第十五話 二対二の死線、分かたれる戦場 と 北坑道の“拾い物”
北と南、二つの坑道で物語が大きく動き始める。
仲間が分断され、戦場が裂ける中、
それぞれが自分の役目を選び取っていく――
そんな転換点の一幕。
で、ヴァルカが見つけた“異物”はなんだ??
【北側坑道:ヴァルカとスプロット】
グラットンとの戦いを終え、
ヴァルカは単独で坑道を進んでいた。
ヴァルカ「さて……アレサの方はどうだ」
その時だった。
前方の通路で、
スプロットたちが妙に密集しているのが見えた。
ヴァルカ「……なんだこれ?」
スプロットたちは、何かを拾っては投げ、積んでは崩し、
まるで“遊んでいる”ようだった。
ヴァルカは眉をひそめ、近づく。
ヴァルカ「……は?」
普段は滅多に動揺しない彼が、珍しく声を漏らす。
ヴァルカ「……マジか……(汗)」
額に汗が滲む。
ヴァルカ「なんで……こんなところに……?」
彼はゆっくりと近づき、それを見下ろした。
ヴァルカ「……紛失したとは聞いていたが……」
だが――
彼はすぐに首を振り、深く息を吐いた。
ヴァルカ「……今は後回しだ。そんなことより、この先はどうなっているんだ?」
さらに深部へと足を進めるヴァルカだった。
【南側坑道:アルト vs ファング、イリス vs シャドウ】
場面は南側へ戻る。
狭い坑道で、
四人の激戦が続いていた。
【アルト vs ルージュ・ファング】
ファングの双剣が、獣のような軌道でアルトを襲う。
ファング「ほらほらァ!もっと楽しませろよ、アルトォ!!」
アルト「……黙れッ!!」
アルトの剣が火花を散らし、ファングの双剣と激突する。
ガギィィィンッ!!
ファングは笑いながら後退し、壁を蹴って再び飛びかかる。
ファング「いいねぇ!前よりずっと速ぇじゃねぇか!」
アルト「まだまだだ!!」
二人の剣戟が、坑道に金属音の雨を降らせる。
【イリス vs シャドウ】
一方、イリスは七色の光を纏い、マーブルアローを構えていた。
イリス「……来る!」
シャドウは影のように姿を消し、次の瞬間、背後から現れる。
シャドウ「……隙だらけだ」
イリス「読めてるよ!」
イリスは矢を放ち、シャドウの奇襲を弾く。
七色の光が坑道を照らし、シャドウの影が揺れる。
シャドウ「……厄介な光だ」
シャドウの刃が迫り、イリスの矢がそれを迎え撃つ。
【二対二:連携の応酬】
アルトとイリスは、互いの位置を常に把握しながら戦っていた。
アルト「イリス、右に回れ!」
イリス「了解!」
イリスがシャドウを引きつけ、アルトがファングを押し返す。
ファング「おいおい、連携すんなよ!つまんねぇだろ!」
アルト「お前の都合なんか知らねぇ!」
【シャドウの猛攻】
シャドウの瞳が淡く光る。
シャドウ「……空間歪曲、展開」
坑道の空気がねじれ、壁が波打つように揺れ始めた。
アルト「なっ……!?空間が……歪んで……!」
イリス「アルト、下がって!」
次の瞬間――
シャドウの影が四方八方に分裂し、同時に攻撃魔法が放たれた。
シャドウ「《シャドウ・バースト》」
黒い刃が空間の裂け目から飛び出し、アルトとイリスを襲う。
ファングはその隙を逃さず、双剣を構えて突っ込んでくる。
ファング「ハハッ!いいぞシャドウ!もっとやれよ!!」
アルト「くそっ……!」
アルトは剣で必死に防ぐが、空間が歪んでいるせいで軌道が読めない。
イリスは冷静に矢を放ち、影の刃を弾き返す。
イリス「アルト、落ち着いて!空間が揺れてるだけ、軌道は変わらない!」
アルト「分かってる……けど……!」
ファングの双剣がアルトの頬をかすめ、血が飛び散る。
ファング「おいおい、どうしたアルトォ!?前より弱くなってんじゃねぇか!!」
アルト「……ッ!」
イリス(心の声)
(シャドウの空間魔法……でも、攻撃の“間”は変わってない……読める……!)
