表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/24

アメアガリ

「・・・?」


起きると、そこは見覚えのない場所だった。


「あ、有岡。起きたか」

「え、きさ・・・くん?」


おどろいていると、木坂は隣に座って、話しだした。


「昨日、有岡の彼氏?が、来ただろ。・・・俺それ見たら、なんでか知んねーけど、有岡を連れて走り出しちゃって。・・・有岡の家も通り過ぎたし、この大雨の中を戻るのも、あれだから、俺の家来たんだ」


「え?ここ・・・って・・・木坂くんの・・・家?」



「でも、ほんとうは。ほんとのホントは、俺が・・・」


木坂はそこまで言って、言葉を飲み込んだ。


「・・・わた・・・より、・・とはを、つれて・・・なよ」


「え?」


「わたしなんかより、・・・音葉・・・」


木坂は黙って、真友を見つめた。


「最近、井上とケンカでもしたのか?」


「え・・・あ、ケンカ・・・っていうか・・・」


・・・もともと、私たち、心友なんかじゃなかったんだって。


「・・・俺、実は、井上のこと、もう好きじゃない」


「えっ・・・」


・・・なんで・・・。


「で、っ、でも、音葉は、・・・ほんとに・・・・・きだよ」


「井上の気持ちは見てりゃ分かるよ。でも、・・・有岡に色々ひどいこと言ってるし。・・・俺、2人には仲良くしてほしかった・・・。でも、井上のせいで壊れちゃった、だから、もう・・・」


・・・木坂くんは・・・私のためを思って・・・?

真友の顔が赤くなる。


「・・・あ」


「ん?」


外を見ると・・・蓮が立っていた。


「蓮くん⁉なんで・・・」


「行って来いよ。カレシんとこ」


・・・。

「木坂くん、・・・がうの。ちが・・・て、私・・・」


・・・だめだ。

音葉がいると思ったら、もう、この気持ちを伝えられない。


「・・・私、行くね・・・」




真友は、木坂の家を出て行った。





「真友先輩」

「れ・・・くん」


蓮は、チラッと上を見た。


「・・・どうして気持ち伝えないんですか?伝えてくれたほうが、僕も、この恋諦められるんです。なのに、どうして・・・」


「・・・音葉が、いるから」


真友の口からぽろっと言葉が出た。


「音葉がいるから・・・私、音葉のことをまだ心友って思ってる自分がどこかにいて・・・。心友の、好きな人―――――ましてやカレシ、たとえその彼氏が別のほうを向いてたとしても――――――そんなの、私にはできない」


真友はそう言って、まっすぐ、蓮を見つめた。


「蓮くん・・・だけじゃ、・・くて・・・私、も・・・恋、・・・きらめたい」


「真友先輩・・・?」


蓮は心配そうに、真友を見つめる。





「私、決めた」




「・・・」








「蓮くん・・・。私と、・・・付き合ってください」




・・・蓮と真友の間に、じめじめしている、雨上がりの時の風が吹いた。





・・・やがて、蓮は・・・首を、ゆっくりと、縦に、・・・ふった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