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第七話 ネオイクリプス —— 終焉の序曲

十年——。

仲間として笑い合い、背中を預け、命を賭けて戦ってきた時間。

そのすべてが、ひとつの“嘘”だったとしたら。


メトロポリス区の戦いが終わりに近づく中、

パレットバトラーズの前に現れたのは、

かつての仲間“ノヴァ”ではなかった。


黒い角、炎の渦、そして——幹部たちが膝をつく“真の名”。


ネオイクリプス。

偽りの十年。

そして、世界終焉の序章。


アルトたちが信じてきたものが崩れ落ちる第七話。

ここから物語は、もう後戻りできない。

【アルト vs ルージュ・ファング決着】

長い攻防の末、

互いに傷だらけで、息も荒い。


周囲のビルは崩れ、地面は割れ、

戦場は二人の激突の痕跡でボロボロだった。


瓦礫の上に立つファングは、笑いながらも肩で息をしていた。


ルージュ・ファング「……はぁ……はぁ……お前……ほんっと、しぶといな……!

ここまで俺を追い詰めた奴、久しぶりだぜ……!」


アルトは血を拭い、剣を構え直す。

その目はまだ折れていない。


アルト「しぶといのは……そっちだろ……!

何度倒しても……立ってくる……!」


ファングは双剣を構え、赤い残光が揺らめく。

その光は、怒りとも歓喜ともつかない熱を帯びていた。


ルージュ・ファング「じゃあ……終わりにしようぜッ!!」


ファングが地面を蹴った瞬間、

赤い残光が爆ぜ、空気が裂けた。


【高速の応酬】


ファングの双剣が十字に閃く。

アルトは紙一重でかわし、剣を横薙ぎに振る。


金属音が爆ぜ、火花が散る。


ファング「遅ぇッ!」


二撃目がアルトの脇腹を浅く切り裂いた。


アルト「っ……!」


アルトは後退しながら剣を構えるが、呼吸が乱れる。


ファング「どうしたァ!?

さっきまでの勢いはよォ!!」


双剣が雨のように降り注ぐ。

アルトは必死に受けるが、腕が痺れ、足が沈む。


アルト「ぐっ……!」


ファングの蹴りがアルトの胸に入り、

アルトは瓦礫に叩きつけられた。


アルト「……っ……はぁ……!」


視界が揺れる。

呼吸が苦しい。

立ち上がるだけで精いっぱい。


ファング「終わりだなァ……アルトォ……!」


ファングが双剣を交差させ、魔力を一点に集中させる。

赤い光が収束し、空気が震えた。


ルージュ・ファング「《ブラッディ・レイド》ッ!!」


赤い斬撃が地面を抉りながら迫る。


アルト(……避けられない……!)


アルトは剣を構え、魔力を全身に巡らせた。


アルト「《フロー・シフト》!」


身体が風のように滑り、斬撃をすり抜ける。

だが避けきれず、肩を深く切られた。


アルト「ぐあっ……!」


膝が沈む。


ファング「ほらよォ……立てよ……!


まだ遊び足りねぇんだよッ!!」


アルト「……まだ……終わってねぇ……!」


ファング「いい目だ……!

その目……折るのが一番楽しいんだよォ!!」


ファングが地面を蹴り、上空へ跳躍。

赤い残光が尾を引き、双剣が雨のように降り注ぐ。


アルトは剣を回転させ、全てを弾き返す。


アルト「はああああッ!!」


衝撃波が走り、周囲の瓦礫が吹き飛ぶ。


ファング「ククッ……いいじゃねぇか……!」


だがアルトの腕は震えていた。

限界が近い。


アルト(……もう……普通の攻撃じゃ……届かない……

なら……!)


