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お后候補から外れたので、後宮で薬膳料理屋を開きます  作者: E.T.


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3/10

薬膳料理屋・彩

男性が去った後、私は店の名前を考えていた。

うーん、薬膳料理屋だから~?

(いろどり)などはどうだろうか?

うん、彩、いいじゃないか?


私は布地に彩と書いた。

そして、それを暖簾状に切り、縫って、入り口に引っ掛けた。

これで完璧だ。


あと…

テーブルと椅子がもう少し欲しいものだが…

まぁ、おいおいで良いだろう…


私がキッチンで片付けをしていると…


ある男性が入ってきた。

黒髪に黒縁の眼鏡で顔立ちはややわかりにくいが、濃い顔の美形である。

目鼻立ちはくっきりとして、少し厚ぼったい唇が印象的であった。


「何か…

料理をください…」


彼はそう言うと、席に腰を下ろした。


「何か、と申されましても…」


「何でも良いんです。

これが、この後宮での最後の食事ですからね。」


「は、はぁ…?」


私は仕方ないので、はちみつ豆乳スープを作る事にした。

豆乳と蜂蜜、それから少しの味噌と黒胡椒を鍋に入れ温めるだけの簡単薬膳スープである。

でも、これが割とイケるのだ。


私はそのスープを彼に差し出した。


「おぉ…

さっきまでの痺れが取れていくようだ…」


「は?

痺れ、でございますか…?」


「あぁ…

実は…」


彼は語り出した。


「私は宮廷魔導士団の団長である、フィオ=ダーテルです。

先ほど、副団長のローから挑まれて、対戦をしました。

負けた方が魔導士団を去るという大事な賭けをして。

結果は私が負けました。

何故か、試合中に痺れが起こり…

しかし、今となってはそんなものは言い訳にもなりません。」


「はぁ…

試合中に急に痺れ…?

何か試合の前などに飲まれたり食べたりされましたか?」


「あぁ、今日は手合わせいただくから、と、紅茶をもらいました。

あぁ、残りがこの水筒に…」


「ちょっと失礼…!」


私は水筒を受け取ると、ぺろりと紅茶を舐めた。


「こ、こ、これは…

附子の毒でございます…!」


「えぇ!?

毒ですって!?」


フィオ様は驚く。


「えぇ、おそらくロー殿はあなたに毒を盛り、それで勝とうとしたのでしょう…」


「なんと!

魔導士の風上にもおけないではないか!」


「落ち着いてください。

この紅茶をロー殿が渡したという証拠が無い、今となっては…

いくら水筒に附子が入っていたとて…」


「そんな…

では、私はこのまま泣き寝入りか…?」


フィオ様はおっしゃる。


「うーん、私に少し案がございます。

向こうが正攻法では無いならば、こちらが礼儀正しく正攻法で挑む必要はございませんゆえ。」


「ほぉほぉ、して、その案とは?」


「まず…

最後の挨拶に来たと言って、彼の家に入り込みます。

そして、トイレを借りるふりをしてください。

さらに、その隙にどこでもいいので部屋に入り、王宮の宝石などを隠します。

これで、宝石泥棒の出来上がり、でございます。

ふふふ。」

ここまで読んでいただき誠にありがとうございます!

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