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お后候補から外れたので、後宮で薬膳料理屋を開きます  作者: E.T.


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10/10

料理で治す

その日もいつも通りに彩の暖簾を掛け、営業を始めた。


相変わらずだあれも来ない。

客と言えば、ロイス様とフィオ様くらいだ。

その2人も毎日来る訳ではないから、結構暇だったりする。


私は冷蔵庫を開けた。


何か軽く食べようかな?


そう思った時、ドアがガラガラと開いた。


「あら、いらっしゃいませ。」


「ここかよ?

不思議な料理で身体を治すっていう店は?」


「は、はぁ…

あの、貴方様は…?」


「俺はゼンリ=ハルカス。

宮廷騎士隊の隊長だ。」


「それは、それは…

して、ゼンリ様、治して欲しい病があるのですか?」


「あるにはあるが…

俺はアンタを信用してない。

当ててみろよ、俺の病を。」


なんという挑戦だ。

しかし、ここで受けて立たねば、彩の暖簾に泥を塗る、というものだろう。


「分かりました。

少し手を出していただいても?

脈を見ますので。」


ゼンリ様は腕を差し出した。

脈はやや強く速め、か。


「では、舌を出して下さい。」


「こうか?」


舌の苔は白く分厚い。


「分かりました…」


「ほぉ?」


「貴方様は()()でございます。」


「しょじゃ…?」


「簡単に言うと、夏バテ、でございます。」


「ほぉぉ!

まさに!

分かるのか!?」


「汗が少し普通の人よりも多いようです。

それに顔が赤い。

それだけでも暑邪の症状と言えますが、さらに、脈が速く、舌の苔が白っぽく分厚めでございました。

これは、完全に気と水分を消耗している夏バテの症状でございます。」


私は説明する。


「おぉー!

素晴らしいな…!

宮廷医師でも当てられなかったものを…

して、治す方法はあるか?」


「ございます。

薬膳は即効性はございませんが、何日か通っていただければだいぶ改善するでしょう。」


「それはありがたい。」


「では、薬膳を作りますので、少々お待ちください。」


彼は頷いた。


エメラルドの瞳が印象的な好戦的な感じのする美形であった。


私は料理に集中する。

白出汁を水で割って、出汁汁を作る。

温めずに常温か冷たいままなのがポイントだ。


それから、梅をつぶして、紫蘇を刻み、茗荷を切る。


それらを、冷やご飯の上に載せて、最後に上からだし汁をたっぷりとかける。


出来上がりだ!


「お待たせしました。

梅しその冷やし茶漬け、でございます。」


「ほ、ほぉ…?

見た事も聞いた事もない料理だが…」


そう言ってゼンリ様はスプーンで梅と紫蘇とご飯をすくって食べた。


「んんん!!!

こ、こ、これは…!?

なんという爽やかな刺激!?

酸っぱさの中に出汁の香りが染み渡り…!

うまい、うまいぞぉぉ!

いくらでも食べられる!」


そして、ゼンリ様は金貨1枚を置いていかれた。

無銭飲食はロイス様だけか…

どうでも良い事が頭をよぎった…

ここまで読んでいただき誠にありがとうございます!

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