アルトは深く息を吸い、魔力を一点に集中させる。


ファング「……ほぉ?」

ファングの斬撃は獣のように荒々しい。


ルージュ・ファング「《ブラッディ・レイド》ッ!!」


赤い斬撃が地面を抉りながら迫る。

アルトは剣を構え、魔力を全身に巡らせた。


アルト「《フロー・シフト》!」

アルトの剣筋は流れるように滑らか。


身体が風のように滑り、斬撃をすり抜ける。

そのままファングの懐へ踏み込む。


ファング「……ッ!」


アルト「終わりだッ!!」


【ブレイク・インパクト】

アルトは全身の魔力を剣に集中させた。

剣が白く輝き、空気が震える。


アルト「――《ブレイク・インパクト》ッ!!」


放たれた衝撃波は、

地面を割り、空気を裂き、

ファングの双剣ごと身体を吹き飛ばした。


ルージュ・ファング「……ッッ!!」


赤い残光が散り、

ファングの身体はビルの外壁を突き破った。


【高所からの落下】


外壁の向こうは地上数十メートルの高さ。


ファングは空中で体勢を立て直そうとするが――

アルトの一撃の余波で魔力が乱れ、身体が言うことを聞かない。


ルージュ・ファング「チッ……! 動け……ねぇ……!」


そのまま、ビルの外へ落下。


下は瓦礫の山。


衝撃で粉塵が舞い上がり、

ファングの姿は完全に見えなくなった。


アルトは崩れた外壁の縁に立ち、落下地点を見下ろす。


アルト「……終わった、か……?」


瓦礫は深く沈み込み、ファングの姿は見えない。


アルト「(……これで死ぬとは思えない。だが、しばらくは動けないはずだ)」


アルトは剣を収め、医療地区へ向かって走り出した。


【瓦礫の奥】

粉塵が静まり、

瓦礫の奥深くで、ファングの指がわずかに動く。


ルージュ・ファング「……クソ……覚えてやがれよ……

次は……絶対……殺す……」


その声はかすれ、身体は動かない。

だがその瞳だけは、まだ燃えていた。


【メトロポリス区・医療地区兆し】

場面は再び戻り、

(遠くでスパインとグラットンが戦況の変化に気づく)


スパイン「……シャドウが押されている。」


グラットン「マジか!シャドウも大したことねぇな!」


スパイン「まずいですね!」

(スパインが跳び出そうとした瞬間——)

巨大な大剣が道をふさぐ。


ヴァルカ「ここは通さん!」


スパイン「くそ!邪魔だ!」


グラットン「俺に任せろ!」

(グラットンが焦って踏み出した瞬間、アレサが一瞬だけ姿を消す)


アレサ「——“断罪の閃刃”」

(光の刃がグラットンの胸部を貫き、巨体が崩れ落ちる)


グラットン「ぐっ……が……!」


スパイン「グラットン!? おい、嘘だろ……!」


アレサ「別の事考えてる余裕は無いんだろ?これで……2対3……!」


イリス「……勝てる……!」


ヴァルカ「形勢は逆転だな。お前ら、ノヴァとレオンはどこだ!?」

(シャドウが、怪しく“笑う”)


シャドウ「どこだって!? 笑える!」

(スパイン、ファング、幹部たちが一斉に笑い出す)


スパイン「ははっ……マジで聞いてんのかよ!」


ファング「クク……知らねぇ方が幸せってやつだな」

(シャドウの高笑いが響き渡る)


シャドウ「アハハハハハッ!!」


その時だった——

(敵と味方の間に、突然“炎の渦”が巻き起こる)


アレサ「なっ……!? 炎……!? どこから……!」


ヴァルカ「全員、下がれ!!」

(炎の渦がさらに膨れ上がり、地面が赤く染まる。

 渦の中心に“人影”がゆっくりと浮かび上がる)

(炎が裂け、その中から“ノヴァ”が歩み出る)


アレサ「ノヴァ……!? でも……」


イリス「……角……? ノヴァに……角なんて……」

(ノヴァの頭部には、今まで存在しなかった“黒い角”が二本、

 まるで炎の中で生えたように輝いている)


ヴァルカ「……お前……本当にノヴァか……?」

(ノヴァはゆっくりと手を上げ、炎を静める)


ノヴァ「お前たち——ここまでは計画通りだ。

    よくやってくれた」

(その声は、以前より低く、重く、威圧感を帯びていた)


アレサ「計画……通り……? どういう……」


イリス「ノヴァ……? 本当に……ノヴァなの……?」

(その瞬間、幹部たちが一斉に膝をつく)


