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だからオペレーション何とかってやめい!!

この物語は、もしも

「科学的な要望より先に政治的な理由で日本が有人宇宙飛行船を運用」

というシチュエーションでのシミュレーション小説です。

2020年頃の各国をモデルにし、組織名もそのままだが、

個人や計画そのものにモデルはあっても、実在のものではない、

あくまでも架空の物語として読んで下さい。

「いやあ、昨日は酷い酒だった……」

久々に秋山が酒席の愚痴を零す。

夜の出勤が久々だったってのもあるが、毒気というか稚気というか色んな物に中てられたのだ。


「あ、秋山さん。

 テスト投下カプセルに載せるものですがね、ネットを通じて意見求めたのが纏まりましたよ」

「ああ、あれね。

 どれくらい来ました?」

数十万の意見が来ていた。

一人が何回でも応募出来たのもあり、思った以上の数が来ていた。


「やっぱり宇宙からの手紙とか、宇宙塵を入れるとかが無難だろうね」

「……秋山さん、なにを呑気な事言ってるんですか。

 半数近くがプラモデルって書いてあったんですよ」

「プラモデル?」

「ええ。

 その中で、どっちにするかで論争になってます」

「嫌な予感がして来た」

「八割がモノアイの奴を載せて、投下は『地球降下作戦』にしよう、と。

 残り二割は、五機に主人公機を載せてオペレーションメテ……」

「もういい……。

 どっちも却下。

 他にはどんなのが有りました?」

「フィギュアを乗せて欲しい、と」

「プラモデルと何が違うんですか?」

「プラモデルはロボットで、フィギュアは人ですよ。

 美少女ものとか、凄いものですよ」

「へえ〜、美少女の人形をカプセルに乗せるのか」

「違います。

 折角宇宙から来るのだから、戦闘ジャケットを着て、スカウターを装着した戦闘民族の……」

「却下!

 他の案は?」

「開けた瞬間に顔面に貼りつく宇宙生物の玩具」

「悪趣味過ぎる!

 却下!

 次!」

「虎縞ビキニの鬼っ娘のフィギュア」

「保留にしとこう……」

「秋山さん???」

「いいから、次!」

「金ピカの長身ロボットと低身長ロボットのペア」

「……版権がクリア出来そうに無いな。

 次のアイデア」

「あとは人型やそれに類するものを載せるのを纏めて言いますね。

 額に肉ってあるマスクを被った赤ちゃんの人形。

 恒星間航行エンジンの設計図を持った美女の人形。

 開けたら風船が膨らんで、破裂したら中から飛び出す1兆℃の火炎は撃つ宇宙恐竜。

 考えるのを止めた究極生物の石像。

 中身はオッサンという噂があるエリザなんとか。

 あとは……」

「ほぼ使えないから、もう良いです。

 全然違うのはどんなのが有ります?」

「宇宙で作った物を入れて欲しい、と」

「それは良いアイデアです。

 具体的にはどんなのが有りました?」

「蕎麦」

「流石にのびるわ! 宇宙から出前かい!」

「ラーメン」

「蕎麦と何が違う? 和食と中華ってツッコミは入りませんよ」

「ハンバーガー」

「宇宙でわざわざ作るんですか?」

「ポットに入れたお茶。

 冷めない内に飲みたい、と」

「アイデアは良いですが、流石に投下されたのを開けて、すぐ飲むってのは、大丈夫ですかねえ……。

 保留にしておきましょうか」

「魔法瓶に入れたジュース。

 氷が融ける前、冷たい内に」

「……さっきの逆ですね」

「宇宙飛行士のサインボール」

「お! 新しいジャンルですね。

 それは採用しましょうか」

「ボイスメッセージ」

「それも良いですね」

「宇宙飛行士のボーカルCDシングル」

「欲しいのか? 本当に需要有りますか?」

「あと、生物が生きたまま地球帰還ってのも有りますね」

「面白いですが、動物実験は問題視される傾向に有りますからね。

 注意が必要ですが、どんな案が有りました?」

「タコ」

「何故???」

「そりゃあ、宇宙人と言えばタコでしょうからね。

 火星人とか」

「金魚、メダカ、オタマジャクシ……」

「魚介系が多いですね」

「水槽に入れておけば衝撃に耐えられるだろう、と」

「なるほど」

「もっと信用した、モルモットやトカゲってのも有ります」

「ふむ」

「逆にニワトリのモモ、ハツ、レバー、カシラ……」

「信用してねえな!!

 大気圏突入の熱でいい具合の焼き具合になるって思ってんだろ!!」



とりあえず、それらのアイデアから候補が決められた。

カプセル投下は5回テストを行う為、5種類の搭載品が考えられた。

まずはスマートフォン。

音声や動画撮影したデータが入っている上に、宇宙に居る飛行士と通話も可能なものである。

続いて水槽に入ったメダカ。

生きたまま帰って来られるというのは、(注目度は低いにしても)アピールになる。

3つ目はAI付きロボットである。

宇宙での会話や情報が飛行中に記録され、地球帰還後はそれを喋る。

これも未来っぽくてアピールになるだろう。

他はフィギュアとサインボールという事になった。

底面の直径30cm、上面は直径15cm、高さ15cmの円錐形のカプセルで、貨物室は直径10cmの円筒。

余り大きな物は入らないから、こんなものだろう。



そう考えて進めていたら、意外な所から口出しされた。

秋山に総理から電話が掛かって来た。

「サインボールだけどね、私のサインとかどうだろう?」

「……総理」

「何だね?」

「それは質問や提案の形をした、命令ですよね?」

「人聞き悪い事言わないで下さい。

 で、どうですかね!!」

「検討しておきます」

「善処頼みますよ。

 あと、与党から何人か応募したようです」

(凄く悪い予感がする!!)

「宇宙飛行士に宇宙でプラモデルを作って貰ってですね、出来たものをカプセルに入れて地球に帰すのだそうです」

「アイデアは存じております。

 ……宇宙で組み立てるというのは耳に入ってませんでしたが……」

「某ロボットアニメのでね。

 それで投下時には『オペレーション◯◯発動!』ってやって欲しい、と」

「検討致します……」


電話を切った秋山はこめかみの辺りを揉んでいた。

日本におけるアニメの汚染度は大したものだった。

基本ジョーク回です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 誠に申し訳ありません。ジョーク回だとはわかっているのですが本当に有りそうだなぁと心から思ってしまいました。
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