イリスは七色の光を強め、マーブルアローを構える。
イリス「アルト、少し下がって!」
アルト「えっ……!?」
イリス「大丈夫。僕がやる」
アルトは驚きながらも、イリスの声に従って後退する。
ファング「おいおい、逃げんのかよアルトォ!!」
シャドウは冷静に状況を見ていた。
シャドウ「……終わりだ」
シャドウが空間を裂き、アルトの背後へ瞬間移動する。
シャドウ「《シャドウ・リッパー》」
黒い刃がアルトの首元へ迫る。
アルト「――ッ!!」
その瞬間――
坑道が七色の光で満たされた。
イリス「《マーブルアロー・フルバースト》!!」
七色の矢が、空間の歪みごとシャドウを貫いた。
シャドウ「……ッ!?」
さらに、跳弾した矢がファングの肩をかすめる。
ファング「ぐっ……!?なんだよこの威力……!」
アルトは目を見開く。
アルト「イリス……すげぇ……!」
イリスは冷静に言う。
イリス「まだ終わってないよ。シャドウは……逃げる気だ」
シャドウは影に溶け、距離を取る。
ファング「フン、はなから邪魔なんだよ!!とっとと消えろ!」
シャドウ「あなたの弱さにはがっかりだ。……囮にでもなってください」
ファング「はぁ!?ふざけんな!!」
空間魔法で距離を取り
攻撃は最小限
イリスの光を警戒しファングを囮にする気満々
イリスはそれを見抜く。
イリス「アルト……僕、シャドウを追う」
アルト「イリス……!」
イリス「大丈夫。アルトはファングをお願い」
アルトは剣を構え直し、ファングを睨む。
アルト「……分かった。イリス、気をつけろよ」
イリス「うん。負けないから。」
シャドウは影の中へ逃げ込む。
イリスは七色の光を纏い、その後を追う。
アルトとファングは、坑道の中央で向かい合った。
ファング「やっと二人きりかよ……!待ってたぜ、アルトォ!!」
アルト「……上等だ。ここで決着つける!」
【南側坑道:アルト vs ルージュ・ファング】
イリスがシャドウを追い、
坑道にはアルトとファングだけが残った。
ファングは双剣をくるりと回し、獣のような笑みを浮かべる。
ファング「やっと二人きりだなァ……アルト」
アルト「……望むところだ」
二人は同時に踏み込んだ。
【本気のぶつかり合い】
ガギィィィンッ!!
金属音が坑道に響き渡る。
アルトの剣とファングの双剣が、火花を散らしながら激突する。
ファングの双剣は、まるで生き物のようにしなる。
一撃目はフェイント
二撃目は本命
三撃目は殺しの角度
アルトは必死に受け止めるが、セイレン化できない彼の体力は
みるみる削られていく。
ファング「どうしたよ!?前は勝ったんだろ!?ならもっと楽しませろよォ!!」
アルト「……ッ!」
アルトの頬を切っ先がかすめた。
ファングは笑う。
ファング「いい顔だ……!その顔が見たかったんだよ!!」
アルトは歯を食いしばり、剣を振り上げる。
二人の剣戟は、まるで血で血を洗うような激しさだった。
【一方その頃:シャドウの逃走】
イリスの光を避けながら、シャドウは影の中を滑るように移動していた。
シャドウ(念話)
《……ダイロン様。状況を報告します》
ダイロン(念話)
《話せ》
シャドウ
《ファングはアルトと交戦しており、我々が優勢です。
スパインはアレサと交戦中ですが、やや優勢。スパインに勝つことは不可能かと…
ただ、グラットンは敗れた模様です。》
ダイロン
《……そうか》
シャドウ
《また追って報告いたします》
ダイロンは静かに、しかし確実に何かを決断した。
シャドウは影の中で薄く笑った。
シャドウ(心の声)(……ファングは囮でいい。あれは使い捨てだ)
そして、再びイリスの光から逃げるように坑道の奥へと消えていった。
【再びアルト vs ファング】
アルトは息が荒く、肩で呼吸していた。
ファングは逆に、ますます楽しそうに笑っている。
ファング「どうしたアルトォ!?もうバテたのかよ!!」
アルト「……お前もまた肩で息してるぜ!!」
アルトが踏み込み、剣を振り下ろす。
ファングは双剣で受け止め、そのままアルトの腹へ蹴りを叩き込む。
ドガッ!!
アルト「ぐっ……!」
壁に叩きつけられ、アルトは膝をつく。
ファング「ハハハッ!!いいねぇ……その苦しそうな顔……最高だよ!!」
アルトは血を吐きながらも立ち上がる。
アルト「……お前を……ここで倒す……!」
ファング「その意気だァ!!もっと来いよアルトォ!!」
二人は再び激突する。
ファングの双剣は鋭くアルトの剣は重く
互いの攻撃が肉を裂き血が飛び散り
坑道の床に赤い跡が残る
戦いは長引き、どちらも一歩も引かない。
ファング「もっとだ……もっと見せろよアルトォ!!」
アルト「……うるせぇッ!!」
二人の剣がぶつかり合い、火花が散る。
……その時だった!!
今回は、南北で同時に緊張が高まる回になった。
イリスはシャドウを追い、アルトはファングとの真っ向勝負へ。
それぞれの“決断”が、次の展開を大きく変えていく。
一方で、ヴァルカが見た“紛失物”は??
ここから戦いはさらに深く、さらに激しく。
次回はそれぞれの戦場で、決着が動き出す。




