第二十三話 崩壊戦域で立つ最後の剣!アルトVS完全体ダイロン!!
瓦礫の山に沈む仲間たち。
完全体となったダイロンの前で、希望はほぼ潰えかけていた。
だがその瞬間、白い光が戦場を裂く。
絶望の底に、一人の影が帰ってくる。
【アレサの焦りと無力感】
アレサ「ヴァルカ!!」
アレサは戦斧を構え、ダイロンへ突っ込む。
アレサ「うおおおおッ!!」
だが――
ヒュッ
ダイロンの姿が消えた。
アレサ「……え?」
背後。
ダイロン「遅い」
ドガァッ!!
アレサ「ぐあっ!!」
アレサも地面に叩きつけられる。
アレサ(……くそ……!ヴァルカであれなら……俺じゃ……相手にならねぇ……!)
悔しさで歯を食いしばる。
【イリスはもう動けない】
イリスは壁にもたれ、肩の傷を押さえながら震えていた。
【レオンは動かない】
アレサが担いで運んだレオンは、完全に意識を失っていた。
呼吸はある。
だが、魂の光が消えたように動かない。
アレサ「レオン……」
返事はない。
【戦場は崩壊寸前】
ダイロンはゆっくりと歩きながら、
ヴァルカとアレサを見下ろす。
ダイロン「もう少し力を試したかったが、蟻相手には良くわからんな……」
ヴァルカは立ち上がろうとするが、膝が崩れる。
ヴァルカ「……まだ……終わっちゃ……ねぇ……」
アレサ「くそ……くそっ……!」
ダイロンは冷たく笑う。
【その時――】
瓦礫の奥から、
何かが走る音がした。
ダイロンが眉をひそめる。
ダイロン「……?」
ヴァルカもアレサも、その気配に顔を上げる。
アレサ「……まさか……」
イリス「……え……?」
次の瞬間――
ドンッ!!
下層から跳び上がるようにして、
一人の影が戦場へ飛び込んできた。
白い光をまとい、
息を荒げ、それでも立ち上がる。
アルトだ。
【アルト、戦場へ帰還】
アルト「……はぁ……はぁ……
ヴァルカ……アレサ……イリス……!」
ヴァルカ「アルト……!」
アレサ「お前……生きて……!」
イリス「アルト……!」
アルトはレオンの姿を見て、そしてダイロンの異様な魔力を見て、
すべてを理解した。
ダイロンはゆっくりと振り返り、不敵に笑う。
ダイロン「来たか、アルト。ちょうどいい。お前にも“絶望”を見せてやろう」
アルトの瞳が燃える。
アルト「お前は絶対に許さねえ……!……ヴァルカ。アレサ。イリスとレオンを連れて……ここから離れろ」
アレサ「は……?何言って――」
アルト「頼む。今のダイロンは……俺しか止められない……」
アレサ「お前一人でどうにかなる相手じゃねぇだろ!!」
アルトは振り返らず、ただ前を見据えたまま言う。
アルト「……大丈夫。わかるんだ。」
小柄なアルトの背中ながら、凄い自信に満ちているのが分かる
ダイロン「この力を見てもそんな冗談が言えるとはな。軽口は健在だ…」
ダイロンはアルトを見て笑う
【ヴァルカ、決断】
ヴァルカは歯を食いしばり、拳を震わせながら叫ぶ。
ヴァルカ「……くそっ……!アレサ!!レオンを担げ!!イリスも連れて下がるぞ!!」
アレサ「……わかったよ……!アルト……死ぬなよ……!」
ヴァルカとアレサはレオンとイリスを抱え、瓦礫の影へと退避する。
ダイロンはそれを見て、薄く笑った。
ダイロン「逃がすつもりか?無駄だ。全員まとめて――」
アルトが一歩前に出た。
【セイレン・アルト VS 完全体ダイロン】
アルトの身体から、白い光が爆発するように溢れ出す。
アルト「……行くぞ、ダイロン」
ダイロンは愉悦に満ちた笑みを浮かべる。
ダイロン「来い。“レオンの力”を取り込んだ私に、お前が……」
ダイロンの言葉を遮るようにアルトは地面を蹴り、白い閃光が走る――
ドンッ!!
ダイロン「ぐぐっ!……」
間一髪、アルトの剣を受けるダイロン
ダイロン「思ったよりやるじゃないか……」
バチィィィィィン!!
二人の衝撃がぶつかり、
戦場全体が揺れた。
瓦礫が浮き上がり、床が割れ、空気が震える。
アレサ「……な!」
ヴァルカ「(さっきより強くなっている!?……)」
【アルト怒りの猛攻】
白い光が爆ぜ、アルトの身体能力が一気に跳ね上がる。
アルト「うおおおおおおッ!!」
ロングソードが閃き、
連撃が嵐のようにダイロンへ叩き込まれる。
ガガガガガガガガッ!!
ダイロンは槍で受け、魔力膜で弾き、
後退しながら必死に防ぐ。
ダイロン「……ッ……!?」
その表情には、初めて“焦り”が浮かんでいた。
【完全体ダイロンですら押される】
ダイロンはレオンのキューブを吸収し、魔力も身体能力も跳ね上がっている。
それでも――
ダイロン「馬鹿な……!セイレン化でここまで……!」
アルトの剣が一撃ごとに重くなる。
速くなる。
鋭くなる。
【レオンの“本当の強さ”が浮かび上がる】
ダイロンは歯を食いしばりながら、アルトの猛攻を受け止めつつ思考する。
ダイロン(……レオンの力を取り込んだ私が……セイレン化したアルトに押されている……?)
そして気づく。
ダイロン(……そうか……レオンは“セイレン化していなかった”……!)
ネオイクリプスのメンバーは全員セイレン化済み。
その上で最強だった。
だがレオンは――
通常状態で、セイレン化したその他を抑え込んでいたという事実が
ここで大きく影響していた。
ダイロン(……くそ!セイレン化は想定以上だ……!)
レオンは強すぎるがゆえに“踏み越える瞬間”が訪れなかった。
それがアルトの勝機へつながる・・・
【アルトの剣がダイロンを押し込む】
アルト「まだだッ!!」
ズガァァァン!!
ダイロンの防御膜が大きく揺れ、床が砕ける。
ダイロン「ぐっ……!!この……くそチビ……!」
アルトの怒りは、レオンを奪われた怒り。
仲間を傷つけられた怒り。
そして――
自分の無力さへの怒り。
そのすべてが、セイレン化をさらに加速させていた。
【ヴァルカ・アレサ・イリスは遠くから見守る】
瓦礫の影から、ヴァルカが息を呑む。
ヴァルカ「……アルト……あいつ……ここまで……!」
【ダイロン、押されながらも笑う】
ダイロンは後退しながら、それでも笑った。
ダイロン「……いいぞ……アルト……その力……もっと見せてみろ……!」
アルト「……」
白い光がさらに強くなる。
ダイロン「レオンの力を取り込んだ私を……ここまで追い詰めるとはな……!」
ダイロンは不敵な笑みを浮かべた
崩れ落ちる戦場で、アルトはただ前だけを見ていた。
仲間を守るため、奪われた想いを取り返すため、
完全体ダイロンとの衝突で白光はさらに強く、さらに鋭く――
次の瞬間、戦場の形そのものが変わる。
物語は、ここから一気に加速する。




