第三話 遭遇
投稿ペースは未定です。
俺は今、恐怖で体が硬直してしまっている。
(こんなの聞いてない!!!)
いや、誰かが教えてくれるわけでもないし、こんな非現実なことがあったんだからこういうことも予想しているべきだったけど...
なんでこんな大きい狼がいるんだ!!??
見たところあれ俺の1.5倍はありそうだぞ!?
目の前には2Mはありそうな黒い狼がいる。
『グオオオオオアアアアアアッ!!!』
「ぴっ!?」
...漏れそう...
なんでこうなってるかというと、簡単な話だ。
森の中を無警戒に鼻歌を歌いながら移動してれば、見つけてくださいと言っているようなものだ。その結果寄ってきたということ。
(メインキャラになって有頂天だったところからのこの絶望感...これが挙げて落とすってやつか...)
なんて悠長に考えていられるのも、ここまで現実からかけ離れたことが起きてる故の感覚麻痺なのか
(あの狼凄いこっちみてるし...絶対食べようとしてるよな...怖くて身体が動かせない...!転生?してわずか十数分でTHE END...悲しすぎるぞ?!)
そう思った瞬間、狼は俺が完全に怯え切っていると理解したのか飛び込んできた。
(キタ...オワッタ...)
恐怖から目を瞑ってしまった。
どうすることも出来ず、このまま食い散らかされて終わるんだな...。そう思ったのだが...
「?」
一向に来ない、時間にして僅か3秒程だと思うけど、何故か来ない。
俺はゆっくりと目を開け、状況を把握しようとする。
よく見ると狼が途中で硬直している。
その顔は恐怖で染まっており今にも逃げ出しそうn
「キャインキャイン!!!」
あっ逃げた。
「どうしたんだ?後ろに何かいるわけ...で...も...」
ドシンッドシンッという音が聞こえるから後ろを向くと、そこには巨人がいた。
だが体は黄色く、巨大な角が生えていた。
え?ナニコレ?
「ブオッ!」
変な声を出したと思ったら鼻の下伸ばして俺に突進してきた。
「ブオって何?!その顔やめろし!?」
明らかに俺の体に発情してるのが伝わってくる。
怖いというより、最早嫌悪しかわかなかったから反射的に体を動かしていた。
避けようとした時に気づいたが、変態の動きが遅い。
(なんだ、これくらいなら簡単によけれそうっと!!)
思いっきりサイドステップをし、変態の正面から横へ回り込む
すると変態が驚愕の顔をしながらきょろきょろし始めた。
(見失ったのか...?案外とろくさいんだな...んじゃ今のうちに退散退散)
変態がこちらを見失っている間にゆっくり後退してたら何かに躓いてしまい、後ろ向きに倒れこんでしまった。
「うわっ?!」
ドシンッ!
(しまった?!)
その音に巨人は振り向き、俺を視認したようだ。
「ブホ!ブホ!」
「鼻息荒いんだよ気持ち悪い!!!」
巨人が鼻息を荒くして再度、俺に向かって突っ込んでくる。
もう一度よけようと思った時、右手に何かが当たってる。
見ると少々デカい枝があった。
俺は咄嗟の内にその枝を両手で持ち変態に向けて構える。
突然の事だったからか、巨人はそのまま顔から枝に刺さっていった。
グシャンッ!という音とともに手に気持ちの悪い感触が伝ってきて、直後には血しぶきが飛んできた。
「ッ!?...死んだ...のか...?」
頭を貫かれた巨人の体は痙攣していたが、やがてそれも治まり物言わぬ死体となった。
必死だったからか、自分の命も危なかったからか命を奪ったことに対して特に何かを感じることはなかった。ただ、生きててよかったという思いが胸を埋める。
「ははっ...どうよエロ河童め...」
バクバクと鳴る心臓を抑えながら巨人から枝を引き抜く。
その光景がグロすぎて吐きそう...
「うえぇ...気持ち悪い...」
この森にはこんなのが沢山いるのかと思うと、どうしようもなく諦めたくなってくる。
「でもせっかくこんな体になったんだ。とことんまで満喫してやる...!」
どうやら俺の旅は前途多難のようだ。
お読みいただきありがとうございます。
少しだけ補足をば
巨人の大きさは大体3~4M程で狼よりも大きいです。
そして主人公自体が小さいので狼の大きさは2Mちょいです。