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補遺10 千葉県警察情報技術課 データ復元結果報告書(抜粋)

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【補遺10】

媒体:千葉県警察情報技術課 データ復元結果報告書(抜粋)

   受託業者:株式会社 ■■■データレスキュー

   復元対象:所在不明者所持物件(私物デジタル機器)

   依頼経路:所在不明者家族 → 所轄署 → 情報技術課

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本資料は、千葉県警察情報技術課が、千葉県特別埋蔵文化財

調査室の所属職員2名(木口照彦・松田誠一)の所持していた

とされるデジタル機器からデータ復元を行った結果のうち、

本書に関連すると判断される項目の写しである。


復元の経緯:両職員の所在不明案件(令和5年8月)に関連し、

家族の依頼により私物の機器が所轄署に提出された。

所轄署より情報技術課へ移送され、データ復元については

外部のデータ復元業者に委託された。


機器の状態:

 ・木口照彦所持のスマートフォン1台

  (電源投入不能。記憶領域に物理的損傷の痕跡あり)

 ・松田誠一所持のノートパソコン1台

  (起動可能。ただしOSの動作が不安定)

 ・松田誠一所持のスマートフォン1台

  (起動可能)


復元データの真正性については、外部業者の復元手順に

依存する。復元データの一部は、原データの破損または

復元処理上の不可逆的な変質により、原状の確認が困難な

ものを含む。


なお、本資料の本書への綴じ込みの経緯について、

当調査室の記録から確認できない。

封緘の状態は確認できる。


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【1】木口照彦 主査の私物スマートフォンより


(1-1)メールアプリの下書きフォルダ


復元時点で「下書きフォルダ」に保存されていた未送信の

メール3件を、作成日時順に収録する。



[下書き01]

作成日時:令和5年7月10日 22:14

宛先:  kiguchi.■■■@■■■.ne.jp(妻と推定)

件名:  (記入なし)


「明日からまた現場入る。

 今回の現場、ちょっと変な感じがする。

 うまく言えないんだが、磁石が効かなかったり、

 雨が下から降ってるように見えたり。

 松田くんは真面目な子だから、報告書の体裁は

 ちゃんと整えるだろう。

 心配ない。

 明日は早いから先に寝てくれ。

 帰ったら、ナナミの誕生日プレゼント、

 一緒に選びに行こう。」


[本メールは送信されていない。下書きフォルダに

 保存されたまま、令和5年8月時点まで残置されていた。]



[下書き02]

作成日時:令和5年7月20日 23:48

宛先:  kiguchi.■■■@■■■.ne.jp(妻と推定)

件名:  明日


「明日、最終工程。埋め戻しに立ち会う。

 現場日誌に書ききれない部分が多くなってきた。

 主語が変だ。自分のことを書いているはずなのに、

 誰か別の人が現場にいる感覚。

 うまく説明できなくてすまない。

 ナナミに、土曜の習い事は休んでもいいと

 伝えてほしい。

 俺が連れて行くつもりだったが、

 戻れるかわからなくなってきた。」


[本メールは送信されていない。]



[下書き03]

作成日時:令和5年7月22日 06:11

宛先:  (記入なし)

件名:  (記入なし)


「主査 木口照彦 最終出勤 令和五年七月二十二日」


[上記の一文のみが本文に記載されている。

 本人の他のメール文体と比較して、字面・句読点の

 使い方が著しく異なる。

 本人の作成によるものか、判断できない。]



(1-2)メモアプリの記録(抜粋)


復元時点で「メモアプリ」に保存されていた個人メモ

のうち、現場調査期間(令和5年6月〜7月)に作成された

ものを収録する。



6月15日

 ・牛乳・卵・パン

 ・ナナミの上履き、洗っておく

 ・現場初日。地層が逆転している。妙な気分だ。


6月23日

 ・現場5日目。磁石が指す方向が日によって違う。

 ・分析依頼書、提出。

 ・夕食、何にするか。


6月30日

 ・カレーの材料

 ・松田くんの態度がしっかりしてきた。

 ・夕方、雨。降る方向がおかしいように見えた。

 ・気のせいだろう。


7月10日

 ・現地で銭貨が出土。連番らしいが意味不明。

 ・ナナミの誕生日プレゼント、まだ未定。

 ・候補:絵本。


7月15日

 ・主査として記録する。

 ・主査として、現場の異常を観察した。

 ・主査の判断として、調査の継続を決定した。


7月20日

 ・主査の所見として記録する。

 ・主査は、明日、最終工程に立ち会う。

 ・主査は、本記録を、本記録として残す。


7月21日

 ・(記入なし)


7月22日

 ・(記入なし)


[7月15日以降、メモの一人称が「主査」に置き換わって

 いる。それ以前の本人のメモには、家族の予定や

 日常的な買い物が混在していた。

 7月15日以降、私的な記述は完全に消失する。]



(1-3)撮影写真のExifデータ一覧(抜粋)


スマートフォンで撮影された写真のうち、復元可能な

ファイル群のExif情報の抜粋を収録する。


 ファイル01 令和5年6月14日 19:33

       位置情報:自宅近辺  被写体:娘(推定)


 ファイル02 令和5年6月15日 06:48

       位置情報:自宅近辺  被写体:朝食


 ファイル03 令和5年6月15日 09:12

       位置情報:現場近辺  被写体:地層断面


 (中略:6月〜7月の期間中、家族の写真と現場写真が

     ほぼ等量で混在している。)