シャドウ「ダイロン様……!」


スパイン「お待ちしておりました、ダイロン様……!」

(パレットバトラーズは完全に困惑する)


アレサ「……は……? “ダイロン様”……?」


ヴァルカ「おい……どういうことだ……!」


イリス「ノヴァ……なにがおこってるの?……」


(ノヴァ——いや、“ダイロン”は微笑む。

 だがその笑みは、以前の彼のものではなかった)


ヴァルカ「答えろ。お前は何者だ」


(ダイロンはゆっくりと振り返り、パレットバトラーズを見渡す)


ダイロン「……そうだな。そろそろ“偽名”を捨てる時だ」


アレサ「偽名……?」


ダイロン「俺の名はノヴァではない。

     ——“ダイロン”。

     この組織ネオイクリプスを率いる者だ」


イリス「ネオ……イクリプス……?」


ヴァルカ「……新興組織……?」

(幹部たちが一斉に頭を垂れる)


シャドウ「ダイロン様こそ、我らの頂点」


スパイン「この日のために動いてきたんだ」


アレサ「計画……? 何の……!」

(ダイロンは炎の残滓を指先で弾きながら、静かに告げる)


ダイロン「目的はただ一つ。

     ——“シャドウマーケット、ジコーズの復活”」


ヴァルカ「……そんなバカな……!」

(その時だった)


(地面を蹴る音。瓦礫を飛び越え、ひとりの影が戦場に飛び込む)


アルト「ノヴァ!! 無事か——」

(アルトは着地した瞬間、目の前の“角の生えたノヴァ”を見て凍りつく)


アルト「……え……?

    ノヴァ……?」

(ダイロンはゆっくりとアルトへ視線を向ける)


ダイロン「来たか、アルト。」


アルト「ノヴァ……?その姿!シャドウに操られているのか……!」


アレサ「アルト……落ち着け!」


イリス「アルト……そいつはノヴァじゃない!」


アルト「……嘘だろ……!」


ダイロン「おお、アルトよ。お前たちと過ごした10年は——非常に“屈辱”だったぞ」


ヴァルカ「……いつもと違ってよくしゃべるじゃねーか……!」


イリス「10年……全部……嘘だったの……?」


ダイロン「お前達はもう用済みだ。必要なものはすべて手に入った」

(ダイロンが手をかざすと、背後に浮かぶ大量のエネルギーキューブが赤く輝く)


ヴァルカ「大量のエネルギーキューブ……!お前だったのか……!」


シャドウ「封鎖も警備も無意味だった」

(アルトが震える拳を握りしめ、前に出る)


アルト「ノヴァ……!貴様……許さない……!!」


アレサ「アルト、落ち着いて!」


イリス「アルト……!」

ダイロンはゆっくりとフードを外し、静かに笑った。


ダイロン

「……十年だ。

ジコーズを復活させるために、俺は十年も動き続けてきた。

その為には、膨大なエネルギーキューブが必要でな。

集めるだけで俺がどれだけ苦労したと思ってる?」


ダイロンは指先で空気を払うようにして続ける。


「だからパレットバトラーズに入ったんだよ。

内部の警備状況を知るには、内側に潜り込むのが一番早い。

……お前らがまんまと信じてくれたおかげで、計画は驚くほど順調だった。」


アレサ「でも、メトロポリス区で……俺たちを殲滅するチャンスはいくらでもあったはずだ。

なのに、どうしてあの時……奴らにとどめを刺させず撤収させたんだ!?

お前はまだ迷っているんじゃないのか……?」


ダイロンは肩をすくめる。


「パレットバトラーズを生かしておいた理由?

