落ちこぼれて
私の名前はエアリス=シャンティ。
シャンティ侯爵家の次女で、幼い頃から皇帝陛下の妃となるべく、英才教育を受けてきた。
しかし、紅茶を淹れればひっくり返すし、ダンスをさせれば足を踏むし、ピアノはまるで弾けない。
私には妃の才能がゼロだった。
とにかく形だけでも、と、後宮入りしたものの、お妃レースからは完全に離脱。
私は皇帝陛下の后候補にはなれなかったのだ。
まぁ、でも?
あの窮屈な家から解放されたのだから?
私は自分の運命を受け入れて、自由気ままに暮らす事にした。
ただ…
私は普通のご令嬢とは少し違っていた。
それは2点ある。
まず、1点め、私には前世の記憶がある。
そして、2点目、私は冷蔵庫というスキルを持っている。
レイゾウコ?
何だそれは?
新手のモンスターの名前か?
と、散々言われたが、地球の記憶がある私には、それが何なのかはっきり分かっていた。
そして、私は後宮取締役のマーラーさんに会いに行った。
「つまり、エアリスさんのおっしゃりたいのは、後宮の空室を使わせて欲しい、という事ですのね?」
マーラーさんは自慢の艶やかな金髪をさらりと靡かせるとそう言った。
「はい。
ダメでしょうか?」
「ダメ、という事は無いけれど…
何に使うのかはっきり聞いておきたいわ。」
マーラーさんは少し言葉を濁してそう言った。
「料理屋、つまりレストランを開きたいのです。」
「レストラン…?」
「えぇ、私がお后候補から外れたのはご存知でしょう?
であれば、趣味の料理屋でも開こうかと。
もう、妃候補として後宮に入ったからには出られませんもの。
じっと部屋で過ごすのは苦しいですわ。」
私は言った。
「うーん…
わかりました。
確か東の後宮にキッチンが付いた空室があるはずよ。
お使いになって。
その代わり…」
「えぇ。
その代わり?」
「ふふふ。
私もぜひ招待してくださいね?」
マーラーさんはイタズラっぽくそう言った。
「もちろんです。
ありがとうございます。」
そして、私は鍋やらフライパンやら、包丁を持って、早速東の後宮へ向かった。
「さぁ、今日からここが私の庭ね。」
私は埃だらけの部屋をぐるりと見回してそう呟いた。
さて、雑巾がけからだわ!
私はドレスの裾と袖をまくし上げる。
♦︎♦︎♦︎
そして、2時間後。
ピカピカになった部屋。
そして、くたびれた私。
だけど、これで薬膳料理屋が開けるわ!
そう、私の前世の職業は薬膳料理人であったのだ。
「スキル『冷蔵庫』!」
ボンッ!と、冷蔵庫が現れる。
私が中を覗くと…
冷やご飯が野菜室に、それから鶏胸肉、生姜、長ネギが冷蔵庫に、クコの実、ナツメ、もあった。
これならば…!
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