さないんだから!」
ルビーの目に涙をいっぱい貯めて、アリスは走る。
戦場がだんだん、遠くなっていく。ロードは意識も手放してしまった。