そんなもの決まってるだろ。

ジコーズ復活後の“見せしめ”にするためだ。

世界に知らしめるんだよ。

『テラの秩序は俺が塗り替えた』とな。」


一瞬だけ、ダイロンの表情に影が落ちる。


「……俺はな、幼い頃から地獄みたいな環境で生きてきた。

弱い者は踏みにじられ、強い者だけが生き残る。

そんな世界を嫌というほど見てきた。」


ダイロンは拳を握り、静かに言い放つ。


ダイロン「だから俺が変える。

テラを支配し、強い世界に作り替える。

誰にも脅かされない、揺るぎないテラにする為にな」


ダイロンは冷たく笑う。


ダイロン「お前らには、ただその礎になってもらうだけだ。」


アルト「レオンはどこなんだ!!ノヴァ!! 答えろよ!!」

(ダイロンはゆっくりとアルトへ視線を向ける)


「レオンか…。やつは強すぎた…正直、排除するのに一番手間がかかったよ。

あれほどの戦力、邪魔以外の何物でもなかった。」


アルト「レオンはどこだって聞いてんだよ!!答えろ、ダイロン!!」

(幹部たちが嘲笑する)


(アルトは震える手で長剣を抜く。

 刃が光を反射し、彼の怒りを映し出す)


アルト「ダイロン——ッ!!」

(地面を砕きながら一直線に突進。  その剣には、これまでで最も強烈な魔力が宿っていた)


ヴァルカ「アルト、待て!!」


アレサ「止まらない……!」


イリス「アルト……っ!」

(アルトの剣が光を放ち、軌跡が白く残る)


アルト「“ブレイクインパクト”——ッ!!」

(必殺の一撃が、ダイロンの胸元へ迫る)


ダイロン「……」

(ダイロンは微動だにしない。 )


アルト「うおおおおおおッ!!」

——その瞬間だった。

(空気を裂く“鋭い金属音”  一筋の剣線が、アルトの必殺技の軌道に割り込む)


キィィィィィン——ッ!!


アルト「なっ……!?」

(アルトは後退しながら、目の前の“影”を見て凍りつく)


アルト「……嘘……だろ……レオン……?」

(炎の残光の中から、ひとりの青年が歩み出る)


レオン「私はダイロン様の騎士。敵は排除する。」

(レオンの瞳は冷たく、かつての仲間の面影はない)


ヴァルカ「レオン……!?」


イリス「レオン……どうして……!」

(パレットバトラーズ最強の戦士がアルトの前に立ちはだかる…)


レオン「俺の使命はただ一つ。——ダイロン様を守ること」


アルト「……は……?レオン……お前……何言って……」

(レオンはアルトの方を見ていない…)


ダイロン「平和に甘え、戦う事を忘れたお前達では誰も救えない」

(アルトが震える声で叫ぶ)


アルト「ダイロン……!レオンを返せ……!ジコーズなんて復活させるな!!」

(レオンは一切反応しない)


ダイロン「——行くぞ。ネオイクリプス、撤退だ」

(ダイロンは背を向ける)


シャドウ・グラットン・スパイン「はっ!」

(レオンは最後までアルトを見ず、ダイロンの後を静かに追う)


アルト「レオン!!行くな!!」

(レオンは無言のまま、炎の渦の中へ消えていく)


ダイロン「……ジコーズの復活は目前だ。」

瓦礫の上で、パレットバトラーズ全員が息を呑む。


ダイロン「一月後——テラは全面戦争に突入する。

覚悟しておけ。

お前たちが守ろうとする世界が、どれほど脆いか……

お前たちは“絶望”の意味を知るだろう。」」

その瞬間、アルトが前に踏み出した。


アルト「……そんなこと……させるかよ……!お前らの好きには……絶対にさせないッ!!」

次の瞬間炎が閉じ、ネオイクリプスは完全に姿を消した


アレサ「…………」


イリス「どうしよう……どうすれば……」


ヴァルカ「……最悪の形で敵の正体が明らかになったな」


ジコーズ復活まで、残された時間はもうわずか。 静かに、確実に、世界は終わりへと歩み始めていた。


第七話まで読んでいただき、ありがとうございます。


今回ついに、物語の核心である“ネオイクリプス”が姿を現しました。

そして、十年を共に過ごしたノヴァの正体、

アルトの前に立ちはだかるレオン——

パレットバトラーズにとって、最悪の形で真実が明かされる回となりました。


この章は、物語全体の“折り返し地点”です。

ここから先は、もう元の世界には戻れません。

アルトたちが何を失い、何を掴み、何を守るのか——

ぜひ見届けていただければ嬉しいです。

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