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コアモジュール2打ち上げ

この物語は、もしも

「科学的な要望より先に政治的な理由で日本が有人宇宙飛行船を運用」

というシチュエーションでのシミュレーション小説です。

2020年頃の各国をモデルにし、組織名もそのままだが、

個人や計画そのものにモデルはあっても、実在のものではない、

あくまでも架空の物語として読んで下さい。

日本独自宇宙ステーション「こうのす」は、長期滞在を視野に「宇宙で自給自足を目指す」設計になっている。

と同時に、出来るだけ大人数がストレス無く生活出来る事も考えている。

実験は附属モジュールで行い、生活は中央のコアモジュールでする。

コアモジュールは1号機と2号機が連結される。

どちら1機だけでも生活空間としては十分なのだが、附属モジュール用ドッキングポートが足りないのと、故障時のバックアップで準同型機を連結する。

準同型機なのは、コア2の方がドッキングポートが多いからだ。

電源や酸素供給機能は無いが、臨時に接続するポートが1ヶ所増えている。

「折角だからコアモジュールにも名前つけませんか?」

という声も有ったが、コアモジュールこそが「こうのす」なので、命名はやめた。

もっとも「宇宙で2つがくっつくのだから」と

・某戦艦の戦闘班長と生活班長

・某帝国の金髪皇帝と赤毛長身

・某巡洋戦艦の無謀艦長と冷静バルカン人

・戦士の銃を持つ少年と謎の美女

・やたら超獣を切断する戦士に変身する男性と女性

といつもの暴走が始まりかけた為、命名は中止となってもいる。


なお3機合体なら?と話が出た時、秋山があっさりと

「Aメカ、Bメカ、Cメカ。

 そしてBメカ左シートは廃止!」

と言って、それ以上の暴走を食い止めた。


宇宙ステーションの中は生活空間であり、サイズの割に軽い。

すると、フェアリングの関係で大型ロケットを使わざるを得ないが、その打ち上げ能力に比して軽い為、振動が発生し、中の機器を壊してしまう可能性がある。

その為、中に物資を詰め込んで重くして打ち上げる。

前回のコアモジュール1にも、宇宙塵(デブリ)から防御する金網や、それを立てる為の鉄塔(ポール)等多数の必要なものが分解されて搭載されて打ち上げた。

「さて、今回は何を搭載する?」


既にトレーニング機器、船外活動用宇宙服、非常用脱出バルーン(某戦闘民族が乗るような軟式の球体与圧室で48時間生命維持が可能)、試作宇宙スクーターは運搬済みである。

防塵ネットも完成し、その内部で通称「生け簀の中での水泳」と評される安全な宇宙遊泳も可能となっている。

また交換用の二酸化炭素吸着フィルターや浄水用フィルターといった必要な物は搭載する。


「ロボット5機と大型の軟式拡張スペースとその支柱……。

 もう少し重量が欲しいですね」

ロボットは、3機の船外ロボットと2機の船内補助ロボットである。

1機は宇宙ステーション外周を移動し、損傷個所を発見したり、命令(コマンド)次第で修復する自律型ロボットである。

違う1機は8本のアームを持つ「スパイダー」と呼ばれるロボットで、防塵ネットの内外を歩くロボットである。

アームで金網を掴んで移動し、別のアームで荷物を持ち、残ったアームで防塵ネットのゲートを開いて外部に出て、そこに機器を設置出来る。

船外活動で宇宙飛行士が防塵ネットの外側に機器を設置する作業を、遠隔操作するロボットで置き換えようというものだ。

もう1機は宇宙ドローンと言えるロボットだ。

喪失を防ぐ為有線式であるが、宇宙ステーションから離れて、自撮りをしたり、近傍物体を掴んだり、逆に押し出したりするものだ。


船内ロボットの1機は掃除用ロボットなので、大して珍しくは無い。

ただ、無重力の船内で浮かないよう、逆ホバークラフトのような機能が追加されている。

要は壁面に吸着しながら移動する。

最後の1機は見た目は世界的SF映画のドロイドの小さい方だが、あんな万能性能のものではなく、機能は代理人(アバター)である。

地上に居ながら宇宙ステーションに乗った感じで船内及び船外を移動し、見聞きし、コミュニケーションを取るものである。

体験搭乗をさせるという遊び的の使い方以外に、機器の設置や修理において地上の専門家に直接見せて指導を仰ぐような使い方もする。

また地上から実験モジュールの中に入り、遠隔で状態確認する、それによってミッションスペシャリストとして落選した研究者の研究もフォロー出来る。


軟式与圧室は、既に何度も実験した、風船のように膨らませる拡張空間である。

強度を増す為に、外側に骨組みは作る。

この空間は、特に決まった使い方を想定してはいないが、要望として

「廃棄するゴミを、出来れば見えない場所に置きたい」

というのと

「一時的な物置が在れば良いかも。

 船内に置いておくと、動く時ちょっと邪魔になる」

というのが有った為、まずはそういう使用をする。

ISSでも実験が終わった物等は、輸送機帰還時にそれに入れて大気圏再突入での焼却処理をするが、それまでは船内に溜めてあり、出来るだけ邪魔にならない場所に押し込めている。

室内にゴミを溜めまくると気持ち悪いのは、日本人の感情かもしれないので、とりあえずの置き場として軟式与圧室を使おう。


「それはそれで、他は何が良いかな?」

今後の拡張性を考えて、増設太陽光発電パネルとその支柱、変圧器という無難な所に落ち着いた。

実験用では意見が大量に出るが、生活用となると案外思いつかなかった。

電力は有って困る事も無い。

増設工事で、宇宙ステーション運用担当の飛行士には手間をかけるが、これで良いかもしれない。


こうして中に物を詰められたコア2は、アメリカに運ばれていった。

大型ロケットで打ち上げられ、コア1とのドッキングに挑む。

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