表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼の街  作者: 旅人凛人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/10

第十話 銀と槍

「お前は……吸血鬼だよな?」

「ええ、勿論」

「ギリギリまで全っ然気付かなかった!」

「褒めていただいて、光栄だわ」

「私のナイフをあんな簡単に……」

「銀のナイフを警戒しない吸血鬼なんていないわよ」


 そう返答してから、吸血鬼はふっと不敵にほほえんだ


「……なぜ笑う」

「だって……1匹ずつ丁寧にさえずって、まるで巣で餌を待つ雛鳥のようだわ」

「……っ」


 台詞のひとつひとつで伝わってくる。この吸血鬼は、多分めちゃくちゃ強い。


「あ、名前聞いてなかった。名前教えて?」

「勿論。自己紹介は礼儀だものね」

「私はメリア・ローヴェット。人間名は、冥入(めいり)紫苑(しおん)ね」

「……俺は平野攷晴だ」

「私は桐乃日良だよ!」

「……西村京子」


 自己紹介は礼儀……ここで名前を返さないといけない気がした。


 対処法を頭の中で考えながら、メリア……を、観察する。

 見た目は、翼の生えたお姉さんだ。少し紫の入った黒髪が、夜風を浴びている。服装は少し派手で、ドレスのようにも見える。胸元が少し空いていて、とても戦闘に向いた格好には見えない。

 能力が何かにもよるが、本人が攻撃するのは、少しやりずらそうに感じる。


 俺は気が付かれないよう、懐から銀のナイフを取り出す。こんな食器でも、無いよりはマシだ。


「ふふ……名乗られると、情が移っちゃうわね」


 メリアはにこりと笑顔を見せる。そして、ゆっくりと右手をこちらに向けた。

 向けられた掌を見て、半ば反射で全身に力を入れる。


 その直後、メリアはどこかから小さなナイフを取り出し、右手首を切り裂いた。


(―――!?)


 赤色の鮮血が吹き出した。だがその液体は、地面に触れることなく静止する。

 それを見た瞬間に、奴の能力が分かる。


(血の操作か!!!)


 表面張力で拳ほどの球体になったそれは、こちらに鋭く槍を飛ばしてくる。


「っ!!!」


 間一髪で横に躱すが、血の槍は止まらない。急旋回して、再度俺の心臓を狙ってきた。


 俺は、銀のナイフを飛んでくる槍に向ける。


(当たれ!!!)


 ナイフが血の槍に触れた瞬間、爆発したかと思うほどに破裂して、ただの血溜まりになった。

 銀に触れると、血の制御が出来なくなるらしい。


 メリアに背を向けた状態の俺は、素早く向き直る。


 メリアの周りには、既に数個の血の球が用意されている。俺たちを殺す準備は万端らしい。


「京子!」

「分かってる」


 京子は、既に銀のナイフを血の槍へと向けていた。

 

「え、私だけ銀持ってないじゃん!」


 キルシーがそう言うと同時に、全ての血の球が槍に変わった。キルシーに向かって、勢い良く飛んでくる。


「うわっと!」


 数本の槍を、軽くいなすかのようにかわした。

 槍は軌道を変えて、今度は俺と京子を狙ってきた。


(クソッ……このナイフじゃ無理だ!)


 不格好に振り回して、なんとか全ての槍を破裂させる。


「ふふ……頑張るわね」


 メリアは血の球をさらに増やして、どんどん槍を飛ばしてくる。ワンパターンではあるが、俺にとってはなんとか弾くのでギリギリだ。


「……!」


 メリアに向かって京子が切りかかる。俺と違ってナイフを上手く扱える京子は、俺よりも遥かに余裕がありそうだ。


「やるわね。惚れちゃいそう……!」

「……」


 京子は声を発することなく、何度もナイフを振っている。

 メリアは余裕そうにかわしていたが、流石に余裕が無くなったのか、血の爪を作って近接戦闘を始めた。


(飛んでくる血の槍の量が変わらないどころか、少し増えた……まだ余裕なんだろうな)


 ナイフを槍に当てつつ、状況を打開する方法を考える。

 俺は、いつやられてもおかしくない。槍の量が少し増えただけでも、きっと一撃をもらってしまう。怪我したら最後、槍を捌ききれなくなる。


 銀がない状態で槍を避けまくっているキルシーなら、余裕があるか……?いや、流石に避けるので手一杯だろうし、俺のナイフを渡したとしても、キルシーは吸血鬼だ。十中八九、逆効果だろうな。


 京子が前線を張ってくれてはいるが、京子がやられると一気に均衡が崩れる。

 考えられる勝利の道は、メリアの失血死くらいだが……あまり期待しない方がいいだろう。


「……ッ」


 京子が、メリアの血の爪を破裂させながら、上手く切りかかっている。

 が、攻撃は当たっていない。華麗にかわされている。動きずらい服装のはずなのに、京子よりも遥かに余裕がある身のこなしだ。


(この状況で、京子が槍に狙われたら……!)


 嫌な予感が的中した。キルシーを狙う槍がいきなり軌道を変えて、一直線に京子を狙っている。


「やばい!!!」

「おやすみなさい……永遠に」

ブックマーク、感想等々、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