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コアモジュール2

この物語は、もしも

「科学的な要望より先に政治的な理由で日本が有人宇宙飛行船を運用」

というシチュエーションでのシミュレーション小説です。

2020年頃の各国をモデルにし、組織名もそのままだが、

個人や計画そのものにモデルはあっても、実在のものではない、

あくまでも架空の物語として読んで下さい。

第2フェーズ、コアモジュール2が打ち上げられ、ドッキングポートと容積が2倍になる。

長期滞在隊員数も4人から6人に増える。

第2フェーズは半年の滞在になる。

さらに短期滞在隊員も2~3人加わる。

このフェーズからは女性飛行士も滞在する。

コアモジュール2とコアモジュール1の違いは、女性用設備の有無である。


コアモジュール1もコアモジュール2も単独で宇宙ステーションとして機能する。

非常時にはどちらかに避難し、そちらの機能だけで生活する。

では平常時は?

平常時に2機の生命維持機能をフル稼働させても過剰だ。

アメリカの宇宙船がドッキングし、最大滞在可能人数に達した時でないと、2機を全力稼働はさせない。

コアモジュール1は75%、コアモジュール2は50%程度の運転とする。

このように、既に稼働しているコアモジュール1で大体の機能が実現している為、コアモジュール2は同型でも若干仕様が異なる。


両機は同じ容積、同じ水処理能力、し尿処理能力を持っている。

だが、機能重視のコアモジュール1は、トイレと浴室は2室ずつ備えている。

片方が故障した時の予備でもあるし、滞在人数が増えた時に混まないようにでもある。

故に、トイレは夜行高速バスについている程度の広さである。

浴室も電話ボックスくらいの広さだ。

コアモジュール2は、既にコアモジュール1が機能している事から、風呂トイレは1室ずつ、その分広く作られている。

広い分、大きい鏡や高機能トイレ、余裕あるコンセント等、より快適になっている。

つまり、メイクやヘアセット、ボディケア、更に女の子の日等に対応出来る。

こちらは、非常時やトランスジェンダーな場合、男性飛行士も使用出来る。

だが普段は女性専用とする。

……長期の宇宙生活で、女性が腰かけた便座に頬をスリスリする性癖が目覚められたりって事もあるし、通常は公共の場でトイレも浴室も男女別になっている事も踏まえ、女性専用とした。

贅沢という評もあるが、

「ペットボトルに用を足したり、場合によっては一月風呂に入らなくても平気な男と、女性は一緒に考えちゃいかんよ」

と変なところでフェミニストな(というか男に対してぞんざいな)秋山がそうすると判断した。


機能重複は他でも避けている。

筋トレ機具はコアモジュール1に既にある。

その筋トレ機具設置スペースの他、共用の本棚(紙の本、CD、DVDの他、電子書籍用の端末が置いてある)や娯楽用品(ゲーム機、トランプ、野球用品、バドミントン等)のスペースを一纏めにしたサイズの更衣室がコアモジュール2にはある。

普段は着替えに使うだけの部屋だが、非常時には別の機能を持つ。

この更衣室、周囲を重金属や様々な機器で囲まれ、さらに壁自体他より厚い。

ぎゅうぎゅう詰めにはなるが、太陽フレア等による放射線直撃が予報された時の避難場所(シェルター)として使用出来る。


コアモジュール2もまた、外周に宇宙塵デブリ防御ネットを張るが、その内部はコアモジュール1とは異なる。

コアモジュール1は、ネット内で宇宙遊泳したり、宇宙スクーターの実験をしたりするが、コアモジュール2はネット内にバルーン状に軟式与圧室を展開して拡張生活空間とする。

外周では微小ながら遠心力が働き、地に足が着けられる。

スペースコロニーの実験も可能だ。


コアモジュール2はこのように、宇宙での生活に重点を置いた内装となっていた。

コアモジュール1が成功し、無事機能しているからこのように出来る。

もしもコアモジュール1に不都合が生じ、第一フェーズメンバーの生活に問題が起きた場合はバックアップ機能重視とし、生活の質は二の次、とにかく生命維持に問題が出ないようにする仕様にされただろう。

一月半を過ぎたが、問題は一切無く、故障の気配も無い事から、コアモジュール2は生活空間向上型となった。



理屈はそうだが、本当に生活の質は向上したのか?

地上では最終試験に挑む。

テスト搭乗員は3人全員女性。

男主体の企業や機関で企画設計されたものが、女性の目から見て文句ないかを確認する。

テスト期間は一週間、食事は中で作るのが目的で無いので、外で作った料理を出前する。


JAXAの女性職員と、浴室・トイレの設置でお世話になった某メーカーの女性社員、そして住環境を研究している女性の大学准教授。

文句は、やはり男性と同じサイズの個室と寝袋であった。

女性優遇にしろ、ではない。

単純に狭く、棺桶のようだからだ。

よく言って狭いカプセルホテル。

男女平等に狭い。

ただし、重力下では、である。

「立てない」のが窮屈に感じる、「寝たままで、上から蓋をされた感じ」なのも、無重力だと寝てるのも起きてるのも大して変わらないので、地上程は嫌気を感じない。

寝袋なのは、ある意味仕方ない。

寝相が悪いと、布団が吹っ飛んだのダジャレが実現されてしまう。

窓から見える光景も、実験機では壁だが、実機は地球が見えたりして、閉塞感ではなく逆に恐怖を感じるという報告が上がっている。

肝心の女性関係の仕様は、少し微調整が入ったくらいで概ね良し、だった。

レイアウト面では、やはり男性では気付かない細かい違いはあるようだった。

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