 ファイル57 令和5年7月20日 20:14

       位置情報:自宅近辺  被写体:娘(推定)


 ファイル58 令和5年7月21日 17:33

       位置情報:現場近辺  被写体:SK-07土坑


 ファイル59 令和5年7月22日 06:51

       位置情報:現場近辺  被写体:(不明・全面が朱色)


 ファイル60 令和5年7月22日 07:22

       位置情報:(取得不能) 被写体:(復元不能)


[ファイル60はExif上は存在するが、画像データの復元に

 失敗している。撮影時刻のみが記録に残っている。

 本ファイルが最終撮影記録である。]


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【2】松田誠一 整理員の私物機器より


(2-1)ノートパソコンのメッセージアプリ下書き


整理員(松田)の私物ノートパソコンから復元された

メッセージアプリの下書き2件を、作成日時順に収録する。



[下書き01]

作成日時:令和5年8月5日 23:42

宛先:  matsuda.■■■@■■■.com(兄と推定)

本文:


「兄さん

 最近仕事が変です。

 報告書の整理をしているだけなのに、

 書いた覚えのない記述が、自分の筆跡で

 台帳に残っています。

 筆跡は確かに自分のものなのですが、

 書いた記憶がない。

 夢の中で書いているのか、

 それとも書いていないのに

 書いてあるのか、判断がつかない。

 もしも連絡が取れなくなったら、

 部屋の机の左の引き出しを

 確認してください。

 封筒に、両親宛ての手紙を残しています。

 大したことは書いていません。

 ただ、念のためです。

 すみません、変なことを書いて。

 元気にしています。」


[本メッセージは送信されていない。

 なお、本人の自宅の机の左の引き出しから、

 封筒は発見されていない(家族の証言)。]



[下書き02]

作成日時:令和5年8月18日 02:17

宛先:  (未指定)

本文:


「整理員は、本日、整理室にて整理を継続した。

 整理員の手元の銭貨について、視線の感覚は

 継続している。

 整理員は、本記録の作成者である。

 整理員は、本記録の対象である。

 整理員と整理対象の境界は、本日、確認できない。」


[本メッセージは送信されていない。

 文体が、整理員の他のメッセージと比較して

 著しく異なる。本人の作成によるものか、

 判断できない。]



(2-2)ウェブブラウザの検索履歴(抜粋)


整理員の私物機器の検索履歴のうち、令和5年7月以降

の検索語句を抜粋して収録する。


 令和5年7月18日  「視線 残像 残る 原因」

 令和5年7月20日  「爪 朱色 染み 医学」

 令和5年7月22日  「廣澤文彦 大正期 民俗学」

 令和5年7月22日  「廣澤文彦 現在」

 令和5年7月23日  「廣澤文彦 千葉県 嘱託」

 令和5年7月25日  「同名 別人 大正 令和」

 令和5年7月28日  「自分の筆跡 書いた記憶ない」

 令和5年7月30日  「報告書 校閲 逃げる方法」

 令和5年8月3日   「失踪 自発的 手続き」

 令和5年8月10日  「埋蔵文化財 退職 届出」

 令和5年8月18日  「(記録なし)」

 令和5年8月19日  「(記録なし)」

 令和5年8月20日  「(記録なし)」


[8月18日以降、検索履歴の項目が日付ごとに記録されて

 いるが、検索語句が空白となっている。

 ブラウザの動作ログでは、当該日付に検索が実行された

 ことは確認できる。検索語句の取得に失敗している。]



(2-3)録音アプリの自動文字起こし(抜粋)


整理員のスマートフォンの録音アプリから復元された

音声記録の自動文字起こし結果を収録する。

本人による意図的な録音か、誤録音か、判断できない。



[録音01]令和5年8月10日 14:33(推定・整理室内)


「えーっと…次の台帳…ああ、これか…

 …N-073、令和元年九月、◯◯◯◯…

 …記入、確認…次…

 …N-074、平成二十八年五月、◯◯◯◯…

 …次…

 …次…

 …次…

 …次…

 (以下、約15分間「次」のみが繰り返し

  文字起こしされている。)」



[録音02]令和5年8月19日 21:08(推定・自宅)


「(呼吸音、約3分)

 順序が正しい。

 順序が正しい。

 順序が正しい。

 (呼吸音、約2分)

 通知は、毎回している。

 (録音終了)」


[録音02の音声は、整理員本人の声と特定できない。

 声紋分析の結果、本人の声紋データとの一致率は

 基準値を下回る。ただし、別人の声と特定する

 こともできない。]


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【3】管理者注


本資料に収録された各記録については、復元処理の限界

により、原データとの完全な一致は確認できない。

特に以下の点について留意を要する。


 ・木口主査のメモアプリにおける7月15日以降の

  記述変容は、本人の意志的な文体変更か、

  第三者による改変か、判断できない。


 ・松田整理員の検索履歴における8月18日以降の

  空白項目は、検索が実行されたが内容が記録

  されなかった可能性、または記録後に内容が

  消去された可能性、両方が考えられる。


 ・録音02の声紋分析結果は、本人の所有機器で

  録音された音声であるにもかかわらず、本人の

  声紋と一致しないという矛盾を示している。


両職員の所在は、本資料の作成時点(令和5年9月)に

おいて、依然として確認できない。


家族による捜索は継続されているが、当調査室として

協力できる事項はない。


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